人工肛門造設術前後の患者の看護計画

消化器系看護計画

目次

#1術前、ストーマ造設が受け入れられず、うつ状態となることがある

目標:ストーマ造設の必要性を理解することが出来る

EーP(教育)

1 手術7日前に医師の説明がある

a ストーマに関するムンテラ

b 手術後経過に関するムンテラ

2 看護師はできるだけムンテラに同席し、情報をキャッチする

3 医師からの説明後、看護師がストーマオリエンテーションを行う

a ストーマとはどういうものか

b 手術後使用する装具を見せる

c 手術後ストーマ管理

d 患者からの質問に応じる

4 家族の協力が得られるか確認する

#2ストーマの位置が不適切な場合、日常生活に支障をきたす可能性がある

目標:適当な位置にストーマサイトマーキングがなされる

TーP(実施)

1 手術2日前にストーマの1決めをする

2 ストーマサイトマーキング

a マーキングデイスクを1~2日つけておき、支障がない位置なら印をつけておく:色素を使用仕入れずみを行う

b 望ましいストーマ一の条件:骨の突出傷しわをさけ、装具をぴったり装着できること。患者自身ストーマが良く見え操作しやすいこと

3 日上生活上の支障を最小限にとどめる

a ウエストライン、ベルトライン、下着のゴム部は避ける

4 職業生活上の支障を最小限に抑える

#3装具により皮膚かぶれの可能性がある

目標:パッチテストを行うことにより自分に合った適当な装具が、術前までに選択され準備できる

TーP(実施)

1 パッチテスト

a よく使用される装具を小さく切り、その一部をストーマに造設される腹部の反対側に貼用し、48時間後に皮膚の状態を観察する

b 患者なった装具を限定できる

#4腸内容の排除が不十分な場合、術中に腹腔内汚染をする可能性がある

目標:確実な服薬、低残渣食以外の食物を摂取しないことにより、腸管内が清浄された状態で手術に望める

TーP(実施)

1 腸内容物の除去

a 食事:3~4日前より低残渣食とする。または絶食としてIVHカテーテル挿入し栄養補給

b 下剤の与薬:2日前より夕方又は眠前に与薬

2 腸内細菌の減少:硫酸カナマイシン与薬

 

#5手術直後、ストーマ周囲からの出血、壊死、浮腫状態になることがある

目標:手術後2~3日で浮腫が軽減消失しストーマ色が赤色を呈する

OーP(観察)

1 全身麻酔、開腹術後の看護に準ずる

2 ストーマ色の観察

a 色:赤色は正常、淡いピンクはHb減少、紫いろは血液供給不十分

b 形:突出状態、陥没、高さ、サイズ

c 浮腫の有無

d 出血、狭窄の有無

e 周囲の皮膚状態

f 排液の性状

#6正中創とストーマが近位のため、創部感染を起こす可能性がある

目標:正中創を保護し、ストーマから排液による汚染がない

OーP(観察)

1 ストーマからの排液の観察

2 正中創の状態

3 ガーゼ汚染

TーP(実施)

1 ストーマを解放後、装具を貼用する

2 正中創にノベクタンスプレーを塗布する

3 正中創をガーゼ、絆創膏で完全にシールする

4 ガーゼ交換は清潔創より行う

EーP(教育)

1 装具の漏れ、正中ガーゼ汚染などがあれば報告するよう説明する

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#7直腸摘出後の死くうには血液、浸出液が貯留し感染を起こすことがある

目標:効果的なドレナージが図れ早期にドレーンが抜去できる

OーP(観察)

1 ドレーンからの排液量、性状の観察を行う

TーP(実施)

1 時々ミルキングを行い排液の貯留を防止する

a 体位変換時ドレーンが抜けないように注意する

参考資料:標準看護計画

#8会陰部ドレーン挿入によりADLが制限される

目標:創治癒がスムーズに進むことにより痛みが緩和され早期離床ができる

TーP(実施)

1 会陰部ドレーンは7~10日目には短カットされ、2~3週間で抜去する

a ガーゼ汚染に注意

b 会陰部の抜糸は7~10日目で行う

c 座位時の疼痛軽減の為円座を使用する

EーP(教育)

1 会陰部の圧迫、緊張を避けるような体動を説明する

2 早期離床の必要性を説明する

#9術中操作により膀胱支配神経が損傷され排尿障害を起こす可能性がある

目標:腹圧の掛け方、水分摂取について理解し自然排尿が確立する

OーP(観察)

1 排尿困難の有無

2 排尿時痛、残尿感の有無

3 尿の性状

TーP(実施)

1 手術後3~4日目より膀胱訓練を行い、10~14日目に問題がなければバルンカテーテルを抜去する

a 自然排尿の有無、量、排尿時間

b 残尿測定:残尿が50mml以下になれば中止

c 尿路感染症のチェック

EーP(教育)

1 自分で時間をかけてゆっくり出し切ること

#10ストーマ周囲の皮膚かぶれや痛みにより装具が貼付できなくなる場合がある

目標:フランジ交換時、皮膚の観察が行われかぶれる前に対処できる

OーP(観察)

1 皮膚の状態

a 発赤の有無

b ビランの有無

c 浸出液の有無

d パウチの貼付状態

TーP(実施)

1 フランジに便汚染があればすぐに交換する

2 皮膚を刺激しないよう丁寧に両手を使ってフランジを剥がし周囲をきれいに清拭する

3 ストーマのサイズが小さくなればそれに合った装具を使用する

4 皮膚かぶれが激しい場合、装具を除去しガーゼを当て排便ごとに交換する

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#11装具の取り扱いに慣れるまで、時間を要することがある

目標:段階を追って自己管理できるようにする

EーP(教育)

1 ストーマ自己管理を指導する

a ストーマを自分で見てみる

b ストーマを自分で触れてみる

c ガス抜き方法

d 排泄物の処理の仕方

#12ストーマ造設が受け入れられずうつ状態に陥ることがある

目標:気分転換を図りながら焦らず徐々にストーマ造設の意味を理解し、今後の生活に目を向けることが出来る

EーP(教育)

1 ストーマ自己管理を指導する

a ストーマを自分で見てみる

b ストーマを自分で触れてみる

c ガス抜き方法

d 排泄物の処理の仕方:看護師が装具を準備し説明しながら交換する。患者が交換する(看護師は手伝うができるだけ患者自身でしてもらう)。患者自身で交換洗浄する(看護師は手伝わないで手順を見ている)

#13ストーマ形成をしていない場合は、術後電気メスにより開口を行うため、瘢痕によるストーマ狭窄を起こしやすい

目標:フインガーブジーの必要性を理解しストーマの狭窄が起こらない

EーP(教育)

1 狭窄予防を目的にフインガーブジーを行う

a 示指(最初は小指から)に指のう、またはナイロンをつけ挿入しやすいように潤滑油を塗る

b 腹部の力を抜き、腸の走行方向を考えて指をゆっくりストーマに挿入する

c 蠕動運動による腸の収縮で指が締め付けられるが、無理をせずそのまま少し待つ

d 収縮が緩んできたときを狙って第二関節まで指を入れる

e ストーマからゆっくり指を抜く

#14排便コントロールができるようになるまで、3カ月から1年を要する

目標:排便調節に必要な知識を得、場合によっては洗腸法をマスターする

OーP(観察)

1 便秘下痢の有無

EーP(教育)

1 術後3~4週間目に洗腸指導を行う

a 大腸が何センチか残っている人

b 洗腸の負担に耐える体力気力を持っている人

c 社会的対応(職業、学業)考え洗腸法の方が快適に生活できる人

d 毎日頻回に排便があり困っている人

e 便汁のストーマ周囲の皮膚トラブルが改善しない人

2 食事指導を行う

#15ストーマ造設をしたことで、障害者という意識が強く社会復帰に対する不安がある

目標:ストーマは疾患でないということを離解し、ストーマケアの自己管理ができる

EーP(教育)

1 退院時パンフレットを使用する。退院指導を行う

2 患者会を紹介する

参考資料:標準看護計画

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