開心術後(ICU)患者の看護計画

1  開心術後(ICU)患者の看護計画

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#1 ICUという特殊環境に入室することに関連する不安がある

目標:入院前にオリエンテーションを受けることにより不安が軽減する

OーP(観察)

1予定入室者の場合の術前訪問について

a患者の性格、精神状態

b情報収集によりADL、居住、家庭環境、社会的環境、日常生活等、精神症状誘発、因子となる問題点の抽出

TーP(実施)

1ナースと面識を持つことにより安心感を与える

2看護師間の言動には特に注意を払い、動揺を極力少なくする

a簡単なICU(集中治療看護)の説明を行い、病状説明を行う

b患者の安全、安楽が確保された段階で病状に合わせた説明を段階的に行う

EーP(教育)

1ICUについての説明をする

a ICUの構造、目的、体制

b ICUの面会方法

c 入室後の状態についてのオリエンテーション:気管内挿管について(人工呼吸、吸引、コミュニケーションの問題、肺理学療法、留置カテーテル、胃チューブ、モニタのアラーム音)

#2手術侵襲、体外循環、麻酔の影響などに関連して血行動態が不安定である

目標:血行動態が安定して低心拍出量症候群に陥らない

OーP(観察)

1低心拍出量症候群、心不全の症状に注意する

a血圧の低下、CVPの上昇、左房室の上昇、神経数の減少

b尿量の減少

c四肢冷感:抹消と中枢温の較差

dチアノーゼ

e冷感

f不穏状態

2 VS

3血行動態:血圧、肺動脈圧、左房室、心拍出量、脈拍数、脈圧、CVP、心係数

4抹消循環:末梢温と中枢温の差、顔色、口唇色、爪床色、チアノーゼ、悪寒、戦慄

5尿:量、比重、性状

6水分バランス

7出血量

8皮膚の状態:浮腫、冷感、皮膚湿潤

9意識、不穏状態の有無

10頸静脈怒張、肝腫大の有無

11胸部レントゲン:心胸比、肺うっ血の状態

12検査データ:肝機能、腎機能、一般血液

TーP(実施)

1低心拍出量症候群に対する治療を熟知しておく

aHRの調整を図る。徐脈:ベーシング、薬剤。血圧低下を伴う頻脈:迷走神経刺激、ベーシング、薬剤、DC

b容量負荷:左房圧またはCVP値を目安に輸液輸血

c血管拡張剤の投与:後負荷、前負荷の軽減

dカテコラミンの投与

e補助循環:IABP

2薬剤の確実投与

aカテコラミンの投与:カテコラミン等依存性のある薬剤は、残量が少なくなったら早めに更新し、以後血圧の変動に注意する

b血管拡張剤の投与

c利尿剤の投与

d電解質の補正

3確実な酸素投与:吸引時の低酸素症状を防止するため、気管内吸引前後は用手換気を行う

4体温の調節:低体温、発熱

5疼痛の緩和を図る

6安楽な体位への援助

7緊急事態に備えての準備

aショックボックス

b DC

EーP(教育)

1状態に応じて処置の必要性を説明する

2自覚症状は早めに看護師に伝えるように説明する

 

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#3心筋への外科的侵襲、循環動態、電解質異常に関連して重症不整脈が出現しやすい

目標:適切な治療が受けられ重症不整脈に移行しない

OーP(観察)

1 ECGモニタリング:p波の判別の容易な誘導選択。ECG12誘導:入室直後、モニタ上異常の出現した時

2 VS:血行動態

3 臨床症状:呼吸状態、抹消循環、自覚症状

4 検査データ:血液ガス、電解質、酸塩基平衡

5 薬剤の効果

TーP(実施)

1 不整脈の原因の除去

2 上室性の頻脈に対して迷走神経刺激を行う

a バルサン法、アシューナ法

b 頸動脈洞マッサージ:右側より

3 抗不整脈剤の投与

4 ベーシング:ベーシング不全に注意

5 緊急時の対応:VT、VF、心停止:DC、心肺蘇生術、ベーシング

EーP(教育)

1 状態に応じて処置の説明をおこなう

#4麻酔、体外循環による肺障害、心筋収縮が十分に回復していないことに関連して一定期間呼吸管理が必要となる

目標:循環動態に負荷がかからず、ウイニングできる

OーP(観察)

1 呼吸状態:湿性ラ音、喘鳴、チアノーゼ

2 胸部レントゲン:心胸比、肺うっ血の有無

3 吸引時の血圧、脈拍数、不整脈の有無、血行動態:肺動脈圧

4 ウイニング開始後血行動態

a 異常が生じた場合ウイニングを中止する

b 血圧低下、CVP上昇、左房圧上昇、肺動脈圧上昇

c 抹消循環不全、冷感、尿量減少、不整脈、不穏状態

TーP(実施)

1 吸引時はジャクソンリースによる用手換気を行い、低酸素症状を防ぐ為に手早く行う

2 抜管前はある程度、マイナスバランスにコントロール

a 抜管時の前、負荷の軽減

b 心不全症例では、ある程度の前負荷を必要とするので血液量減退症に注意

3 抜管後、緊急時の準備、抜管の準備、ショックボックス等

EーP(教育)

1 挿管中は発声できないことを説明する

2 ウイニング開始後は現在の状態を説明しウイニングに対して意欲を持たせる

3 ウイニング中に自覚症状が出現した時には速やかに看護師に伝えるように説明する

4 抜管後は深呼吸や喀痰喀出の必要性を説明し促す

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#5長時間の体外循環による凝固因子の消耗や抗凝固剤の投与に関連する出血傾向が生じる

目標:凝固因子が正常化して出血傾向の兆候が消失する

OーP(観察)

1 ドレーンの出血量と性状

2 創部、各モニタ・ライン刺入部からの出血

3 気管内、口腔、鼻腔の出血の有無

4 皮下出血の有無

5 消化管出血

a 胃チューブ排液の性状、量、潜血

b 便潜血、腹痛の有無

6 検査データ:止血機能、出血時間、ACT、Hb、Ht、血小板

TーP(実施)

1 処置などによる出血を予防する

a 清拭時強い摩擦を避ける

b ベッド柵等による打撲を起こさないように手足を保護する

c 掻痒感のある時は掻き傷をつくらないようにする

d 吸引は手早くソフトに行う

2 ルート刺入部からの出血は圧迫止血施行

3 抗凝固剤の使用量の確認

4 消化管出血に対して薬物の確実投与

5 出血量、貧血の状態に合わせて輸血を行う

#6心嚢縦隔ドレーンの閉塞に関連して心タンポナーデとなる

目標:心嚢縦隔ドレーンが閉塞しない

OーP(観察)

1 ドレーンからの出血量と性状:4ml/kg/時以上の出血が2時間以上持続する場合は再開胸

2 ドレーンの開通状態

a 呼吸性または心拍性の波動の有無

b ドレーン内の凝固の有無

c 挿入部からの出血の有無

3 持続吸引器の作動状態、吸引圧

4 VS

a 血圧低下、CVP上昇、脈圧減少、脈拍数増加、奇脈

b 末梢冷感を伴う低心拍出量症候群症状

c 各種薬剤に対する反応:緩慢

d ECG:低電圧

5 検査データ:Hb、Ht、ACT、止血機能、心エコー、胸部レントゲン

TーP(実施)

1 手術直後、頻回のミルキングを行う

2 輸血の介助

3 ドレーンが閉塞した場合、直ちに医師に報告。動脈塞栓除去用カテーテルによる血栓除去の介助

4 再手術に対する処置

a 患者家族に対するムンテラを把握し、言動を統一する

b 患者に頻回に声をかけるように心掛ける

EーP(教育)

1 ドレーン及びミルキングの必要性を説明する

#7手術時間が長くラインやドレーンなどが多いことに関連して感染を起こしやすい

目標:感染の症状や徴候を示さない

OーP(観察)

1 VS:特に熱型に注意

2 呼吸状態:RR、呼吸音、胸部レントゲン、分泌物の性状、量

3 尿の性状

4 創部の状態

5 臨床症状:悪寒、戦慄、抹消循環

6 検査データ:WBC、CRP、各種細菌培養

TーP(実施)

1 創部、ドレーン刺入部の清潔保持:ガーゼ交換1日1回

2 各ラインの清潔保持:三方活栓の取り扱いに注意

3 吸引時清潔操作励行

4 口腔内の保清:最低1回/8時間の口腔清拭

5 発熱に対し早期に解熱を図る:冷罨法、解熱剤の使用

6 ブリン製剤の使用

7 抗生物質の確実投与

8 身体の保清

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#8心機能の改善、呼吸予備力、感染防御能の向上に関連して栄養補給が必要となる

目標:栄養状態が維持できる

OーP(観察)

1 腸管運動

a 蠕動音、排ガスの有無

b 胃チューブ排液の量

c 排便の有無、性状

2 VS、血行動態

3 検査データ:総蛋白、アルブミン、血糖、Hb

4 経口摂取開始になれば、摂取量

a 食欲の有無

b 誤嚥の有無

5 体重測定:同一条件で行う

TーP(実施)

1 IVHの管理

2 血行動態が安定し抜管できれば、早朝より経口摂取を勧める

3 乳児は経腸栄養⇒経口摂取:経管栄養の管理

4 アルブミン製剤の投与

5 排便に対する援助

#9低心拍出量症候群に関連する急性腎不全を起こしやすい

目標:循環動態が安定して正常な腎機能を保つことが出来る

OーP(観察)

1 尿

a 量

b 比重:2時間ごと

c 性状

2 輸液量と水分バランス

3 VS:血行動態、CVP上昇

4 ECG

5 呼吸状態:呼吸音、パターン、湿性ラ音

6 全身の浮腫:皮膚の状態

7 検査データ:電解質、血清カリウム値上昇、BUN上昇、クレアチニン上昇、浸透性、酸塩基平衡、血液ガス

TーP(実施)

1 血行動態の改善

2 利尿剤の投与

3 高カリウム血症に対する治療の介助:カルシウム補給剤の投与、炭酸水素ナトリウム、イオン交換樹脂、GI療法、K除去輸液

4 透析の介助

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#10急性腎機能低下、乏尿に関連して心不全~肺水腫が急速に進行する

目標:適切な治療を受け合併症を起こさない

OーP(観察)

1 臨床症状の観察:尿毒症症状に注意する

a 心症状:心電図、心不全、心嚢炎、肺水腫

b 乏尿、無尿:BUN上昇、クレアチニン上昇、血清カリウム上昇、代謝性アシドーシス

c 血圧上昇

d 神経症状:不穏、傾眠、昏睡、振戦、けいれん

e 貧血

f 出血傾向

2 VS

3 尿量、尿比重

4 一般状態、吐き気、嘔吐、下痢、全身倦怠感

5 検査データ

a BUN、クレアチニン

b 尿中ナトリウム、尿浸透圧

c 血清カリウム、血性クロール、血性ナトリウム

d 血液ガス、出血時間、凝固時間、胸腹部レントゲン、心電図

TーP(実施)

1 検査処置の介助

2 ECGモニタの装着

3 ライン確保の介助

EーP(教育)

1 処置前に必ず説明し、協力が得られるようにする

#11急性腎不全や乏尿に関連して高カリウム血症をきたし危険な不整脈を誘発する

目標:腎機能が改善し電解質異常をきたさない

OーP(観察)

1 検査データ

a 血清カリウム値の推移とモニタ上のST変化

b 血清カリウム値の上昇に伴ってT波の増高~テント状T波

c P波の消失、ST低下、QRS延長

d 血清カリウム値上昇はVT、VFを誘発する

TーP(実施)

1 カルシウム補給剤の投与

2 炭酸水素ナトリウム注射液の投与

3 陽イオン交換樹脂の投与:経口、注腸

4 GI療法の管理:インスリン使用により血糖の管理

5 緊急薬品の準備

#12人工呼吸器を装置していることに関連してはい合併症を起こしやすい

目標:無気肺や肺炎などの症状や徴候を示さない(人工呼吸器装着中の看護参照)

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#13創部痛や各種処置を受けることに関連してストレスが加わり消化管出血を起こす可能性がある

目標:ストレスが解消されて消化管出血を起こさない

OーP(観察)

1 胃チューブからの排液の量と性状の観察

2 腹痛や腹部不快の有無

3 便潜血反応、便の色

4 検査データ(Hb値)

TーP(実施)

1薬物の与薬(制酸剤、胃粘膜保護剤)

2 胃洗浄の準備と介助

3 安楽な体位と工夫

4 処置時など必要に応じて鎮痛剤、鎮静剤の与薬をする

5 環境を整える:家族の面会の工夫など

EーP(教育)

1 処置時必ず説明をする

#14発語できないことに関連してコミュニケーションが取れず不安がある

目標:コミュニケーションが取れ不安が緩和される

OーP(観察)

1 VSの変動

2 顔色、表情

3 異常行動

4 睡眠状態

5 消化管出血の有無

TーP(実施)

1 人工呼吸器について説明する

a 気管内チューブで気道が確保されていること

b チューブは呼吸器に接続されていること

c 体動時の注意

d トイレッテイングについて

e ナースコールの使用方法と医師の伝達方法

f 人工呼吸治療の見通し

2 コミュニケーションを図る

a 筆談、文字盤、カードにより患者の訴えを把握する

b 周囲の状況、日付、天気などを知らせる

c 不用意な言動を慎み、信頼関係をつくる

d 家族も含めスキンシップを大切にする

e 身体言語より患者のニーズを把握する

3 状態に応じて面会時間を考慮する

4 無意識のうちに抜管する恐れのある場合は、抑制の必要性を説明し納得させる

EーP(教育)

1 挿管チューブの為に発声できない事、人工呼吸器が装着されていることを説明する

2 安静度を説明する

3 各処置についての必要性と方法を説明し協力を得る

参考資料:標準看護計画

2  ICU症候群を呈した患者の看護計画

#1様々な苦痛に直面することに関連して、過度の不安状態、不穏状態、情緒的錯乱、せん妄状態などの精神反応をきたす

目標:不安を覚えることが無くコミュニケーションが取れて精神的な安定が保てる

OーP(観察)

1 精神症状誘発因子のチェック、入室前因子:器質的要因(脳動脈硬化など)性格、薬物依存、アルコール依存の有無など、手術侵襲、疼痛、環境:ライン、ドレーン、アラーム音、照明、吸引などの断続的処、騒音、睡眠、人工呼吸器:コミュニケーション、薬物

2 精神身体症

TーP(実施)

1 安全確保、ライン、チューブ、ドレーンのトラブル注意、抑制は極力避ける、

2 人間関係の保持、対象者(コミュニケーションを十分に保つ)、患者対家族(人間的な接触を得られるように環境を整える)、対家族(家族と看護師間に良い人間関係が保たれるように面会の配慮をする)処置を行う前には必ず患者に声を掛けながら行う、意識レベルが低下していても説明を忘れない、スキンシップに努める、精神科医の定期回診による精神分析と対策

3 環境調整、時間に対する見当識を失わせないように会話の最初に時刻を教える、自然光を十分に取り入れバイオリズムを保つ、外景をみせる、感覚遮断を防ぐため可能な限り、早い機会から家族と面会させる。またラジオ、時計、雑誌などを持たせる、医療機器の発する音を極力小さくする、音楽による刺激の活用:選曲と音量に注意

4 睡眠を十分にとらせる、昼間はできるだけ覚醒させる、消灯時間を決め、周囲からの騒音を遮断しモニタの発する音をできるだけ小さくし言動に注意を払う眠をきたすような治療行為は極力避ける、鎮静剤:必要時

#2 ICUと言う特殊な環境に入ることに関連する不安がある

目標:ICUでの環境を理解して不安なく入院生活を過ごせる

OーP(観察)

1 予定入室者の場合の術前訪問について、患者の性格、精神状態情報収集によりADL、居住、家庭環境、社会的環境、日常生活など精神症状誘発因子となる問題点の抽出、患者の表情、言動、夜間の睡眠状態

TーP(実施)

1 予定入院の場合:ナースと面識を持つことにより安心感を与える

2 緊急入院の場合、緊急処置中にも声掛けを頻回に行い、処置の説明をする。看護師間の言動には特に注意を払い動揺を極力少なくする、簡単にICUの説明を行い、病状説明を行う、患者の安全安楽が確保された段階で、病状に合わせた指導を段階的に行う

EーP(教育)

1 ICUと言う環境に対する指導、ICUの構造、目的、体制、ICUの面会方法、入室後の状態についてのオリエンテーション(気管内挿管について、ラインについて、留置カテーテル、胃チューブ、モニタのアラーム音、およびリズム音、発声できない状態でのコミュニケーションに関して患者と方法を決めておく)

参考資料:標準看護計画

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