#1種々の循環器疾患を起こしたり、その憎悪を招く恐れがある
目標:早期に高脂血症が是正されその合併症を起こさない。既存の疾患の憎悪を招かない
OーP(観察)
1 検査データのチェック:血中総コレステロール、トリグリセライド、リン脂質、FFA、HDLコレステロール、βーリポ蛋白
2 分類
a 高コレステロール血症
b 高トリグリセライド血症:高中性脂肪血症
c コレステロール、中性脂肪ともに増加の場合
3 PRの性状:硬脈、遅脈、その他
4 表在血管の状態
5 アルコール摂取の有無と量
6 喫煙の有無と量
7 運動、スポーツ
8 肥満の有無と程度
TーP(実施)
1 既存の疾患のある場合、その憎悪に注意し合併症に注意しながらケアを行う
EーP(教育)
1 薬剤の正確な服用指導
2 薬剤の効果についての説明
a コレステロール吸収阻止薬:腸管からのコレステロールの吸収を阻止する
b コレステロール合成抑制剤:CPIB、ニコチン酸
c コレステロール異化促進剤:甲状腺ホルモン、不飽和脂肪酸
d その他:リポ蛋白、ヘパリン、MDS
3 規則正しい生活の指導
4 多量飲酒の禁止
5 禁煙指導
6 血液浄化を図るために適度な運動を行うように勧める
7 合併症に関する説明:大動脈瘤、冠状動脈狭窄、脳軟化症、腎性高血圧、本態性高血圧、その他の誘因となる
8 肥満を避け、肥満のある場合は減量を勧める
#2嗜好に反する食生活の改善が難しい
目標:入院前までの食生活の振り返りが行える。今後の食生活のポイントを理解でき、退院後も望ましい食生活が続けられる
OーP(観察)
1 入院前の食生活、食事内容、量、間食、外食の頻度、嗜好、調理方法、家庭での食事準備者
TーP(実施)
1 栄養士、医師、患者、家族との情報交換を行う
EーP(教育)
1 規則正しい食事習慣:過食や偏食の禁止
2 野菜や果物を多く摂取するように説明する
3 病院の献立表を参考にする
4 高コレステロール血症の場合:動物性脂肪を制限し植物油を使用する
5 高トリグリセライド血症:糖分の制限をしカロリー制限をする
6 コレステロールとトリグリセライドの両方が高い場合:動物性脂肪と糖質の制限をする
7 栄養士より食事指導を受け退院後の食事方針を立てる:家庭での調理者と共に受ける
8 外食は控えるが、制限のある食事については残しように指導する
アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題
1身体所見の把握
起こりうる看護問題:脂質異常症または動脈硬化性疾患の症状による日常生活の支援
基本的には無症状で身体所見に乏しい疾患であるが、家族性高コレステロール血症の患者では、特有の所見によって確定診断に結びつく
・ アキレス腱肥厚などによる靴ずれ、踵部の自発痛
・ 角膜輪
・ 肝腫大
・ 腹痛の有無
・ 動脈硬化性疾患によると考えられる症状の有無
2検査データの把握
起こりうる看護問題:生活習慣と疾患の進行状況、治療との関係についての知識不足/血清脂質高値によって動脈硬化が進行する恐れ
検査データの推移と体重の変動を把握すること、またリポたんぱくの増加状態をアセスメントすることで、食事療法の方針を立てる際に有効である。血液データでは原疾患のコントロール状態を把握するのにも役立つ
・ TC、TG、LDL-Cの値
・ リポたんぱく分画
・ 身長、体重、BMI値
・ 肝機能、腎機能などを示すデータの推移
3生活背景、既往歴の把握
起こりうる看護問題:生活習慣と疾患の進行状況、治療との関係についての知識不足/不適切な生活習慣によって動脈硬化が進行する恐れ
脂質異常症は自覚症状がほとんどないことが多いため、問診によって生活背景や他疾患の既往症を把握する
・ 発症時期あるいは脂質異常症を指摘された時期
・ 診断された施設
・ 家族的要因の有無
・ 基礎疾患の有無
・ 薬物内服の有無
・ 生活習慣
・ 肥満度
・ 運動習慣
・ 社会的役割
4食習慣の把握
起こりうる看護問題:生活習慣と疾患の進行状況、治療との関係についての知識不足/過剰な栄養摂取によって動脈硬化が進行する恐れ
食事療法は食事内容の改善と食行動の改善の2本柱でアセスメントを行い、継続できるように患者家族の食事療法に対するとらえ方も考慮して進めていく
・ 摂取量、食事内容
・ 好んで食べる食物
・ 外食状況
・ 主に調理をする人など
・ 患者家族の食習慣変容の受け止め方
5家族歴の把握
起こりうる看護問題:生活習慣と疾患の進行状況、治療との関係についての知識不足
動脈硬化性疾患を中心とした家族歴を聴取し、脂質異常症の診断の手掛かりとするとともに、家族を巻き込んだ生活習慣の変容に関する教育プランに役立てる
・ 家族歴:両親、兄弟、祖父母、子供について
6動脈硬化症疾患の危険因子の把握
起こりうる看護問題:血清脂質高値によって動脈硬化が進行する恐れ
脂質異常症の治療は、動脈硬化性疾患の予防が最たる目的である。動脈硬化性疾患の発症リスクを抑えるために危険因子に関する情報を収集し、患者自身が危険因子を少しでも減らす努力を行えるように促す
・ 高LDL、コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、加齢、糖尿病の有無、高血圧の有無、肥満の有無
7食事療法、運動療法に関する受け止め方や実施方法の観察
起こりうる看護問題:生活行動の変容に対する意欲の不足、自己管理能力の不足、脂質異常症の否認、治療法の効果が得られない、サポートシステムが不十分などの問題がある
すでに食事療法、運動療法を行っており患者なりに頑張っているが効果が出ていない場合、食事療法、運動療法の理解や受け止めに誤解が生じているケースがある。その原因を把握し生活行動の指導に役立てる
・ 脂質異常症に対してどのように受け止めているか
・ 食事療法の方針に対する理解の程度
・ 食事療法、運動療法で気を付けている具体的内容
・ 食事療法、運動療法に関する家族のサポート体制
8薬物療法に関する受け止め方や実施方法の観察
起こりうる看護問題:生活行動の変容に対する意欲の不足、自己管理能力の不足、脂質異常症の否認、治療法の効果が得られない、サポートシステムが不十分などの問題がある
自覚症状がないため勝手に服薬を中断していないか把握し、中断していた場合は中断に至る背景・理由を把握し、継続的に治療を行う重要性を説明する。また薬の強力な効果により食生活の改善をおろそかにしていないかについても併せてアセスメントする
・ 薬が効いているかどうかを観察する。薬が効いていない場合、薬物療法そのものに原因があるか患者の服薬行動に問題があるのか、生活行動に問題があるのかを明らかにする
・ 内服方法、薬の効果の認識
9患者家族の心理社会的側面の把握
起こりうる看護問題:社会生活の継続と生活習慣の改善との両立に関する不安がある/サポートシステムが不十分
患者家族が疾患をどのように認識しているかを確認する。家族歴がある場合には動脈硬化性疾患の予防や生活行動の管理にも関係する
・ 疾患について感じていることを患者家族から聞き出す。認識が異なる場合は丁寧に説明する
・ 生活行動改善に関して精神的支援のお必要性があるか把握し、患者一人で悩まないようにサポート体制を提供する
・ 過食や飲酒、喫煙が精神的ストレスの対処法法となっている場合がある
参考資料:標準看護計画
料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A
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