1 血液ガス分析の介助の仕方
動脈穿刺による採血の介助(ガス分析の介助)
・動脈血のポイント
直接穿刺では、エア混入を避け、垂直に採取できるように配慮する。
選択される動脈は、橈骨動脈、上腕動脈、大体動脈が多い。
採血後は5分間圧迫止血する。
その後2時間バンソーコをする。
① 必要物品を準備する。
・ 直接穿刺用血液ガス専用シリンジと穿刺針
・ 専用キャップ
・ アルコール綿2つ
・ 未滅菌手袋(医師用と看護師用)
・ マスク
・ 圧迫止血用バンソーコ
・ トレイ
② 動脈血採取の必要性について患者に説明し理解を得る。
③ 手指衛生を行い、未滅菌手袋とマスクを装着する。
④ 医師が採血部位を選択する。
⑤ 看護師は医師にアルコール綿を渡す。
⑥ 看護師は医師に血液が専用シリンジと穿刺針を清潔に渡す。
医師はシリンジと針を接続する。
⑦ 医師は無い糖を採血の必要量まで引いておく。
・ 必要量まで内筒を引く(1ミリリットル程度)
⑧ 医師は針を血管に対して垂直に、動脈血が逆流してくる深さまで挿入する。
看護師は患者の状態を観察する。
・ 動脈穿刺中は出血が起こりやすい。
・ 痛み刺激に対して、ショック状態に陥ったり、身体が動いてしまう場合がある。
・ 看護師は患者の状態に注意して常に観察する。
[ad]
⑨ 動脈圧により、動脈血が必要量まで流入する。
・ 動脈血は血圧があるため、注射器を引かなくても、合わせた部位まで自動的に血液が流入する。
⑩ 必要量が採取できたら、医師は速やかに穿刺針を抜く。
穿刺部を消毒綿で押さえて、圧迫止血を行う。
・ 消毒綿の上からそのまま圧迫する。
・ 少なくとも5分間は圧迫を継続する。
⑪ 医師はシリンジを看護師に渡す。
⑫ 看護師はシリンジに専用キャップでリキャップする。
・ 運搬中の針刺しを防ぐ。
・ 専用キャップには、空気が入らないように針先が当たるところに、エラストマーというゼリー状のものが入っている。
⑬ シリンジを回転混和させながら運搬し、すぐに検査室に提出する。
・ 採血後は数分以内で検査しなければ、PaO2値が低下する。
・ 血液ガスは必ず迅速に測定する。
・ シリンジ内は、動脈血が固まらないように、あらかじめヘパリンでコーテイングされている。
・ 回転混和することで、ヘパリンを行き渡らせ凝結を防ぐ。
⑭ 医師は止血されていることを確認してから、圧迫止血用バンソーコで圧迫止血を継続する。
・ 抹消循環不全を起こさないように、 2時間以上はバンソーコを貼らない。
・ 看護師は抹消循環不全の症状がないか確認する。(脈拍、手足のしびれ、冷汗、冷感など)
参考資料:ビジュアル臨床看護技術ガイド。
看護技術・動脈採血(ガス分析)手順について
動脈血ガス分析
目的
動脈血液中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、ペーハー、酸素飽和度、重炭酸イオン濃度などを測定し、肺のガス交換機能、生体の酸塩基平衡を把握する
適応
① 重症患者
② 全身麻酔下の手術患者
③ 呼吸不全患者
④ 呼吸困難のある患者
⑤ 過換気症候群が疑われる患者
⑥ 人工呼吸器装着時
- 血液中の酸素や二酸化炭素は、ヘモグロビンなどと化合物を作って輸送されている。
- 左心室から拍出された動脈血ガスは細小動脈に至るまでは変化せずに全身どこでも同じであるが、肺胞や毛細血管において透過・拡散が起こって変化する。
- 一方、体液の水素イオン濃度を一定範囲に維持することは生体にとって重要であり、その調整は①血液の緩衝作用②呼吸③尿生成によって行われている。
- 動脈血ガスの値を総合的に判断することにより肺胞喚起状態、ガス交換の状態、PHの変化の影響要因、酸塩基調節障害を知ることができるため臨床的意義が大きい。
- 人工呼吸器の設定を決めていく過程の患者など状態が不安定でPaCO2やpHの変化に対処する必要がある場合には、不可欠な検査である
看護技術手順
使用物品の準備
・動脈血ガス採取専用の注射器、消毒綿、デイスポーザブル手袋、絆創膏
患者への説明
「足の付け根の動脈から血液を採り、血液の中の酸素や二酸化炭素の量を調べます」「針を刺すときにちくっとします」「すぐに終わりますので体の力を抜いて動かないでください」
検査前の準備
・患者の体位を整え、採血部位を露出する。穿刺部位は橈骨動脈、上腕動脈、大腿動脈の順に選択する
・体温、呼吸状態、体位、酸素流量、酸素濃度などを記録する
検査の実際
以下の採血手順は医師が行う。看護師は採血部位が動かないように固定し、患者の協力が得られるように声をかける。
① 採血する動脈の拍動を確認し消毒する
② 注射針を動脈に刺入する
③ 採血後、消毒綿で刺入部を抑え動脈を圧迫するようにしながら針を抜く
④ 圧迫を5分以上続けて止血する。「採決は終わりました。そこから出血しないようにしばらく押さえます」
⑤ 注射筒内の気泡を抜き、注射針をストッパーで密栓する
⑥ 注射器を掌でもんで、ゆっくり転がして攪拌する
⑦ 採血後10分以内に検査室に提出して測定する
検査後の手順
① 止血の介助として消毒綿の上から圧迫気味に絆創膏をはる
② 患者の衣類、体位を変える。止血が確認されるまでは安静にすることを説明する
③ バイタルサインを測定する
④ 出血、針刺入部の腫脹、痛みの有無を適宜観察する
⑤ 採決部位によって末梢の手足の色調と動脈拍動を観察し、左右差がないかを確認する
⑥ 完全に止血したことを確認後、絆創膏をとる
結果の記録
検査結果及び評価を記録する
参考資料:看護技術ベーシックス