慢性腎炎患者の看護計画

看護計画

目次

慢性腎炎患者の看護計画

#1種々の治療に関連した副作用出現の可能性がある

目標:治療の目的を理解でき副作用の兆候を訴えることが出来る

OーP(観察)

1 治療内容と治療における副作用

 a 抗凝固療法:出血傾向

 b 抗血小板療法:ジピリダモール等における頭痛

 c ヘパリン療法:出血傾向

 d メシル酸ガベキサート療法:静脈炎

 e 大量免疫グロブリン療法

 f 免疫抑制剤療法(シクロホスファミド):顆粒球の減少、脱毛、出血性膀胱炎

 g バルス療法:種々のステロイド副作用

2 治療前後の検査データ:CCr、BUN、腎血流量、尿の性状、クレアチニン

3 VS

4 自覚症状の変化

TーP(実施)

1 正確に治療が実施できるように確認、介助を行う

EーP(教育)

1 治療内容と副作用について医師から説明

2 異常症状出現時は申し出るように説明

#2治療に対し不安が大きい

目標:治療に関する知識を持つことにより不安が軽減する

OーP(観察)

1 治療の必要性の理解度

2 治療に関する疑問の訴え

TーP(実施)

1 必要時ADL援助を行う:排泄、食事、清潔介助

2 持続点滴が施行される場合の管理

3 コミュニケーションを良好に保つ

EーP(教育)

1 医師によるムンテラ後の補足

2 治療の方針の説明

#3高血圧を呈し腎機能の低下の可能性がある

目標:血圧が正常値で安定し腎機能の悪化を招かない.血圧、腎機能の正常を理解できる

OーP(観察)

1 血圧値とその変動:拡張期100mmhg以上は注意

2 降圧剤の効果

3 自覚症状:眩暈、頭痛、視力障害

4 検査データ:尿たんぱく、腎血流量、CCr

TーP(実施)

1 降圧剤の正確な与薬

2 血圧上昇時は医師へ報告

3 降圧剤の臨時使用後は血圧測定:30分、60分、120分

EーP(教育)

1 血圧上昇時の随伴症状がある場合は申し出るように説明する

2 血圧値が高値であっても降圧剤の使用を控える場合(腎血流量の減少をきたす為で)は、その理由を説明する

#4蛋白尿に関連した低蛋白血症出現の可能性がある

目標:蛋白尿が減少する

OーP(観察)

1 検査データ:尿中たんぱく定量値、血中アルブミン地、TP

2 安静状態

3 浮腫の有無と程度:眼瞼、足背、四肢、手指

4 体重変動

5 尿量

6 安静による尿中たんぱく定量の変化

7 食事量チェック

TーP(実施)

1 アルブミン製剤の点滴時は介助を行う

EーP(教育)

1 安静指導

2 感染防止:含嗽の励行、身体の清潔指導

3 食事指導

#5腎機能の低下がなく自覚症状がないために病識を持ちにくく、自己管理できない可能性がある

目標:病識を持ち検査の必要性を理解できる

OーP(観察)

1 患者の訴え

2 治療や検査に対する不信感の有無

TーP(実施)

1 患者の訴えや不安についてその都度対処し放置しない

EーP(教育)

1 医師と連絡を取り治療や検査の説明を十分に行う

2 尿検査試験紙を使用した事故検査を指導する:必要時

3 腎臓病のパンフレットを使用し、特に機能の項を中心に指導する

#6感染に関連した腎機能の悪化の可能性がある

目標:感染症に罹患しない行動がとれる

OーP(観察)

1 上気道炎の有無

 a 咳嗽、鼻汁、喀痰

 b 咽頭発赤

 c 咽頭痛、倦怠感、鼻閉感

2 皮膚化膿症の有無

3 熱発の有無

TーP(実施)

1 症状出現時医師に報告する

2 必要時清潔介助

3 寝衣寝具汚染に留意

EーP(教育)

1 含嗽の励行

2 清潔指導:手洗い、爪切り施行

3 発熱時は受診する

#7腎機能能悪化が見られ安静を強いられるために、ストレスを生じる可能性がある

目標:安静の意義が理解でき、不安やいらだちを生じることなく療養できる

OーP(観察)

1 精神状態:不満な点、入院による心配事、夜間の睡眠状況

2 安静臥床時の過ごし方

TーP(実施)

1 コミュニケーションを良好に保つ

2 訴えを聞きニードを把握する

3 ベッド周囲の環境整備を行う

EーP(教育)

1 安静の意義(腎血流量の増大)を十分に説明する

2 必要時にはナースコールをするように説明する

#8長期の経過をたどり社会生活に支障をきたす可能性がある

目標:焦燥感を招くことなく療養できる

OーP(観察)

1 職業、経済状態、家庭での位置

2 入院による心配事

3 精神状態

4 医師のムンテラ内容

TーP(実施)

1 コミュニケーションを良好に保ち精神的援助をする

2 外出外泊希望時は医師と連絡を取る

3 家族から情報収集を行い患者のニードを把握する

4 気分転換を図る

5 必要と思われる情報はスタッフや医師に情報提供する

#9自己管理が必要であり、退院後の生活に不安を抱く可能性がある

目標:病識を持ち不安なく退院できる

OーP(観察)

1 退院後の生活状況:運動量、職業

2 疾患についての理解度

3 医師からの運動許可量

4 退院時の腎機能:CCr、BUN、クレアチニン

EーP(教育)

1 安静指導

 a 具体的な運動量の指示

 b 疲労を避ける

 c 休憩を十分にとる

2 食事指導

 a 食事制限のない場合でも規則正しい食習慣をつける

 b 食事療法の必要のある場合栄養士より栄養指導を受ける

3 内服指導

 a 内服の正確な服用

 b 自己判断での中断禁止

 c 薬剤の副作用と効用

4 日常生活指導

5 感染防止

 a 含嗽の励行

 b 感冒等により熱発のある場合は受診

 急性腎炎患者の看護計画

#1急性腎不全を招いたり、慢性化への移行の可能性がある

目標:腎機能が回復し慢性化や腎不全をきたさない

OーP(観察)

1 腎機能:BUN、GFR、CCr、クレアチニン

2 検査データ

 a CH50:急性期に低下

 b ESR

 c 尿中FDP:腎炎の活動期に+

 d 正色素性貧血

 e 低たんぱく血症

 f 血中ASO

3 尿量、尿の性状:血尿、尿たんぱく、比重

4 腎生検の結果

5 血圧

6 浮腫、体重変動

7 自覚症状:食欲不振、倦怠感、息切れ、咽頭痛、頭痛

8 咽頭発赤の有無

9 体温

10 安静状況、睡眠状態

11 食事の摂取状況

TーP(実施)

1 安静と保温の援助

 a 食事介助

 b 排泄介助

 c 面会制限

 d 温罨法の使用

2 飲水制限:医師の指示範囲の飲水制限を行う

3 カリウムの制限

4 二次感染の予防:含嗽介助、身体保清介助

5 毎日の体重測定の介助

6 異常症状がある場合はすぐに医師報告し指示を受ける

EーP(教育)

1 食事指導

 a 蛋白質制限、塩分制限の意義について説明する

 b 食事療法も治療の一貫であることを説明する

 c 間食を禁止する

2 安静指導:腎血流量を増大させて機能回復を容易にさせる事、急性期:特に1か月の安静が予後の大きく影響を与えることを充分に説明しておく

3 検査時は不安をきたさないように方法などを十分に説明する

4 自覚症状に異常がある場合は、すぐナースコールを押すように指導する

5 医師のムンテラ内容の理解度を確認する

6 理解不十分な点を繰り返し説明する

7 説明の内容をスタッフ間で統一する

#2長期安静によるストレスを生じる可能性がある

目標:安静の意義が理解でき、不安や苛立ちを生じることなく療養できる

OーP(観察)

1 精神状態:不満な点、入院による心配事、夜間の睡眠状況

2 ストレス性の消化器症状

3 安静臥床時の過ごし方

TーP(実施)

1 コミュニケーションを良好に持つ

2 訴えを聞きニードを把握する

3 日常生活援助時は患者の心理的負担とならないように配慮する

4 場合によってはラジオ、テレビ、読書が許可される:医師指示

5 安楽な体位の工夫や介助を行う

6 ベッド周囲の環境整備を行う

7 気分転換を図る

EーP(教育)

1 安静の意義:腎血流量の増大、予後への影響を十分に説明する

2 必要時には遠慮せずにナースコールをするように説明する

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#3激しい食事療法に関連した食欲不振を起こす可能性がある

目標:食事療法の意義を理解し食事が摂取できる

OーP(観察)

1 食事に対する不満や訴え

2 食事療法の理解度

3 食欲の状態、吐き気の有無

4 食事療法摂取量のチェック

TーP(実施)

1 食事の環境つくりを行う

2 適温給食の実施

3 必要時固形水分含有量を測定

EーP(教育)

1 食事指導を実施する:間食や補食の禁止

2 必要時水分制限の必要性を指導する

3 水分制限に対する理解度と実施度を確認する

急性腎障害のためのKDIGO診療ガイドライン
by カエレバ

#4体液の貯留に関連した高血圧や浮腫をきたし、安楽の変調をきたす可能性がある

目標:早期に症状が改善し、苦痛が軽減する

OーP(観察)

1 血圧のチェック

 a 医師の指示時間に正確にチェックする

 b 患者の自覚症状出現時は早急にチェックする

 c 一過性のものか、持続性のものかその変動を見る

2 体重のチェック:毎日同一条件下で測定、必要時は日差変動

3 尿量、尿回数

4 浮腫の有無と程度と部位

 a 早朝覚醒時の眼瞼、手指の浮腫

 b 大腿内側や足背の浮腫

 c 臥床基底面の浮腫

5 肺うっ血の有無

 a 肺ラッセル音

 b 咳嗽、喀痰

 c 呼吸困難感

 d 胸部レントゲン所見

6 腹水の有無

 a 腹部波動

 b 腹囲測定

7 倦怠感、頭痛、吐き気の訴え

8 高血圧脳症の発見

 a 痙攣

 b 瞳孔異常

9 高カリウム血症に注意

TーP(実施)

1 血圧上昇時医師報告:特に拡張期が115~120mmHgとなる場合は注意を要する

2 降圧剤使用後は血圧測定:30分、60分、120分

3 尿量の急激な減少や肺音異常時は医師に報告

4 浮腫のある場合は体の保清に特に配慮する

 a 創傷に注意し緊縛のある衣類は避ける

 b 爪は短く切る

 c 眼瞼はホウ酸綿で適宜清拭する

5 水分出納の算出を行う

6 必要時水分制限をする

7 患者の安静な体位、姿勢の援助を行う

EーP(教育)

1 高血圧や浮腫の成因を異氏より説明する

2 血圧の値に神経質にならないように説明する:精神的動揺により血圧が上昇する

3 特に安静の必要性を説明する

4 外見的な変化は、病状の改善と共に消失することを説明する

#5長期間療養の必要があり、知識不足による自己管理ができない可能性がある

目標:疾患について知識を持ち定期検査を受けられ、退院後の自己健康管理が行える

OーP(観察)

1 退院後の継続医療施設

2 退院後の生活状況

EーP(教育)

1 慢性腎炎への移行の可能性について医師より説明された後、不明な点があれば納得できるまで説明する

2 退院時指導

a 定期検査の必要性

b 上気道感染の予防:含嗽励行

c 扁桃炎を繰り返す場合は扁桃腺摘出術の適応を医師と相談

d 感冒症状のある場合は受診する

e 尿の量、性状の観察を習慣づける

f 無理はせず、規則正しい生活を送る:特に過労を避ける

参考資料:標準看護計画

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