経管栄養法・看護の留意点は?
胃チューブの挿入位置の確認は、エア音だけでは万全ではない
これまで、経鼻栄養チューブの挿入位置を確認する場合、
気泡音を聴取すれば胃部に入っていると思われていました。
胃部のエア音聴取による消化管内音と、
肺に誤挿入してしまった場合の肺内音との区別はほとんど
不可能であることが分かり、
そのことによる医療事故も起こっています。
チューブ挿入時及び留置中においては、レントゲン撮影、
気泡音の聴取、
チューブマーキング位置の確認、
胃液の吸引など複数の方法により
確認することとされています(厚生労働省から)
胃チューブ挿入位置確認の方法
① 挿入時点。
・ X線撮影。
・ 胃液の吸引とPHの測定(胃液として5,5以下であることの確認)
・ 注射器に10mmlの空気を吸い、チューブより注入する。
その際に両下肺野としんかぶの箇所で気泡音を聞き比べ
心窩部の音が最も大きいことを確認する。
・ 炭酸ガス濃度を測定する方法もある
(0mmhgだと胃内に位置している)
② 注入毎。
・ 口や咽頭でとぐろを巻いていないことを確認する。
・ 鼻孔の位置にマーキングが一致しており、
逸脱していないことを確認する。
・ 胃液を引いて確認。できない場合は体位を
変えて30分後くらいに確認する。
経腸栄養剤は温めない
経腸栄養剤の温度も室温で良いとされています。
下痢を引き起こす要因は、経腸栄養剤の温度よりも
注入速度や浸透圧の方が影響が大きいとされています。
経腸栄養剤を別容器に変えて温めると、細菌汚染のリスクも高まります。
経腸栄養剤の温度が上昇するにつれて、
チューブからの環境ホルモン溶出量が増加するという研究もあります。
PEG周囲からの漏れで、カテーテル径を上げてはいけない
漏れの原因は瘻孔が開大することです。
瘻孔開大は、瘻孔にPEGカテーテルの圧が加わり、
圧迫虚血が生じたために発生すると言われます。
瘻孔から栄養剤の漏れ対策
① PEGカテーテルを腹壁に対して垂直に立てておく。
② PEGカテーテルのタイプ変更。
③ いったん抜去し、瘻孔の縮小を待って再挿入する。
④ 胃瘻部の縫縮。
⑤ 栄養剤の粘度増強・固形化。
・ 絶対にやるべきではない方法。
① PEGカテーテル径のサイズアップ。
② バンバーを締め付ける。
PEGカテーテルの慢性期に、Y字ガーゼは挟まない
ガーゼはいったん濡れると乾きにくく、ガーゼ皮膚炎とも
言える状態を引き起こし、
さらに線維が皮膚や肉芽に付着しやすい。
テイッシュこよりを結んでおく事が推奨さています。
参考資料:今はこうする看護ケア。