愛犬の死
チャーはすごいきれいな犬だった。
「今度生まれてくるときには人間に生まれておいでね」 きっとすごい美人の女性になるから。
散歩に誘う時も、食事を要求する時も、やさしく澄んだ目でこちらを見ていた。
健康な犬なら、うれしいときに飼い主に飛びつくのに。
生まれつき足が悪くて、一度もそんなことはできなかったチャー。
今度生まれてくるときは、健康な元気な女の子だよ。
子供たちが遊び回るのを、羨ましそうにじっと見ていたね。
きっと、一緒に走り回って遊びたかったんだよね 。
片方の足をかばって、お尻を左右に振って歩いていたチャー。
知らない人が見たら滑稽な歩き姿に見えたかもしれないけれど、一生懸命に頑張って歩いたチャー。
毎日朝と晩に散歩したね。
チャーが家に来てくれたから、みんな幸せだったよ。
チャーと一緒に生活することで、いろんな気持ちを体験できたよ。
困ったこともあったけれど、それよりもずっとたくさんの幸せをありがとうね。
チャーがたくさん散歩したから、ばあちゃんも私もお父さんも、運動できて足腰を鍛えられて良かったよ。
チャーは足が悪かったから、妊娠できないと思って避妊手術したけれどそれでよかったんだよね?
今度生まれてきた時にはたくさん子供を産んでね。
チャー、14年も一緒に暮らすことが出来て良かったわ。
チャーも幸せだったよね?
チャーは20キロもあったから、下半身が動かなくなった時には大変だったね。
チャーは思うように動くことが出来なくて、ずって歩こうとしていた。
いつも足代わりに、下半身を持ってあげることはできなかったけれど、 チャーの世話を家族で頑張って出来たと思うよ。
毎朝チャーの排尿のシーツを洗濯したもの。
お尻にハイがついてウジが湧かないように、お尻を洗ったり拭いたり消毒したりしたもの。
チャー、食事を減らしていったのは、肥満になって足に負担がかかるのを予防する為だったんだよ。
いじわるなわけじゃなかったんだよ。
満腹感を得られるように、いろいろ工夫していたんだよ。
チャー、頑張って長生きしてくれてありがとう。
もう痛くもないから、啼かないでゆっくりやすんでね。
チャーのことはずっと忘れないから。
可愛い、大好きなチャーへ。