#1 入院から手術まで:アダムストークス発作を起こし生命に危険が及ぶ可能性がある
目標:発作出現時早期に救急処置を施すことが出来る
OーP(観察)
1 自覚症状:動悸、息切れ、頭痛、眩暈の有無
2 失神発作の有無、程度、時期
3 全身状態:血圧、HR、R、意識レベル、けいれんなど
4 モニタの観察:入眠時、覚醒時
5 血圧値とその変動
6 検査データ:心電図、心胸比
7 睡眠時間、寝つき、熟睡感
TーP(実施)
1 失神発作時の対処:
a救急カート、吸引セット、酸素、点滴など
b衣服緊縛の除去
c心身安静
d舌咬傷の予防処置:舌圧子、バイトブロックの使用
2 徐脈時の対処:
a医師の特別指示せんがある場合はそれに従う
b原則として血圧を測定し、血圧低下の有無をチェックする
c入眠時であれば覚醒させ、HRの変動を見る
3 危険防止:
aベッド周囲の整理整頓
bベッド柵を3個使用する
4 不安の緩和、精神的支援:訪室回数を多くし話をゆっくり聞く
5 正確な与薬:確実な与薬に気を配る
EーP(教育)
1 ベッド周囲の整理整頓をするように指導する、不要なものは持ち帰るように指導する
2 動悸ふらつき胸部不快が起こりそうであれば、すぐにナースコールするように説明する
3 モニタ装着中の注意:
a 指示された行動範囲を守る
b ベッドサイドにハムの原因となるものを置かない
c 電極の異常時はナースコールするように説明する
4 アダムストークス発作症状を説明し、症状出現時にはすぐにスタッフに連絡するように指導する
5 内服薬を医師の指示通り確実に内服するように指導する
#2 ペースメーカー植え込みに対して不安がある
目標:ペースメーカー植え込みの意義、手技、術後の安静などが理解でき不安が軽減されスムーズに手術が受けられる
OーP(観察)
1 入院生活や手術に対する訴え
2 ペースメーカーに対する理解度
3 疾患に対する理解度
4 精神状態:食欲、睡眠状態、患者の言動
TーP(実施)
1 不安の緩和、精神的支援:訪室回数を多くして話をゆっくり聞く。処置は適宜患者に声を掛けながら行う
2 心電図モニタ監視:24時間モニタリング
3 指示により薬剤与薬
a β受容体興奮剤:硫酸アトロピン
b 抗凝固療法、止血剤使用中にはその中止時期:減量与薬時期に注意
4 術前オリエンテーション
a ペースメーカー植え込み場所の決定
b 仕事の内容
c 聞き手の確認
5 術前指示書及びチェックリストに基づいた術前処置の実施
EーP(教育)
1チェックリストに基づき術前オリエンテーションを行う
a 手術の日時、場所、服装
b 絶飲食の時間
c 中止案の説明
d 術前ルート確保、注射の指示
e 前日の与薬:睡眠剤と下剤
f 床上排尿指示
g 術後の安静度:ペースメーカー植え込み術後のオリエンテーション用紙を用いる
h 必要物品:三角布、T字帯、吸い飲みなど
2 植え込み術の意義、手技、術後安静の説明:医師より施行されるが理解不十分な点があれば補足又は医師へ再確認する
#3 入院時から手術まで発作性頻脈を起こすことがある
目標:発作性頻脈が早期に発見され適切な処置が施される
OーP(観察)
1モニター観察
a 安静時と発作時でのHRの変動
b 密に観察し発作出現に注意する
2 VSチェック
a 発作時の血圧低下の有無
b 循環動態の観察
TーP(実施)
1 発作出現時
a 医師に報告し救急カートとショックボックスを持ち急行する
b ルート確保の準備を行う
c 医師の指示により敏速にDCの用意をする
EーP(教育)
1 発作経験者には前駆症状があり次第ナースコールするように指導する
2 医師の許可した行動範囲、運動制限を守るように説明する
3 確実な服薬指導
#4 出血、感染、血栓形成などの合併症を招く恐れがある
目標:合併症を起こさずに経過する
OーP(観察)
1 創部の状態の観察
a 創部の出血、ガーゼ汚染の有無
b 発赤、腫脹、離解の有無
c 皮下血腫の有無と程度
2 足背動脈、その他の動脈触知状況の手術前後の差
3 自覚症状の有無
a 疼痛:創部痛、その他の部位かどうか、そう痛の程度
b 悪寒戦慄の有無
c 痺れ感、頭痛の有無
4 検査データの把握
a WBC PT CRP 血沈など
5 VSのチェック
a 熱発の有無
b 血圧の変動
c 四肢末梢冷感の有無
TーP(実施)
1 ガーゼ交換の介助:一日1回
2 熱発時氷枕を使用するとともに医師報告する
3 点滴ルートがある場合はその管理も行う
4 ナースコールは患者の使用可能な場所に置く
EーP(教育)
1 皮下出血は消失するまで時間を要することを説明する
参考資料:標準看護計画
#5 患側上肢固定と床上安静が強いられ苦痛である
目標:患側前腕の循環障害をきたさず安静が守れる。安静臥床、運動制限による苦痛が緩和される
OーP(観察)
1 患側前腕の循環状態の観察:爪床色、しびれ感の有無
2 安静が守られているか否かの観察
3 安静による苦痛と疼痛部位(肩腰背部)の観察
TーP(実施)
1 肩関節を動かさないままのひじ関節、手関節の動きは制限せず看護師確認下で時々関節運動を行う:術後24時間以後
2 体位制限内で安楽な体位の工夫をする:枕やバスタオルなどを使用する
3 座位や離床時には三角布使用の介助をする
4 手術当日は床上での食事、洗面、排泄を介助する
5 デイルームまでの歩行が許可されるまでは配膳、下膳、配茶などを行う
6 身体の保清
a 清拭:発汗時は患側腋窩に特に注意して行う
b 洗髪:患者の希望に応じて行う
c 絆創膏の汚染はベンジンでふき取る
d 筋肉痛に対しては湿布を貼付する
EーP(教育)
1 ペースメーカー植え込み術後のオリエンテーションプログラムに沿って安静解除を行うことを説明する
2 安静はジェネレータ本体の固定と電極離脱の防止の為に大切だという事を簡単な図を持って説明する
3 術後1週間は三角布を装着するように指導する
4 ペースメーカー本体収納部位を圧迫したりぶつけたりしないように指導する
#6 ペースメーカー作動不全やペースメーカー症候群が起こる可能性がある
目標:ペースメーカー作動不全や不快な症状をきたさず順調に経過する
OーP(観察)
1 ECGモニタを装着し観察する:ペースメーカーのモード、電極の位置、設定レート数、出力、閾値を把握しておく
a ペースメーカー刺激波とQRS波の関係、QRS波の幅
b センシングミスとペーシングミスの有無
c HR、呼吸
d ペースメーカー作動時のレートは設定数になっているかどうか
e ペーシング作動状況:自己レートとペーシングレートの割合
f 以下のペーシング失調が起こりうることを知っておく
(バッテリーの消耗、電極の離脱、リード線の断線、センシング不全、オーバーセンシング、電磁波障害)
2 ペースメーカー不全徴候の有無
a 血圧低下、尿量減少
b 動悸、胸痛、冷感
c 呼吸困難と疲労、眩暈
3 吃逆の有無:横隔膜刺激症状
TーP(実施)
1 ペースメーカー作動不全、ペースメーカー症候群症状出現時至急医師に報告する
2 モニタ上では判断できない波形出現時は12誘導をとる
3 ペーシング設定を変更する時はその都度、医師より変更後の条件を確認して置き正しく申し送りをする
4 モニタ記録を行い用紙を看護2号用紙に貼付して看護記事を付け加える
EーP(教育)
1 ペースメーカー植え込みに伴い起こりうる症状を説明し、その不快な症状が出現した場合はすぐにナースコールするように指導する
2 モニタは寝衣の胸ポケットに入れると、本体を圧迫する場合があるので位置に気を付けるように説明する
3 モニタの状態が悪い場合は、深夜でも付け直すことがあることをあらかじめ説明しておく
#7 退院後の日常生活に不安がある
目標:PR測定が確実に行える。日常生活の注意事項が理解できる
OーP(観察)
1 退院後の日常生活環境:家族、仕事、趣味など
2 ペースメーカーに対する理解度
3 PR測定の実施、正確さの有無
4 創部の癒合状態を観察する:ケロイドの有無、女性の場合は特に注意する
TーP(実施)
1 検温時に看護師と同時にPR数の自己測定を行う
2 創部の状態(外観的にケロイドなどがあり)に問題があれば医師に報告する
EーP(教育)
1 ペースメーカーのしおりとペースメーカー手帳を用いて生活指導をする:本人と身近な家族を交えて
a ペースメーカーの設定:HR(数/分)
b 自己測定しPRが設定より少ない場合は、直ちに主治医に連絡を取るか外来受診するように指導する
c 患者の脈が整脈か不整脈であるかを説明して置きそのリズムが変わった場合は注意するように説明する
d 安静時の自分にPR数を知っておく
e 自己検脈は一日2階以上は1分間測定するように指導する
f 電気カミソリ、電気毛布、電子レンジなどは使用法を正しく行えば問題ない
g 強い磁石をペースメーカーに当ててはいけない
h ペースメーカー手帳は常に携帯しておく
i 運動、妊娠等は主治医に相談する
j 海外旅行の際は金属探知機が作動することを留意しておく
k 漏電に注意する
l 電気治療器、低周波治療器は使用しない
m 歯科医を受診する時はペースメーカー手帳を提示する
n 植え込み部位の異常時には外来受診する:局所の発赤、疼痛、掻痒感
o 胸部の保護:打撲に注意
p 異常症状が出現したらすぐに外来を受診する:動悸、呼吸困難、胸痛、吃逆、咳嗽、浮腫
q 内服h確実に行う:それぞれの薬効を知っておく
#8 血行及び創直接感染により縫合不全、敗血症を起こすことがある
目標:感染に対しての予防処置が受けられ、再手術という状態をきたさない
OーP(観察)
1 熱型、発熱の程度、悪寒戦慄の有無
2 細菌性ショックの有無
3 創部の発赤、腫脹、疼痛の有無
TーP(実施)
1 縫合部の補正:ガーゼ交換時の清潔操作
2 各ルートの管理
a 動脈ライン、末梢ライン
3 抗生物質の確実投与
4 血液データのチェック:CRP、WBC、ESR、血液培養など
EーP(教育)
1 ガーゼ、各ルートの除去、予防の説明
2 抗生物質内服時は時間を正確に守るように説明する
#9 徐脈に慣れているからだがペースメーカーにより、急に心拍数が多くなり末梢の循環血液量が増加する為に一時的にペースメーカー症候群が起こる
目標:ペーシング開始直後に起こりやすく予測される症状に対して予防策を講じ、症状出現時には最小限に抑えることが出来る
OーP(観察)
1 ペースメーカー症候群の有無:動悸、呼吸困難、顔面紅潮、発汗、眩暈、胸内苦悶、胸痛
TーP(実施)
1 ECGモニタ監視:24時間モニタリング
2 対症療法
3 場合により薬物療法
EーP(教育)
1 一時的に発症するものであり、十分患者の説明し不安の軽減に努める
#10 カテーテル電極の心筋穿通やペースメーカースパイクの横隔膜刺激等によって、吃逆、心タンポナーデ、血栓形成を見ることがある
目標:以上の早期発見、予防に努める
TーP(実施)
1 心負荷の軽減
a 酸素吸入
b 心身の安静と保温
c カテコラミン投与による心筋収縮力の増加
d 場合によりLABPの使用
2 安静度の再確認、体動の制限
3 不整脈の監視
4 水分出納チェック
a 水分出納バランスの一定保持化
b CVP測定
c 尿量維持の他面利尿剤の投与
5 電解質データの把握:Na、k、cl、caの補正
6 循環動態の安定を図る
a 血圧変動因子の除去に努める(排便、入浴、精神的ストレス等)
7 血栓症状出現時には医師の指示により抗凝固剤を投与する
a 予防的に抗凝固剤を服用している場合は、術中術後の出血傾向予防の為術前数日前より中止する場合が多い。何時まで服用するのか確認しておく必要がある
EーP(教育)
1 血栓症または出血傾向症状について説明し、症状出現時にはすぐに知らせるように指導する
#11 生命に危険な種々のペーシング不全が出現する可能性がある
目標:異常の早期発見と正しい対処により人工ペーシングがスムーズに作動する
OーP(観察)
1 PR、性状、不整脈の有無
2 刺激スパイク数とスパイク後のQRS群の有無
3 胸部不快感、呼吸困難、動悸などの自覚症状の有無
4 ショック症状、アダムストークス発作の有無
TーP(実施)
1 どういう場合にトラブルが起きるか知っておく
a 無効スパイク
b スパイク波の欠如
c デマンド機能作動不全
d 刺激ルートの変化
e ジェネレーターの故障
f 競合現象 異常のことがあればすぐ医師へ報告する
#12 術後8時間はカテーテル電極の離脱、移行を起こさない
目標:患肢の絶対安静によりそれを防ぎ再手術カテーテルワイヤー再挿入、再固定とならない
OーP(観察)
1 PR、性状、不整脈の有無
2 ECG波形の把握
a ペーシング波形、スパイク波の欠如の有無
3 ショック症状、アダムストークス発作の有無
TーP(実施)
1 患肢の絶対安静
a 三角布による固定
b ADL介助
参考資料:標準看護計画
料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A
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