脳梗塞患者の看護計画

看護計画

目次

 #1脳浮腫を起こし脳圧上昇によるヘルニアの為に生命に危険を生じる

目標:脳浮腫を最小限にとどめ、脳ヘルニアが予防できる

OーP(観察)

1 意識状態

2 除脳硬直、除皮質硬直

3 VS

4 瞳孔、眼球の位置

5 運動麻痺

6 痙攣

7 吐気、嘔吐

8 便尿の失禁

9 発声、発語の障害

10 全身観察

TーP(実施)

1 脳ヘルニア症状出現時、異常時は医師に連絡する

 

#2舌根沈下及び気道内分泌物の増加により気道閉塞の危険がある

目標:気道が確保され呼吸がスムーズに行える

OーP(観察)

1 呼吸パターン、呼吸音

2 気道内分泌物の有無、舌根沈下

3 動脈血液ガス分析結果

TーP(実施)

1 枕は使用せず義歯は取り外す

2 吸引器で気道内分泌物を除去する

3 肩まくらをし、顔を横に向けて下顎を前方に挙上する

4 エアウエイを使用する

5 異常呼吸やチアノーゼ出現時は至急医師に連絡する

6 気道内分泌物がねんちょうで喀出困難な場合はネブライザ吸入を施行する

 

#3高熱が続くことにより新陳代謝、脳代謝が促進され脳機能の低下を助長する

目標:解熱が図れ脳機能の低下が予防される

OーP(観察)

1 熱型、皮膚色、体熱感、発汗の有無

TーP(実施)

1 掛物を最小限にする

2 冷罨法による体表面冷却を行う

3 40度を超えるようであればアルコール清拭を行う

4 発汗があれば清拭を行い寝衣や寝具を交換する

 

#4自分で体位変換を行えないため、沈下性肺炎、褥瘡を発生させる恐れがある

目標:体位変換が行え、肺循環を好転させ褥瘡防止ができる

OーP(観察)

1 呼吸音、呼吸状態、喀痰の性状

2 末梢冷感、チアノーゼの有無

3 皮膚色、発赤の有無

4 皮膚の状態:褥瘡好発部位には特に注意する

TーP(実施)

1 良肢位の保持

  a 枕は使用せずに側臥位をとらせる

  b せん足防止の為に砂嚢や枕でかがとを保持する:フットボードも使用する

2 2時間ごとに体位変換を行う

3 シーツの汚れや皺などに注意する

4 背部四肢のマッサージを行い末梢血液循環の好転を図る

5 麻痺側はなるべく下にしない

 

#5意識障害があり不穏を伴う場合、ベッドよりの転落の危険がある

目標:危険なくケアが受けられる

OーP(観察)

1 不穏に伴う四肢の運動状態

2 不穏の原因となっている物の有無

TーP(実施)

1 出来る限り低いベッドを使用しベッドの両側に冊をつける

2 ベッド柵をバスタオルなどの布で覆い、金属の露出部分を無くする

3 ベッドの知覚には、患者が四肢を殴打する事の無いように点滴スタンドや床頭台を置かない

4 不穏の原因となる条件を取り除く

  a 膀胱の充満

  b シーツの皺、シーツ上の異物

  c 気道の障害物、その他の不快刺激

5 必要時抑制帯による抑制を行う

6 医師の指示による鎮静剤や睡眠剤を投与する

 

#6脳血流量低下及び中枢性呼吸障害で意識が低下する恐れがある

目標:呼吸管理が適切に行われ低酸素血症が予防できる

OーP(観察)

1 呼吸:数、深さ、呼吸パターン、呼吸困難、チアノーゼの有無

TーP(実施)

1 酸素マスクやカニューラの固定をし酸素が確実に投与できるようにする

2 加湿器には必ず水を入れ湿度のある酸素を投与する

 

参考資料:標準看護計画

 

#7失禁による皮膚汚染があり褥瘡の形成を助長する

目標:陰部が清潔に保てる

OーP(観察)

1 失禁の有無を頻回にチェックする

2 腸蠕動音を聴収し排便状況を把握しておく

TーP(実施)

1 褥瘡のある場合や陰部のびらんがある場合にはナイロン製おむつカバーの使用を控える

2 毎日陰部洗浄をする

3 陰部のびらんのある場合医師に報告し軟膏の塗布を行う

 

#8意識障害があるために意思の疎通が図れない

目標:周囲の人に意思やニードを伝えられる

OーP(観察)

1 言語障害の種類:失語症、構音障害、構語不能

2 患者の目の動きや顔の表情、しぐさに注意する

TーP(実施)

1 字が書ける場合は筆談を行う

2 患者が「はい」「いいえ」でこたえられる質問にする

3 実物を示したりジェスチャーをする

4 必要時文字盤を使用する

EーP(教育)

1 ナースコールを押すことが可能であればその使用法を説明する

 

#9バルンカテーテル挿入による尿路感染を起こす可能性がある

目標:尿路感染症にならない

OーP(観察)

1 尿量、尿の性状:色、混濁、浮遊物

2 尿沈渣の結果

3 カテーテル挿入部位の局所状態

4 熱型の観察

TーP(実施)

1 バルンカテーテルの挿入部は毎日消毒する

2 男性の場合消毒し尿道口にヨードゲルを塗布しペニスをガーゼでくるんでおく

3 原則としてバルンカテーテルの交換:2週間に1回

4 バルンカテーテルからの閉鎖式蓄尿袋は密閉とし、接続部よりの開放は避ける

 

#10痙性麻痺へと移行し変形や拘縮の発生する場合がある

目標:早期にリハビリテーションが行われ社会復帰に障害となる後遺症を残さない

OーP(観察)

1 麻痺側の麻痺の程度

2 変形、拘縮の有無

3 握力

TーP(実施)

1 麻痺側の良肢位の保持

2 医師の許可を受けてリハビリテーションを行う:他動運動及び健側の自動運動

3 勤務交代時に麻痺の程度を的確に申し送り、その変化に注意する

 

#11抗凝固剤の使用やストレスなどにより、消化管出血を起こす恐れがある

目標:消化管出血が予防、早期発見される

OーP(観察)

1 胃チューブ挿入時排液の性状

2 貧血の状態、CBCデータチェック

3 便潜血チェック

4 PT値

5 夜間の睡眠状態

6 患者の自覚症状

TーP(実施)

1 ストレスの緩和を図る

2 胃粘膜保護材の正確な投与

 

#12経口摂取が出来ず口腔内が不潔になりやすい

目標:口腔内が清潔に保たれ、二次感染を起こさない

OーP(観察)

1 口腔内の状態:乾燥、舌苔、発赤

2 口腔内貯留物の有無

3 口唇の荒れ、口角炎の有無

TーP(実施)

1 口腔内清拭を行う

2 含嗽が可能であれば介助を行う

3 口唇乾燥を防ぐためホウ砂グリセリンを塗布する

4 意識障害:嚥下障害が強い場合経管栄養が行われる

 

#13突然のことであり患者や家族の心理的動揺が大きい

目標:動揺せず現状を受容できる

OーP(観察)

1 患者の心理状況:焦燥感やあきらめ

2 家族関係

TーP(実施)

1 患者や家族の気持ちになって働きかけを行う

EーP(教育)

1 現状は現状としてリハビリが進めば改善していくことを説明する

2 医師に適宜状況の説明を依頼する

 

#14退院後の生活に周囲の協力が必要である

 目標:退院後の性格計画が立てられ不安を抱かない

OーP(観察)

1 退院後の生活状況

2 家の構造

TーP(実施)

1 患者の相談相手となり家族や周囲との連絡係となる

EーP(教育)

1 食事指導

2 内服薬指導

3 日常生活指導

4 許された運動範囲内で生活が楽しめる工夫を患者家族と共に話し考える

参考資料:標準看護計画

 

#15脳循環血液量の変化の為に、頭蓋内圧亢進症状合併の恐れがある

目標:頭蓋内圧亢進症状を起こさない

OーP(観察)

1 バイタルサイン

2 初期症状の有無

3 意識レベル

4 頭蓋内圧亢進症状および誘発因子の有無

5 表情、態度、行動

6 神経障害の有無と程度

7 運動障害の有無と程度

8 認知機能の状態

9 検査値

TーP(実施)

1 バイタルサインや意識状態をアセスメントし、必要に応じて処置を行う

2 不安や興奮状態を増強させる因子をアセスメントし適切に対処する

3 安全で静かな環境が保てるように配慮する

4 良肢位に努め体位を調整する

5 普恩寺は転倒、転落などに注意する

EーP(教育)

1 治療の必要性と今後の方針について患者・家族に説明する

 

#16呼吸中枢障害や合併症の為に、呼吸状態悪化の恐れがある

目標:安定した呼吸状態を保つことが出来る

OーP(観察)

1 呼吸の状態

2 脈拍、血圧、体温

3 意識レベル

4 動脈血液ガス分析値

5 気道内分泌物、喀痰の性状と量

6 呼吸に関連した自覚症状の有無

7 舌根沈下と口腔内、舌の損傷の有無

8 インアウトバランス

9 肺の状態

10 室内の温度湿度

11 口腔内の汚染状況、乾燥の有無

TーP(実施)

1 呼吸状態のアセスメントを行い、必要に応じて処置を行う

2 体位を調整する

3 気道内を加湿し、分泌物を喀出しやすくする

4 効果的な口腔ケアを実施する

5 室内の温度、湿度などの環境調整を行う

EーP(教育)

1 患者・家族の不安を軽減し、病状を認識できるよう分かりやすく説明する

#17過度の安静や不活発な生活の為に、廃用症候群発症の恐れがある

目標:廃用症候群の予防ができる

OーP(観察)

1 バイタルサイン

2 意識レベル

3 循環器症状の有無と程度

4 精神機能の障害の有無と程度

5 感覚障害の有無と程度:視覚、聴覚、知覚

6 運動障害の有無と程度:筋委縮、筋力低下、関節拘縮、骨粗鬆症

7 日常生活行動の自立の程度、寝たきり度

8 排用症候群の有無と程度

9 排尿の状態

10 排尿障害の原因

11 消化器症状の有無と程度

12 症状に対する患者家族の受け止め方

13 環境整備の状態

TーP(実施)

1 去痰や深呼吸誘導、可能であれば頻繁な寝返りを行う

2 体圧分散、摩擦やずれの防止、栄養状態の管理、清潔の保持などを行う

3 自他動運動(特に下肢)上下肢挙上、弾性ストッキングの使用など行う

4 関節可動域運動、大腿四頭筋等尺性運動、意識的な生活動作(洗面、食事、整容、排泄、清潔動作など)を積極的に取り入れる

5 ベッド上での出来る限りの運動やカルシウムを多く含んだ食品の摂取を行う

6 十分な水分摂取を促し陰部の清潔を保持する

7 排泄に関する援助を行う

 a 出来る限り坐位での排尿、排便を勧め体位を工夫する

 b 便秘予防を行う(できる範囲での運動、腸の前道運動の亢進、水分摂取)

8 適度な快適刺激が得られる関わりを継続して行う

9 患者の状態に合わせて日常生活の自立を向上させ、生活範囲を広げていけるように環境を調整する

EーP(教育)

1 患者家族に現在の病状、日常生活場面での廃用症候群の予防の重要性について説明する

2 病状の安定度に応じてできる限り早期に、リハビリテーションを開始する必要性のあることを患者・家族に説明する

 

#18意欲低下の為に効果的なリハビリテーションの継続が困難である

目標:効果的なリハビリテーションを継続して行うことが出来る

OーP(観察)

1 病状と治療経過

2 基礎疾患の状態

3 運動障害の有無と程度

4 精神機能の障害の有無と程度

5 感覚障害の有無と程度(視覚、聴覚、知覚)

6 残存機能の把握

7疾患・障害に対する患者家族の受け止め方

8 身体障害に対するストレスの有無と程度

9 ボディ・イメージの変化に対する受け止め方

10 外見・過去へのこだわり

11 今後の生活への希望

12 発症以前の行動パターン・生活パターン

TーP(実施)

1 病状が安定していれば、リハビリテーションプログラムを作成し順次進めていく

2 リハビリチームによるカンファレンスを持ち目標の設定やプログラムの作成を行い、目標を患者や家族とともに共有する

3 患者のリハビリテーションへの希望や思いを聴く

4 患者の現在の状態に対する不安・心配などの訴えを傾聴し支持的に接する

5 安全にリハビリテーションが行えるように患者の心身の機能に合わせて環境を整える

6 退院に向け家庭環境に合わせてリハビリテーションが継続できるように家族と相談し、実生活場面を想定した継続可能なプログラムを作成する

EーP(教育)

1 コミュニケーションに障害がある場合には、効果的なコミュニケーションの方法について患者や家族に指導する

2 リハビリテーションについて家族の理解を促し、具体的な生活場面での支援態勢の整え方について説明する

 

参考資料:疾患別看護過程

料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A

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