透析を受ける患者の看護計画

看護計画

目次

#1一生透析を受けることに関連した精神的不安があり、透析を受けられない可能性がある

目標:血液透析の必要性が理解でき受け入れられる

OーP(観察)

1 患者背景の情報収集:職業、学歴、家族、家庭の経済状況、保険の種類、環境、性格など

2 疾患に対する知識、血液透析に対する知識の確認、血液透析療法を受容できているかを確認

3 患者の不安の内容を知る

4 患者の状態の把握:病歴、環境、検査データ

TーP(実施)

1 導入期は尿毒症性精神障害(イライラや不眠)があり、また血液透析拒否の心理があることを踏まえて情報収集を行う

2 家族の理解と励ましが必要であることを説明し協力を得る

3 医師のムンテラ内容を把握した上で患者に接する

EーP(教育)

1 血液透析療法が良く理解できることにポイントを置き導入前オリエンテーションを施行する

a 生命維持の為には機械による反復定期的治療が必要である

b 治癒させるための治療ではなく腎機能を代行させる物であるため一生必要である

c 医療側と患者の相互協力が不可欠な条件である

d 長期延命社会復帰が目標であり、確実にコントロールすれば目標は達成できる

e 自己管理が重要なポイントを占めるものであり、維持透析に至るまでは医療側の指示に従い訓練しなければならない

2 個々の患者の理解度に合わせ十分納得のいく説明を行い、患者の表情や反応をみながら繰り返し行う

3 患者にテストや面接を行い離解度をチェックする

4 導入前に血液透析室の見学を行いスタッフを紹介し、社会復帰している安定期患者との接触を図る

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#2血液透析導入に関連した社会復帰への不安がある

目標:現職復帰が不可能な場合は患者家族が納得できる社会復帰ができる

OーP(観察)

1 患者背景の情報収集:職業、学歴、家族、家庭の経済状況、保険の種類、環境、性格など

2 血液透析導入後現職復帰が可能か確認する

TーP(実施)

1 社会資源(身体障碍者手帳、更生医療、障害者医療助成制度、健康保険特定疾病療養受療証、傷病手当金、障害者年金、生活保護、公共職業安定所、雇用保険等)の紹介をする

2 夜間血液透析のあることを説明する

3 家族の理解と励ましが必要であることを説明し協力を得る

参考資料:標準看護計画

#3血液透析に関連した不均衡症候群の出現により、不安恐怖感が増大する可能性がある

目標:原因を明らかにすることにより不安や恐怖感が最小限に抑えられる

OーP(観察)

1 血液透析開始後はVSチェックを5分ごとに行う:血圧の変動のチェック

2 患者の表情や顔色の観察

3 自覚症状の観察:倦怠感、頭痛、悪心、嘔吐、見当識異常

4 身体症状の観察:振戦、けいれん、意識障害

TーP(実施)

1 重篤な場合は死に至ることもあり、上記観察を密に行い異常時には直ちに医師に報告し指示を受ける

2 嘔吐時は誤嚥に注意する

3 筋注時に備え救急カート、挿管の準備をしておく

4 血液透析中は安楽な体位で受けられるように工夫する

5 対症療法外に薬剤が与薬される場合がある

EーP(教育)

1 血液透析導入時には不均衡症候群の症状が見られ、これらの症状は一時的な物であり症状の悪化でないことを、患者の性格を把握した上で事前に説明しておく

2 症状出現時は看護師や医師にすぐに報告するように説明する

#4急速な除水や大量の水分除去に関連した低血圧からショック状態に陥る可能性がある

目標:患者に合った除水速度、水分除去が行われショックにならない

OーP(観察)

1 血液透析開始時は、5分ごとのVSチャック:特に血圧変動に注意する。安定すればVSチェックの間隔を延長する

2 モニタ装着をし心電図の観察を行う

3 血液透析中の患者の顔色、表情の観察

4 低血圧ショックの前駆症状の観察:欠伸、尿意便意の訴え、血流量の減少、意識レベルの低下

5 ドライウエイトの把握

TーP(実施)

1 ドライウエイトが維持できるよう、血液透析による除水と患者の食生活(特に塩分水分の摂取)のバランスを考える

2 血液透析中血圧の低下がみられる場合にはすぐに医師に報告、他の一般状態の観察を行う

3 低血圧ショック時の第一の処置は、減少した循環血流量を増加させるため200mlくらいの生食等の急速輸液を行う

4 ショック体位をとる

5 血液透析効率を低下(徐水量低下、中止)させ体液浸透圧を緩やかにする:医師による

EーP(教育)

1 血液透析中気分不快など自覚症状がある場合は直ちに医師科看護師に伝えるように指導する

#5慢性腎不全食と血液透析食が異なる為戸惑うことがある

目標:治療食の必要性が分かりかつ慢性腎不全食と血液透析食の違いが理解できる

OーP(観察)

1 患者の情報収集:現疾患、年齢、体重、合併症の有無、嗜好これまでの食習慣など

2 食欲の有無

3 食事摂取量の観察

4 食事療法についての理解度の把握

TーP(実施)

1 食欲不振の患者にはカロリー不足にならないように、櫃夜に応じ一時的に塩分緩和をし食欲増進を図る

EーP(教育)

1 情報収集したことを栄養士に伝え食事指導を行う:基本

a 充分なカロリー摂取:通常35~45cal/ kg/日

b プロテインスコアの高い質量のたんぱく質の十分な摂取:1~1,5g/Kg/日

c 塩分水分の摂取制限:食塩5~7g /日、水分は体重増加量が2日間でドライウエイトの4%以内、一日の水分摂取量=一日尿量+200mm以内

d カリウムの制限

#6乱暴なシャント部の取り扱いによりトラブル出現の可能性がある

目標:シャントの必要性を理解しトラブルなく自己管理できる

OーP(観察)

1 シャント部の観察:シャント音、拍動、発赤腫脹

2 疼痛、違和感の有無

TーP(実施)

1 検温時シャント音の聴収:リズム、音の強弱、速度

2 シャント造設後抜糸までは毎日ガーゼ交換

3 採血はシャント側の反対側の手の甲より行う

4 止血時には正確に血管穿刺部位を圧迫する

EーP(教育)

1 シャント側肢の長期間強度の屈曲を禁止する

2 シャント付近の長期間持続圧迫を禁止する

3 シャント部に強い衝撃を与えず、外傷をつくらないように保護の指導を行う

4 異常時には医師か看護師に伝えるように説明する

 

#7入院から外来血液透析に変化することに対し不安を持つ

目標:不安なく外来血液透析が受けられ家庭生活に順応できる

OーP(観察)

1 退院に際し患者、家族の持つ不安を確認する

2 患者の背景を再確認する

TーP(実施)

1 退院前に何回か試験外泊を行い自信を持たせる

2 家族の協力の必要性を再確認する

3 転医先のスタッフが患者を理解出来るよう維持血液透析を行う病院へ紹介状を書く

4 転医先の雰囲気に早くなじめるように時間があれば、維持血液透析を行う病院へ案内しスタッフの紹介をしておく

EーP(教育)

1 入院中から規則正しい生活をするように指導する

#8食事制限に苦痛を感じることに関連した水分Naが過剰になる危険性がある

目標:食欲を喪わず血液透析食の摂取が続けられる

OーP(観察)

1 食事摂取量、食欲の観察

2 間食の有無の観察

3 ドライウエイトの確認

4 患者の血液透析食に関する知識の確認

5 検査データの観察

EーP(教育)

1 血液透析食の基本

a 充分なカロリー摂取:通常35~45cal/ kg/日

b プロテインスコアの高い質量のたんぱく質の十分な摂取:1~1,5g/Kg/日

c 塩分水分の摂取制限:食塩5~7g /日、水分は体重増加量が2日間でドライウエイトの4%以内、一日の水分摂取量=一日尿量+200mm以内

d カリウムの制限

2 美味しく食べる為のアドバイスを行う

3 高カリウム防止の為カリウムを含む食物の摂取制限をし、加えて予防の為十分なカロリー補給を行うように説明する

4 家族に対し患者を過保護にせず、重病人扱いしないように指導する

5 患者の神経が食事、水分ばかりに集中しないように何か熱中することを持つように指導する

参考資料:標準看護計画

#9水Na貯留に関連し体液量増加となり心不全に進展し生命に危険が生じる可能性がある

目標:水Naの過剰摂取せず自己管理が出来心不全に陥らない

OーP(観察)

1 VS

2 呼吸状態の観察

a 呼吸数、呼吸音、呼吸状態

b 咳嗽、喀痰の有無

c チアノーゼの有無

3 浮腫の有無

4 体重の変動の観察:早朝排尿後朝食までに測定

5 尿量

6 食事摂取量、飲水量、間食の有無

7 水分出納

8 自覚症状の観察

9 検査データの把握:電解質、血液ガス、胸部レントゲン

TーP(実施)

1 食塩と水分摂取の制限をする

2 ドライウエイトを設定し体重の増減を観察し水分ナトリウムの除去を考慮した血液透析とする

3 体重の増減のみの観察ではなくきめ細かな観察を行い水分ナトリウムが過剰にならないように援助する

EーP(教育)

1 水ナトリウムが貯留し体液の増加が心不全を起こし生命に危険な因子を持つことを説明しておく

#10水Na貯留に関連し心外膜炎が合併することがあり、熱発胸痛が出現し苦痛を招く可能性がある

目標:体液の改善により心外膜炎が治癒し症状が消失することで患者が安心できる

OーP(観察)

1 VS,P

2 熱発時は熱型の観察

3 胸部症状の有無:胸痛、胸部重圧感、動悸

4 ECG測定

5 呼吸困難の有無

TーP(実施)

1 熱発時は患者が安楽になるように援助する:ADL介助

a 配膳と下膳

b 清潔介助:清拭、陰部洗浄、足浴

c 環境整備

d 発汗後の清拭

e 希望により冷罨法

2 抗生物質の確実な与薬

3 心嚢液貯留時、心嚢穿刺をする場合、患者の不安を除く。清潔操作で援助する

#11心不全に伴う毛細血管圧上昇、血管障害とこれによる毛細血管透過性亢進に関連し肺水腫が起こり呼吸困難が出現し苦痛である

目標:血液透析により肺水腫の軽減をみ、症状が消失する

OーP(観察)

1 VS

2 呼吸状態の観察

a RR,呼吸リズム

b 呼吸音、肺雑音の有無

c 起坐呼吸の有無

d 抹消循環障害の有無:チアノーゼ、末梢冷感

3 尿量チェック8時間ごと

4 水分出納チェック

5 検査データ:胸部レントゲン、血液ガス、電解質

TーP(実施)

1 安楽な体位をとり苦痛を和らげる

2 酸素吸入:準備と施行

3 モニタ装着

4 体重測定毎日

5 末梢冷感出現時、湯たんぽなどで保温を行う

EーP(教育)

1 充分な血液透析で症状の軽快を見ることを説明し不安を取り除く

2 ナトリウム水分の過剰摂取が現在の状態となっていることを説明し、制限の必要性指導を行う

#12高カリウム含有食品の過剰摂取や組織崩壊、異化作用の為高カリウム血症になることに関連した危険な不整脈を引き起こし急死する恐れがある

目標:高カリウム食品摂取の自制が出来高カリウム血症に陥らない

OーP(観察)

1 カリウム食品に対する知識の確認

2 モニタ観察:T波の増高

3 症状の観察:四肢のしびれ、知覚障害

4 ジギタリス使用患者の場合カリウム補正時、特にジギタリス中症状、不整脈の観察を行う

5 高カリウム含有食品を間食にしていないか確認

6 検査データの把握:血清カリウム、血液ガス

TーP(実施)

1 モニタ装着

2 モニタ上危険な不整脈発見時は直ちに医師に報告する

3 緊急時に備えアルカリ輸液、塩化カルシウム、ブドウ糖、インスリンなどを準備しておく

EーP(教育)

1 高カリウム血症がなぜ危険であるか説明しておく

2 再度高カリウム食品についての説明、摂取方法を指導する

#13血液透析導入後も高血圧が持続することにより患者が不安を持ちまた循環血漿量の増加により、うっ血性心不全に陥る恐れがある

目標:高血圧の治療が有効に行われ心不全への悪化がない

OーP(観察)

1 血圧の変動の観察

2 自覚症状の観察:頭痛、吐気、嘔吐、呼吸困難、咳嗽、喀痰の有無

3 呼吸状態の観察

a RR,リズム

b 起坐呼吸の有無

c チアノーゼの有無

4 検査データ

TーP(実施)

1 内服薬が確実に内服できているか確認する

2 尿量のチェック

3 水分出納チェック

4 水分ナトリウムの制限を行う

EーP(教育)

1 高血圧の弊害について説明する

#14シャントの管理が不十分なことに関連した細菌感染の可能性がある

目標:シャント部を清潔に保持、保護することにより細菌感染を起こさない

OーP(観察)

1 シャント部の観察:発赤、腫脹、疼痛の有無

2 熱型の観察

3 シャント音拍動の観察

4 違和感の有無

TーP(実施)

1 シャント穿刺時清潔操作ができるように介助する

2 穿刺部汚染時は十分な消毒を行う

3 良好な栄養状態を保つ

4 保温に努め官房に罹患しないように注意する

5 熱発時は患者が安楽になるように援助する

a 必要なADL介助

b 清潔介助

c 発汗後の清拭、寝衣交換

d 希望時冷罨法

e 解熱剤の与薬

6 感染時、感受性のある抗生物質の確実な与薬、副作用に注意する

EーP(教育)

1 感染予防には良好な栄養状態が必要であることを説明する

2 シャント部の保護に留意し、外傷を予防するように指導する

参考資料:標準看護計画

#15貧血に関連し倦怠感、無気力感、胸内苦悶等の症状が出現する可能性がある

目標:日常背活に支障がない程度に貧血が改善し症状が軽減する

OーP(観察)

1 自覚症状の観察:倦怠感、無気力、呼吸困難、胸内苦悶、眩暈、ふらつき

2 VS

3 検査データの把握:CBC,Fe

TーP(実施)

1 無駄な採血はしない

2 シャント穿刺時きちんと固定し出血を引き起こさない

3 血液透析終了後きちんと止血する

4 消化管出血、痔出血、月経過多による出血に注意する

5 血性てつが正常値以下の場合経口又は注射で鉄剤の与薬を行う

6 輸血施行時は確実な輸血を行い副作用に注意する

7 貧血症状が強い場合、必要なADLの介助を行う

EーP(教育)

1 血液透析患者の貧血の原因の説明をする

2 輸血は残存エリスロポエチン分泌能を抑制する為重症の貧血以外使用しないことを説明する

#16カルシウムの代謝異常に関連した骨変化が生じ関節痛が出現する可能性がある

目標:血性カルシウム値が維持でき骨変化が起こらない

OーP(観察)

1 関節痛の有無:腰部、肋骨、股関節、膝関節、足関節、肩関節

a 自発痛か、過重時か、体動時か

b 関節痛の部位

c 持続時間

2 疼痛部位、皮膚の色、腫脹の有無

3 持続的なデータの把握:血性P、血性カルシウム

TーP(実施)

1 疼痛部の安静

2 転倒防止:ベッド周囲や廊下などの環境整備を行う

3 カルシウム塩の確実な内服

4 低カルシウム血症の場合、高カルシウム含有の摂取を勧める

5 高リン血症の場合、アルミニウム製剤の確実な与薬

6 低リン血症の場合、Pを低下させる諸因子を排除しても低P血症が持続する場合は中性リン酸塩を使用する

EーP(教育)

1 カルシウム代謝異常により骨病変があるため転倒などに注意するように指導する

#17カルシウム代謝異常により皮膚掻痒症が起こり患者が不快である

目標:代謝異常の是正により、掻痒感が軽減され患者の不快が軽減する

OーP(観察)

1 掻痒感の有無と部位

2 皮膚掻破による出血の有無

3 検査データの把握:P,Ca

TーP(実施)

1 掻破による出血のある場合は、生国を行いガーゼを当て清潔を保つ

2 保清、皮膚の清潔を保つ

a 清拭

b 洗髪、入浴

c 効果があれば百草清拭

3 高リン血症、低リン血症の是正

4 掻痒感軽減の為軟膏を処方してもらい塗布する

EーP(教育)

1 代謝異常の是正により掻痒患者の軽減を見ることを説明する

2 皮膚掻破は感染源となる可能性があるので掻破をしないように説明する

参考資料:標準看護計画

料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A

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