禁煙が手術部位感染を防ぐ
喫煙が感染のリスクを高める要因になることは、SSIのガイドラインに記されている。
ニコチンによる体への影響が、術後の弱った体には益々悪影響となって現れる。
喫煙と禁煙が体に及ぼす影響について
免疫機能の低下を避ける為にも、術前1か月前から禁煙することが望ましいという。
手術をこれから受けようとする患者さんに、特に禁煙の教育は必要になる。
患者さんが禁煙の実践に取り組む為に、私たちは喫煙による合併症や感染リスクが高くなること、またニコチンの身体に及ぼす影響について、真剣に患者さんに指導していかなくてはならないと思う。
感染管理・禁煙が手術部位感染を防ぐ
①喫煙のSSIなど合併症への影響が明らかにされている。
喫煙はSSI(手術部位感染)の独立した危険因子として認識されています。
ニコチンの使用により、SSIのリスクが増加することがガイドラインにも記載されています。
またSSIの発生と喫煙の関係について調査した研究では、禁煙できた人ではSSIの発生率が5%で、喫煙者の31%に比べて有意に低かったことが報告されています。
喫煙によるコラーゲン産生低下、免疫能低下や血管収縮による抹消循環の低下および組織中の酸素化低下は、可逆性の変化であるためガイドラインの勧告には、少なくとも予定手術日の30日前から禁煙するように教育することが推奨されている。
②周手術期の合併症対策として、外来や入院時などに指導。
禁煙の必要性はSSIの危険因子に限らず広く認識されています。
日本人の5人に一人は喫煙をしているという報告もあり、喫煙率が高いのが現状です。
外来受診時や入院時など、可能な限り早期に禁煙について説明する機会を設けることが出来る体制づくりが必要で、また周術期に必要な合併症対策として患者にも協力を求めていくべきでしょう。
③エビデンスの有るケア。
・ニコチンにより創の一時治癒が遅れる。
禁煙により術後合併症の発生率が抑えられる。
出来るだけ早期に禁煙について説明できるよう外来や入院時の体制を整える。
感染リスクを高める術前剃毛
以前は手術前の処置と言えば剃毛だった。
しかし最近の術前処置に剃毛は無いらしい。
確かに傷をつけては感染の元になってしまうから、そのリスクを考えると剃毛は不必要なものかもしれない。
CDCのガイドラインにも除毛は感染の発生リスクを高めるという事で推奨されていない。
以前は術前剃毛はマーゲンゾンデ挿入、バルン挿入などと同じく術前処置のセットに含まれていたのだが、医療の進歩とともに看護処置も進化するものだと思う。
感染管理・剃毛はせず手術直前にクリッパーで除毛をおこなう
感染率が高まるカミソリでの剃毛は行わない。除毛はクリッパーを用いて手術直前に行う。
SSIの発生の恐れ、また手術の長時間前に行うことのリスクも。
手術前に行う感染対策の一つに皮膚の準備があります。従来はカミソリによる剃毛が行われていました。
しかしカミソリでの剃毛によりSSI(手術部位感染)の発生率が高くなるという報告がされてきました。
除毛を行わない>クリッパーでの除毛>剃毛。
SSI防止の為のCDC(米国疾病予防管理センター)ガイドラインには、手術前夜の手術部位の剃毛は除毛剤や除毛しない場合と比較するとSSIの発生を有意に増加させるとされています。
またSSIの発生率では「カミソリで剃毛をした群」が5,6 %であったのに対し「除毛しなかった群」は0,6%だったと報告しています。
これは剃毛によって皮膚に微細な傷がつくられ、これが微生物の増殖を招き、感染巣になるためと考えられます。
除毛のタイミングについては、手術直前での除毛は術前24時間以内の除毛と比較して低く、手術の24時間以上前の除毛では20%と高かった事が報告されています。
除毛に使用する器材によるSSI発生率の違い。
除毛なし:0,6%
除毛剤使用:0,6%
カミソリで剃毛:5,6% カミソリを用いない場合感染率が低くなっている。
除毛のタイミングによるSSI発生率の違い。
術直前:3,1%
術前24時間以内:7,1%
術前24時間以上前:20% 術直前の除毛で感染率が低くなっている。除毛を行わなければならない時は、クリッパーを用いて手術直前に行う。
参考資料:ここが変わった看護ケア
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