脊髄小脳変性症患者の看護計画
#1失調性歩行障害により日常生活に支障をきたし、転倒する危険性がある
目標:傷害に応じたケアが受けられ、危険なく安心して日常生活が送れる
OーP(観察)
1 ADLの程度、歩行状態
2 患者の履物
3 ベッド周囲の危険物の有無
TーP(実施)
1 患者の身の回りは危険物を排除し、常に整理整頓しておく
2 患者が歩きやすいような靴を用意する
3 歩行状態が不安定な場合は歩行器、杖、ヘッドギアなどを考慮する
4 ベッドはなるべく低いものを使用し、昇降状態に注意する
5 理学療法士と連絡を取り病棟でもリハビリテーションを継続する
EーP(教育)
1 不自由があれば何でも看護師に相談するように指導する
2 出来る限りのことは自分でするように説明する
#2言語障害があり、コミュニケーションがとりにくい
目標:ゆっくりと落ち着いた状態で、自分に合った手段でニーズを表現できる
OーP(観察)
1 言語障害の程度
2 患者の訴え
3 患者の表情
4 コミュニケーションの手段
TーP(実施)
1 患者が理解しやすい言葉でゆっくりと会話する
2 コミュニケーションの時間をできるだけ多くとる
3 患者の話を最後までゆっくりときく
4 言葉がハッキリしない時は筆談などを行う
5 何でも気軽に話せるような雰囲気づくりをする
#3自律神経障害に関連し、起立性低血圧を起こす可能性がある
目標:転倒打撲などの危険が避けられる
OーP(観察)
1 起床、座位、起立時の血圧
2 起立時の顔色、頭痛の有無
TーP(実施)
1 ベッド柵を使用する
2 ベッドの周りや患者の行動範囲に危険な物を置かない
3 歩行が不安定な時はベッドギア歩行器を使用する
4 起立時はゆっくり行動する
EーP(教育)
1 歩行時、転倒に十分注意するように説明する
2 危険を感じたらすぐに看護師を呼び付き添ってもらうよう指導する
みぞれふる空―脊髄小脳変性症と家族の2000日 | ||||
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#4自律神経障害に関連し、膀胱、直腸障害を起こす可能性がある
目標:傷害に応じた援助が受けられる
OーP(観察)
1 排尿回数、残尿感
2 排尿時不快感
3 排便回数、残便感、腹部膨満感
TーP(実施)
1 排尿について
a 尿意がハッキリしない場合は、時間ごとの排尿を促す
b 自然排尿を試みスムーズにでない場合は、手圧、腹圧をかける
c なお、残尿が200cc以上時は間欠的導尿を施行する
d 自然排尿がない場合は留置カテーテルを留置し定期的に膀胱洗浄を行い、感染防止に努める
2 排便について
a 腹部温罨法、腹部マッサージを行い腸の蠕動運動を促す
b 時間を決めて車椅子、ポータブルトイレへ誘導する
c 副膨満及び腹満の程度により、患者に合った方法で排便の援助をする:浣腸、摘便、座薬の使用
d 適度な運動を促す
EーP(教育)
1 水分摂取をいつもより多く飲用するように指導する
2 食物は線維性のものを摂取するように説明する
#5嚥下困難に関連して、呼吸器感染を起こす可能性がある
目標:誤嚥に注意し呼吸器感染が未然に防げる
OーP(観察)
1 食事内容
2 食事摂取状態
3 嚥下状態
4 発熱、肺炎症状
TーP(実施)
1 患者の状態にあった食事内容に適宜変更する
2 食事は時間をかけて落ち着いた雰囲気で摂取できるようにする
3 食事は座位の姿勢で摂る
4 喀痰喀出の困難な時は吸引の準備をしておく
5 吸入水分摂取を促し喀痰喀出を容易にする
6 経口摂取が難しい時は胃チューブを挿入し、十分な栄養を摂れるようにする
7 場合によってはIVHカテーテルを挿入し栄養補給をする
EーP(教育)
1 嚥下状態に注意し、喀痰喀出を適宜行うように指導する
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#6知能低下に伴い日常生活がスムーズに営めない可能性がある
目標:知能障害に応じた援助が受けられ、他の患者と入院中トラブルを起こさない
OーP(観察)
1 知能障害の程度
2 入院生活の適応度、病室での他の患者との関係
TーP(実施)
1 検査処置は患者の知能程度に合わせて説明する(忘れやすい時はメモ書きするなど工夫する)
2 患者の自尊心を傷つけないように言葉遣いに注意する
#7経過が進行性であり、予後について不安がある
目標:不安が表出でき闘病意欲を失わない
OーP(観察)
1 症状の観察
a 運動失調の状態、筋硬直、筋力低下の有無、言語障害
2 患者の訴え、表情の観察
TーP(実施)
1 常に患者を励ましリハビリテーションなども積極的に援助する
2 日常生活は危険がない程度に自分で行ってもらい、出来たことは褒める
3 患者の訴えを十分に聞く
4 家族と話し合いできることは協力してもらう
5 外泊散歩などで気分転換を図る
EーP(教育)
1 不安異常があればすぐ医師看護師に話すように指導する
2 経過は長いが清明に影響を予防す疾患ではないので、日常生活を工夫しできるだけ自立した生活を送ることで筋力の低下、自律神経の失調を防止することが可能であると説明する
参考資料:標準看護計画
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