嚥下障害患者さんの食事介助
嚥下障害時の食事介助のポイント
① 安全に食べるには、頭と体感が安定し障害の部分に合わせた、
誤嚥しにくい姿勢を整えることが大切。
② 同じ食品でも、調理法や粘度によって食べやすさに違いがある。
③ 一口量は1回の嚥下で飲み込める量にするので、
小さなスプーンを用意する。
嚥下障害時の食事介助の注意点
・ できる限り安全に経口摂取できるように、
適切な援助や環境を整える。
・ 障害の程度によって摂取する時の条件が異なるため、
嚥下機能の評価によって介助法を決める。
・ 摂食動作や嚥下運動をサポートする方法を統一する。
食事の開始基準
① バイタルサインや全身状態が安定している。
② 意識が覚醒している。
③ 重篤な誤嚥を示す兆候がない。
④ 嚥下反射を認める。
⑤ 内が清潔に保たれている。
⑥ 咳嗽が可能で、気道の浄化が良好である。
⑦ 舌運動や喉頭運動に低下がない。
⑧ 食べたいという意思がある。
嚥下障害患者さんの食の工夫
・ 誤嚥や窒息に繋がりにくい食形態を検討する。
① 全粥:箸やスプーンに付着した唾液が
粥のでんぷんを分解し、水分が多くなる。
② ゼリー:ゼラチンゼリーは体温で溶ける特徴がある。
常温で放置したり、
容器を手で持っているうちに液状になる。
③ トロミ剤:嚥下機能が低下している場合、
嚥下反射のタイミングよりも早く水分が
口頭に流れ込み誤嚥する危険がある。
水分にとろみをつけることで誤嚥しにくくなる。
トロミ使用時の介助の工夫:使用料を定量化する。
溶解後の時間経過により、物性が変化する。
味や舌触りが変化する。
(少しづつ溶かしダマにならないように注意する)
食材によってトロミ量を変化する。
食事介助時の必要物品
おしぼり、エプロン、テイッシュペーパー、
吸い飲み、小さめのスプーン、
(必要時・・自助具、枕やタオル、湯のみ、フォーク、箸、トロミ剤)
室内の環境を整える
集中できない患者さんには、テレビを消したり、カーテンを引くなどする。
① 患者さんに食事を始めることを説明する。
② 室内の換気をして不快な臭気を除く。
③ ポータブルトイレなどは視界から外す。
ベッド上で姿勢を整える
① 嚥下障害によって姿勢を調節する。
② 姿勢が崩れたら適宜体位を治す。
③ 頸部が伸展しないようにタオルなどで調節する。
頸部は前屈傾向にする。
④ ベッドアップの際、背抜きなどで除圧する。
⑤ 時間経過とともに体が左右に傾くので調節する。
患者さんの準備をする
① エプロンを着用する。
② 口腔内を清潔にする。
③ 義歯を装着する(必要に応じて)
④ 口腔周囲の筋肉や唾液腺をマッサージする。
配膳をする
患者さんからお膳が見える位置にセッチングする。
食事の介助をする
患者さんと介護者の目の高さが同じになるように、
介助者は椅子に座りベッドの高さを調節する。
疲労や集中の程度を見て食事を終了する(30分以内)
食事介助のポイント
① 異なる食材を交互に嚥下することで、
咽頭残留を除去できる(食物とゼリーなど)
② 飲み込んだ後に嗄声や振動音が聞かれたら、
唾の飲み込みを促す(空嚥下)
③ むせた時は咳をさせしっかり吐き出させる。
次の一口は呼吸が落ち着くまで待つ。
④ 食べ物が口に入っている時は話しかけない
(誤嚥の誘因になる)
⑤ 嚥下反射を確認してから次の一口を入れる。
食事後には口腔内を確認する
① 植物残渣がないか口腔内を確認する。
② 口腔ケアを行い口腔内を清潔にする。
座位姿勢を30分以上保持してもらう
① テーブルをかたずけエプロンを外す。
② 30分以上体を起こしておく。