多発性硬化症患者の看護計画

免疫系看護計画

#1麻痺、しびれにより日常生活が困難である

目標:傷害に応じた援助が受けられ、日常生活を安全に送ることが出来る

OーP(観察)

1 上下肢痺れ、麻痺の程度、範囲

2 知覚異常の程度、部位

3 ADLの程度

4 患者の意欲

5 視力障害の有無

TーP(実施)

1 痺れを強く訴えた時は、マッサージや湿布などを行う

2 ADLを必要最小限で介助する

3 ベッド周囲の危険物を除去する

4 上下肢の自動他動運動を行う

EーP(教育)

1 運動練習は、焦らず確実に行うように指導する

2 家族にも患者ができることは介助せず患者自らに行わせるように指導する

3 自動他動運動の練習方法を説明し、なるべく自分で行うように指導する

4 日常生活用具の工夫を患者と一緒に考える

#2ステロイドホルモン内服、パルス療法による副作用が出現する可能性がある

目標:ステロイドホルモン治療の必要性が理解でき、副作用出現時は医師看護師に報告することが出来る

OーP(観察)

1 消化性潰瘍:消化管出血、胃部症状

2 血液検査データ

3 精神変調:不眠、興奮、発揚、多幸症、うつ状態

4 満月様顔貌、肥満、高血圧症、尿糖の有無

5 皮膚粘膜の状態

6 脱力感しびれ感等の神経症状の有無

7 体熱感

TーP(実施)

1 確実な服薬が出来るよう患者に応じて工夫する

2 清潔の保持

3 毎食後の含嗽励行

EーP(教育)

1 薬の副作用により、満月様顔貌、食欲亢進、不眠、潰瘍、疲疹などが起こることがあるが、薬の減量により徐々に軽減することを説明する

2 パルス療法は終了後1週間頃より、効果が出ることが多いのであらかじめ説明する

3 ステロイドホルモン内服中は免疫力の低下があるので感染に注意するよう指導する

#3急激な視力低下、複視に対する不安がある

目標:視力に対する不安を表現することが出来、視力傷害を正しき理解した上で受容でき、危険防止に努められる

OーP(観察)

1 視力低下、複視の程度

2 視力障害に問いする患者の不安の程度

TーP(実施)

1 ベッド、床頭台の近くに危険物は置かないようにする

2 主治医、眼科医の連絡調整

3 医師に十分な病状の説明を依頼する

EーP(教育)

1 多発性硬化症の症状には波があり、視力もある程度は回復の可能性があることを説明する

2 疾患に起因する視覚への影響を患者及び家族に説明する

 

#4けいれん発作に関連する疾病予後に対する不安がある

目標:苦痛不安について表現できる。病気を受容し闘病意欲が持てる

OーP(観察)

1 患者の訴え

2 食欲、睡眠状態など不安行動の有無

3 痙攣発作の有無、時間、程度、回数など

4 ストレス源

TーP(実施)

1 患者の訴えをゆっくり落ち着いた態度で聞く

2 励ましの言葉をかけ、闘病意欲を失わせないようにする

3 医師との連絡を密にし、患者の不安にこたえる

4 患者が納得のゆくまで話を聴く

5 「予後は決して悪くない。憎悪期はステロイド、パルス等で著効を示すこともある」などと言語統一を図り励ます

6 同病者の紹介

7 興奮させるような言動、不安を感じさせるような言動に注意する

8 わずかな進歩でも指摘し希望を持たせる

EーP(教育)

1 心配事、不安、不満があれば何でも話すよう指導する

2 家族に患者の不安を支持する重要性、方法を指導する

#5患者の病気に対し家族の不安、疲労がある

目標:家族の不安疲労が軽減する

OーP(観察)

1 疲労度、不安の有無

2 経済的問題(特定疾患申請のチェック)

3 面会の時間と回数

TーP(実施)

1 面会時の声掛け、悩みや心配、不安や不安の表出を促す

2 面会時間の考慮

EーP(教育)

1 多発性硬化症の症状について、主治医と言語統一し説明する

2 憎悪因子について説明し、患者の問題を共有できるようにする

3 家族の励ましの必要性を説明する

#6憎悪と寛解を繰り返している為、退院に際し不安がある

目標:病識が持て日常生活の留意点が言える

OーP(観察)

1 患者の生活背景を知る

2 退院に際して患者、家族の受容性のチェック

3 患者の言動のチェック

TーP(実施)

1 職場復帰上または日常生活上の問題を挙げてもらい、解決策を看護師と一緒に立てる

EーP(教育)

1 規則正しい生活の指導(暴飲暴食をしない、食事時間を守る、十分な睡眠時間をとる、ストレスの処理)

2 定期的外来受診と確実な内服の必要性を指導する

3 妊娠が再燃の誘因になることがあるので、パースコントロールを行う必要がある場合は個別に指導する

参考資料:標準看護計画

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