イレウス患者の手術前後の看護計画

消化器系看護計画

目次

#1閉塞性の為腸内圧の上昇、腸管拡張、吐き気、嘔吐が起こり、腹部膨満感、口腔不快感がある

目標:腸管内圧が下がり、吐き気、腹部膨満感、口腔不快感が緩和する

OーP(観察)

1 VS

2 腹部状態の観察

a 腹痛:持続的か間隔的か

b 吐気、嘔吐、吐物の状態、色、臭気

c 腹部膨満感、排ガスの有無

d 腸雑音の有無、排便の有無(性状、量、潜血)

e 胸部レントゲン(鏡面像の有無、変化)

3 口渇、皮膚状態の観察

TーP(実施)

1 医師の指示により採血施行:血液像、電解質、肝機能、腎機能

2 水分出納

3 医師の指示により輸液の準備、介助管理を行う

4 胃チューブ又はイレウス管の挿入の準備、介助、固定、適宜吸引施行

5 医師の指示により下記施行

a ネラトンカテーテルにてガス抜き

b 腸蠕動促進剤の与薬:ジノプロスト、ネオスチグミン、パンテノール、レシカルボン座薬

c 熱気浴:70~75度で15分、余熱で15分

d 浣腸:グリセリン浣腸、石鹸浣腸、高圧浣腸

6腹痛、苦痛の緩和

a 衣服を緩め、セミファーラー位とし、膝関節を軽く屈曲させ、腹部の緊張を緩和する

b 言葉かけを行いリラックスさせる

7 嘔吐時は速やかに処理し、嘔吐後は含嗽介助する

8 医師の指示により鎮痛剤の与薬

EーP(教育)

  • 1絶飲食の説明
  • 2チューブの必要性を説明する
  • 3不安の軽減に努め、症状が改善しなければ手術になる可能性があることを説明する

#2腸内圧減圧の目的でイレウス管が挿入されるため不快感がある

目標:イレウス管について理解し、腸管の浮腫が緩和される

OーP(観察)

1 腹部状態の観察

a 腹痛の増強、腹膜刺激症状

b 腸蠕動

c 吐気、嘔吐

2 脱水症状

a 口渇、舌の状態

b 尿量、比重

c 全身倦怠感

d ドレーン排液量、性状

e 検査データ

3 精神的な状態

TーP(実施)

1 イレウス管の管理

a 固定位置の確認、ねじれ、つまりなどの予防

2 口腔の清潔保持

3 頻回に訪床し、訴えを良く聞く

EーP(教育)

1 イレウス管の必要性を説明する

2 症状の改善がなければ手術になる可能性があることを説明する(医師のムンテラを受ける)

#3絞扼性の為腸管膜血行障害により腸壁の透過性が亢進し、腸壁の壊死→穿孔→出血→腹膜炎が起こりうる

目標:血行障害が悪化せず、手術が受けられる(結腸切除術時の看護に準じる)

#4麻痺性の為腸管運動が減少し、腸管内容の輸送が障害され腹部膨満が起こりうる

目標:機能的原因の除去により腸蠕動が促進し、腸内容物が排泄される

OーP(観察)

1 VS

2 腹部状態の観察:腹痛、腹部膨満感の位置と状態、腹鳴の有無、排便と排ガスの有無、便の性状と量と潜血、吐き気と嘔吐の有無、吐物の性状と量と臭気と色、腹部レントゲン:鏡面像の有無

3 口渇、皮膚の状態、脱水状態の観察

TーP(実施)

1 医師の指示により採血施行:血液像、電解質、肝機能、腎機能

2 水分出納

3 医師の指示により輸液の準備、介助、管理を行う

4 胃チューブ又はイレウス管の挿入の準備、介助、固定、適宜吸引施行、排液の量、性状、色、臭気の観察

5 医師の指示により下記を施行

a ネラトンカテーテルにてガス抜き

b 腸蠕動促進剤の与薬:ジノプロスト、ネオスチグミン、パンテノール、レシカルボン座薬

c 熱気浴:70~75度で15分、余熱で15分

d 浣腸:グリセリン浣腸、石鹸浣腸、高圧浣腸

6 腹痛、苦痛の緩和

a 衣服を緩め、セミファーラー位とし、膝関節を軽く屈曲させ腹部の緊張を緩和する

b 言葉かけを行い、リラックスさせる

7 嘔吐時は速やかに処理し嘔吐後は含嗽介助をする

8 医師の指示により鎮痛剤を与薬する

EーP(教育)

1 絶飲食を説明する

#5術前の低栄養、脱水の為縫合不全、腸管麻痺、癒着が起こりうる

目標:早期離床し腸蠕動が促進し、手術後2~4日頃までに排ガスがある

OーP(観察)

1 VS

2 腹部状態の観察

a 術前の看護行為と同様

b 創部の状態:出血の有無、離開の有無

c 胃ドレーン寄りの排液の量、性状、臭気の観察

TーP(実施)

1 医師の指示により輸液の準備、介助、管理

2 水分出納

3 胃チューブよりの排液の適宜吸引

4 排ガスがなければ医師の指示により下記施行

a ネラトンカテーテルにてガス抜き

b 腸蠕動促進剤の与薬:ジノプロスト、ネオスチグミン、パンテノール、レシカルボン座薬

c 熱気浴:70~75度で15分、余熱で15分

d 浣腸:グリセリン浣腸、石鹸浣腸、高圧浣腸

5 体位変換、離床

a 手術当日:両側臥位、ファーラー位

b 手術一日目:ベッド上座位

c 手術2~5日ごろ:起立、歩行

6 医師の指示により排ガスがあれば胃チューブ抜去し、水分を少量摂取し吐気嘔吐がないことを確認後、流動食から開始する

7 ストーマ造設時は、ストーマ造設患者の看護に準じる

EーP(教育)

1 排便習慣をつける

2 食生活については消化の良いものを摂取する

3 吐気、嘔吐、排便、排ガスの異常、腹痛があれば受診する

4 家族及び本人に再発の可能性が大きいことを説明する

#6術後癒着により腸管麻痺を起こす可能性がある

目標:早期離床し、腸蠕動が促進し術後2~3日ころまでに排ガスがある

OーP(観察)

1 腹部症状の観察:排ガス、腸蠕動、排便の有無

2 腹部レントゲンによるガス像、鏡面像の有無の確認

TーP(実施)

1 術後早期より体位変換、離床を促す

2 バルンカテーテル挿入時は早期に膀胱訓練を開始し抜去することにより体動をしやすくする

EーP(教育)

1 術後早期に体位変換、離床することにより、腸蠕動が促進し排ガスが促されることを説明する

 [ad]

#7術後5~10日目頃に吻合部の過度の緊張、腸管の血行障害、低栄養状態、感染などにより縫合不全を起こす可能性がある

目標:腸内容物の排出、排ガスの促進を図り保存的療法で症状が軽快しストーマ造設などの再手術とならない

OーP(観察)

1 発熱、腹痛、腹部膨満感、腸蠕動の有無を観察

2 各ドレーンからの腸内容物の流出の有無、臭い、性状の観察

3 創状態の観察

4 腹部レントゲンによる観察

5 検査データのチェック:CSC、TP値など

TーP(実施)

1 炎症が限局性の場合、保存的療法を行う

a まず絶食とし、胃チューブ、ドレーン挿入により十分なドレナージを図る

b 胃チューブ挿入時は適宜吸引する

c ドレーン挿入時は適宜ガーゼ交換を行う

d 浸出液の多い場合にはラパックなどを貼用し、量の観察を行う

e 輸液または抗生物質の与薬

f 最悪の場合は、ストーマ造設

EーP(教育)

1 腸内容物によるガーゼ汚染が考えられ、正中創感染を防ぐためにも、ガーゼ汚染量が多い時にはすぐに看護師に報告するように説明する

2 ストーマ造設をする際には、患者の不安の無いように医師より十分説明してもらい精神的な働きかけをする

#8ストーマ造設した際には、便汁、腸液のため皮膚のかぶれ、ビランが起こりやすい

目標:ストーマによる皮膚トラブルがなくストーマの管理が適切にできる

EーP(教育)

1 ストーマ造設患者の看護に準じる

腸を切った人を元気いっぱいにする食事170―おなかにやさしい! もたれない! 食がすすむ!

#9吻合部狭窄や炎症により、テネスムス症状を起こすことがある

目標:腸蠕動の回復を見ながら食事を段階ごとに勧め、自覚症状が軽減する

OーP(観察)

1 腹部症状の観察:排便回数、量、性状などの観察

2 食事摂取状態の観察

3 体重のコントロール:体重測定:週1回、日曜日

TーP(実施)

1 便秘時は緩下剤の与薬をする

2 下痢時は止痢剤の与薬をする

EーP(教育)

1 分割摂取を勧め、最初はゆっくりと摂取するように説明する

2 腹痛、吐気、嘔吐、下痢症状が出現した場合は報告するように説明する

#10健康時の排便習慣に戻るまで、6カ月くらいを要し、下痢や便秘に傾きやすい

目標:腸管内圧が下がり、吐き気、腹部膨満感、口腔不快感が緩和する

OーP(観察)

1 腹部症状の観察

TーP(実施)

1 水分電解質の補給

2 食事は固形物や繊維を多く含んだ食品、冷たい飲み物は避け、消化管の安静を図る

3 腹部温罨法

4 肛門部の清潔を保つ

5 消化剤、整腸剤を与薬

6 必要時止痢剤の与薬

7 腹痛時は鎮痛剤の与薬

8 便秘時は緩下剤の与薬

9 注腸検査による狭窄の確認をする

10 排便のコントロールが図れないことにより、いきどおり感を招きやすくなるため、精神的援助を図る

EーP(教育)

1 術後2~6カ月くらいは、テネスムス症状が続くという事を説明し理解してもらう

2 毎日規則正しい排便習慣をつける

3 食事指導

a 線維の多く含んだ食品、温冷の激しい食品は避ける

b 消化の良いものを摂取する

c 固形物はなるべくとらない

イレウス患者のアセスメントはこちらです→アセスメント

参考資料:標準看護計画

コメント

タイトルとURLをコピーしました