胃食道静脈瘤破裂時の看護計画

循環器系看護計画

目次

#1吐血下血による出血性ショックに陥りやすく生命の危険がある

目標:出血を早期に発見し重篤なショック状態に陥らない

OーP(観察)

1 VS:医師の指示に基づく

a 血圧

b PR:数、リズム、緊張度、心電図モニターによる不整脈の監視

c R:RR、呼吸の深さ、呼吸パターン、呼吸音、口唇チアノーゼの有無、呼吸困難

d 尿量、性状、水分出納チェック、脱水症状

2 SBチューブ挿入中の食道圧、重りの量

3 吐血の量と性状

4 胃部・腹部症状

5 下血の有無、性状、量

6 出血傾向の有無、出血班、採血時の止血状態、筋肉注射後の内出血の有無

7 検査データの把握:Hb、Ht、TP、BUN、アンモニア。内視鏡:出血の部位、潰瘍の有無

TーP(実施)

1 血管確保、救急カート、モニタの準備

2 ショック体位の保持

3 輸液の管理

4 気道確保の準備

a 肺炎及びチアノーゼを起こす危険がある場合:気管切開の準備

b 気管内挿管時:呼吸管理

5 酸素吸入の準備

6 胃洗浄の準備と介助

7 輸血の準備と管理

8 ゼングスターゲン―ブレークモア・チューブの準備、介助、管理

9 内視鏡検査の介助:止血目的(吐血が治まった時点で実施、左側臥位を保持)

10 安楽な体位の工夫

11 処置時、院内感染防止に努めゴム手袋とマスクを使用し、医療器具はデイスポーザブル製品を使用する

#2吐血時誤嚥することにより、気道閉塞の危険がある

目標:誤嚥予防の為の体位をとることが出来、窒息しない

OーP(観察)

1 吐血時:性状量の観察、胃内出血と喀血の鑑別、量の測定、色混入物の観察、胃部腹部症状

TーP(実施)

1 吐血時

a 患者の顔を横に向け嘔吐しやすくする

b 嘔吐が治まると含嗽させ口腔内の血液臭、不快感をとりのぞく

c 胃部の安静冷罨法

d 吐物は速やかに処理しベッドサイドの周辺を整理する

EーP(教育)

1 吐物は飲み込まず吐き出すように説明する

2 安静の必要性の説明

#3ゼングスターゲン―ブレークモア・チューブ挿入による苦痛がある

目標:チューブによる不快感及び苦痛が最小限にとどめられる

OーP(観察)

1 VS、ゼングスターゲン―ブレークモア・チューブの固定状態

2 口腔内の観察

3 鼻腔の皮膚状態の観察(発赤、掻痒感、ビラン)

4 再出血の有無

5 胃内容物の排泄量、性状の観察

6 検査データ

7 食道圧:適切に牽引されているかどうかの観察

8 患者の言動

TーP(実施)

1 ゼングスターゲン―ブレークモア・チューブ挿入管理

a 医師の指示にて食道圧の確認を行い、減圧は医師が施行する

b 胃内容物は定期的に吸引する

2 チューブ挿入によりコミュニケーションが図れない場合、筆談、又は患者が頷く程度にする

3 腰背部痛時はバスタイルを薄く挿入したりシップを貼付するなどし安楽に努める

4 口腔内の清潔保持に努め含嗽を促す

5 鼻腔の痛み:交換時医師の指示を受ける

EーP(教育)

1 SBチューブの必要性を説明する

2 チューブ類は絶対触らないように説明しておく

3 苦痛増強時は報告するように指導する

#4大量出血による肝血流量の不足の為肝性昏睡になる危険性がある

目標:肝性昏睡の早期発見に努め、意識レベルが現在よりも低下せず適切な処置が受けられる

OーP(観察)

1 意識レベルの観察:

a 肝性昏睡の分類に沿った観察

b アンモニア臭の有無

c 肝性昏睡とショックの鑑別

d 羽ばたき振戦の有無

2 一般状態の観察:

a 胃痛、胃部不快感、吐気、胸部違和感、腹部膨満感、腸雑音、貧血、冷感、体温上昇の有無

b 眼球皮膚黄染の有無

c 浮腫腹水の有無

3 検査データのチェック

TーP(実施)

1 意識レベルには十分注意し危険防止に努める

#5多量の吐血下血により精神的動揺がある

目標:現在の状態を理解でき積極的に治療を受領することが出来る

OーP(観察)

1 行動、態度、表情、イラつき、睡眠障害、家族からの情報

TーP(実施)

1 心身の安静に努め不安を表現しやすい雰囲気づくりに努める

2 明らかな不安行動を示す時医師に報告し指示を受ける

3 特に夜間は入眠できるようにする

4 家族との面会

5 状態に応じて付き添いを許可する

6 環境の整備

EーP(教育)

1 不安の軽減を図るため説明する:

a 病状について説明する

b 安静について説明する

2 家族にも説明し協力を得る

#6頻回の下血により陰部の清潔保持が困難である

目標:患者に負担を掛けないように清潔に留意し、陰部の発赤やビランを起こさない

OーP(観察)

1 下血時:性状量の観察、色、粘血便、不消化物や膿などの混入物の有無、量の測定

TーP(実施)

1 下血時:

a紙おむつ使用

b 排泄毎、臀部を微温等で清拭乾燥させる

c 交換は2人以上で胃部の安静を図るように静かに行う

#7安静や欠食により便秘になりやすく、排便時の努責により再出血を起こす可能性がある

目標:ラックロース下剤使用にて排便があり血中アンモニア値が上昇しない

OーP(観察)

1 便の回数、性状、量

2 腹痛、腹部膨満感、吐気の有無

TーP(実施)

1 医師の指示に従い、浣腸、緩下剤、ラックロースなど使用

EーP(教育)

1 排便時努責や腹圧を掛けないように説明する

#8肝性の意識障害により安静が保てないため再出血を起こす可能性がある

目標:再出血を起こす兆候を早期に発見対処し症状が悪化しない

OーP(観察)

1 出血傾向の有無の観察:

a 採血時の止血状態

b 出血班、内出血の有無

2 不穏状態の有無と程度

TーP(実施)

1 清拭などは2人以上で行い、短時間で手早く静かに行う

2 体動が激しい場合、医師の指示により鎮静剤を使用する

3 安全の確保

EーP(教育)

1 安静の必要性

#9うっ血により水分出納のバランスが崩れる可能性がある

目標:脱水状態を起こさない

OーP(観察)

1 脱水症状の観察:

a 皮膚、舌の乾燥状態、口渇の有無、程度、発汗の程度

2 水分出納、8時間ごと:

a 尿量は1~2時間ごとに測定

b 尿比重

3 電解質、BUN、クレアチニン

TーP(実施)

1 口渇に対しては含嗽させる

2 皮膚の清潔に努める

3 指示による輸液の管理

#10血中アンモニア値の上昇、吐血下血により快適な環境が維持できない

目標:不快感がなく安静が保てる

OーP(観察)

1 吐血下血の有無

TーP(実施)

1 吐血下血時、排泄物はその都度処理

2 換気、脱臭剤の使用

3 環境整備

4 口腔内のケア

#11再出血と処置に対する不安がある

目標:積極的に治療が受容でき、不安を口に出して訴えることが出来る

OーP(観察)

1 患者の言動

2 家族の言動

TーP(実施)

1 医師より本人家族に現在の状態を十分に説明してもらう

2 心身の安静に努め不安を表現しやすい雰囲気づくりに努め不安の軽減を図る

3 処置治療時には必ず必要性を説明し、声掛けを行いながら施行する

4 家族の訴えや質問に十分答える

5 状況に応じて付き添いを許可する

#12長期間の安静を強いられている為不安も強く、日常生活の自立困難な場合が多い

目標:状態を理解し段階に合った生活が送れる

OーP(観察)

1 患者の表情言動不安の内容、病状の理解度ADL程度

TーP(実施)

1 安静、運動:

a 症状や検査データに注意し医師と相談しながら決定する

2 食事、栄養:

a 高カロリー輸液の管理

b 流動食⇒3分がゆ⇒5分がゆ⇒全粥⇒軟菜⇒常食

EーP(教育)

1 現在の病状説明を行い、安静の必要性を説明

2 高カロリー、高タンパク質、高ビタミンの必要性を説明

3 塩分、脂肪の制限の必要性

4 便通を整え規則正しい食生活

5 努責や腹圧を加えない、また大声を出さない

6 緊張や興奮をさせないよう、面会制限など人的環境を整える

7 充分な睡眠をとる

参考資料:標準看護計画

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