中心静脈栄養施行中の観察点
中心静脈栄養のポイント
① 中心静脈カテーテル挿入部位からの血流感染が起こりやすい。
感染を防ぐための手技が重要である。
② 医療施設で使用されている輸液ルートのシステムに合わせ、消毒などの手技を確認する。
③ 中心静脈カテーテル挿入部や全身の観察を 継続的に行う。
刺入による合併症
① 気胸。
・ 鎖骨下穿刺時の最も重要な合併症。
・ 穿刺針で壁側、臓側胸膜を穿刺し肺実質を 損傷することで発生する。
・ 胸痛、咳嗽、呼吸困難の症状を呈する。
② 動脈穿刺。
・ 動脈を誤穿刺した場合、5分間以上圧迫する。
・ 出血傾向の場合には、皮下血腫の形成や 重篤な血胸に注意する。
③ 空気塞栓。
・ 内針、抜針時やCVC挿入時に胸腔内の陰圧で、空気が吸い込まれて発生する。
・ 脱水で静脈圧が低下した患者や呼吸不全で、呼吸のコントロールが難しい患者には注意する。
④ 感染。
・ 挿入部、接続部、薬液の汚染により CVカテーテル関連血流感染が起こる。
中心静脈栄養施行中の合併症
① 高血糖や低血糖。
・ 高調糖質液の持続注入による高血糖、および高カロリー輸液の中断による低血糖発作が起こりうる。
・ 医師の指示で血糖や尿糖の推移をみながら管理する。
② 水分電解質異常。
・ 電解質異常により吐気嘔吐知覚異常などが起こりうる。
・ 亜鉛不足による皮膚炎、脱毛、下痢、味覚異常の他、総合ビタミン不足による脳症、ブドウ糖大量投与による低リン血症、カリウムの変動、消化吸収障害のある患者では、マグネシウムやカルシウム欠乏がみられる。
・ 定期的な血液検査、投与水分量、尿量や体重を確認する。
③ 肝機能障害。
・ 絶食で消化管を使用しないことで、胆のう収縮能が低下し、肝機能障害がみられる。
・ 発熱や肝機能を示す数値の上昇が認められる。
④ 長期留置によるカテーテル先端移動や血管穿孔。
・ 定期的な胸部レントゲン撮影により確認する。
中心静脈栄養の感染経路
① 輸液ルート接続部からの血流感染。
・ 病棟で薬剤調整などの操作を行うと、輸液が汚染されやすい。
② 輸液からの血流感染。
・ 輸液ルート交換時に、中心静脈カテーテルとの接続部が汚染されやすい。
・ 輸液ルートについても、三方活栓のハブが汚染されやすい。
・ 閉鎖式輸液システムを用いることが望ましい。
③ カテーテル挿入部位からの血流感染。
・ 常在菌の増殖による最近侵入が多い。
・ 患者の易感染状態や発汗なども影響する。
・ 汚染予防の為の管理を考えると、穿刺部位は鎖骨下が望ましい。
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中心静脈栄養中のチェックポイント
① 血液が輸液ルートに逆流していないか。
・ 中心静脈カテーテル挿入部から、血液が輸液ルートに逆流していないことを確認する。
・ 輸液ルートに血液が逆流した場合、血液が凝固し、血栓が形成される。
血栓が血流にのり肺塞栓や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす恐れがある。
② 輸液は指示量が指示された時間で投与されているか。
・ 指示された点滴速度での滴下が守れれていることを確認する。
・ 輸液バッグの残量が、減少していることを確認する。
③ 悪寒を伴う発熱はないか。
・ 中心静脈カテーテルが大血管に持続的に挿入されている為、感染すると全身への血流感染になる。
放置すると敗血症を引き起こす。
・ 悪寒を伴う発熱がある場合、高熱が持続する場合は、カテーテル関連血流感染を疑う。
・ カテーテル関連血流感染の可能性がある場合は、医師に報告し早期に抜去する。
④ 挿入部位の縫合糸は外れていないか。
・ 中心静脈カテーテルの脱出、抜去時は再挿入となる。
・ 挿入部位と輸液ルートの観察を定期的に行う。
参考資料:ビジュアル臨床看護技術ガイド
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