劇症肝炎患者の看護計画

消化器系看護計画

目次

劇症肝炎患者の看護計画

#1ウイルス性、薬剤性肝炎に関連した急激な肝不全となり、生命に危険が生じる

目標:適切な治療、看護が受けられ生命が維持できる

OーP(観察)

1 病歴

2 意識レベル

3 VS:血圧、HRの変動、呼吸数、呼吸音、呼吸パターン

4 黄疸、腹水、浮腫の有無、皮膚の状態

5 抹消循環状態

6 出血傾向

7 胃チューブからの流出物の性状

8 尿量、尿比重

9 検査データ

 a 緊急血液検査:動脈血液ガス分析、血性ナトリウム、血清カリウム、血性クロール、総蛋白、GOT、GPT

 b 一般血液検査、間接型ビリルビン、総コレステロール、アルブミン、アミラーゼ、フイブリノーゲン、白血球分画、HB抗原(抗体)

 c 腹部エコー

 d 胸腹部レントゲン

 e 頭部、腹部レントゲン

TーP(実施)

1 輸液管理

2 酸素吸入の管理:挿管を行う場合は人工呼吸器装着中の患者の看護に準ずる

3 留置カテーテルの管理

4 胃チューブの管理:性状には注意し出血時は医師に報告する

5 清潔:全身清拭毎日、陰部洗浄毎日

#2高アンモニア血症、アミノ酸代謝異常に関連して意識レベルが低下する可能性がある

目標:適切な治療と看護が受けられて、意識レベルの低下による危険防止が図れる

OーP(観察)

1 意識レベルは肝性昏睡の分類を参考にする

2 瞳孔の大きさ、対光反射

3 呼吸状態(気道の確保)

4 検査データ:アンモニア値、血小板、プロトロンビン、フイブリノーゲン

TーP(実施)

1 意識レベルの低下で不穏興奮が強い場合は、安全の為抑制を考慮し危険防止をはかる

2 抑制の際は各勤務毎にチェックし皮膚の状態に注意する

EーP(教育)

1 家族に抑制の際、必要性を十分に説明する

#3病状の急激な進行や治療処置の予後の関連した患者、家族に不安が生じる

目標:医師看護師より適切な説明を受けることで、必要以上に不安を抱かず治療看護に協力できる

OーP(観察)

1 患者、家族の言動、表情、反応

2 疾患に対する理解の程度と受け入れ具合

3 不安の内容

TーP(実施)

1 訴えには十分に耳を傾け不安が表出しやすい雰囲気づくりに努める

2 患者家族のムンテラ内容の把握と統一

3 意識レベルに関わらず、処置の前には必ず声掛けをする

4 家族に対し医師より病状の説明があるが、家族の理解度を看護師は把握

EーP(教育)

1 意識レベルによって、患者に対し病状や処置の説明を行い協力を得る

2 不安なことは何でも質問するように説明する

#4凝固因子の欠乏やDICと合併しやすいことに関連した出血傾向が出現する

目標:出血が最小限にとどまり腎障害が進行しない

OーP(観察)

1 出血データ:Hb、Ht、RBC、FDP、血小板、プロトロンビン時間

2 口腔粘膜などからの出血の有無

3 胃チューブからの排液の性状

4 便の性状、潜血反応

5 腹部症状、腹部膨満の有無

6 尿量:出血性ショック時乏尿となる

7 抹消循環の状態

TーP(実施)

1 胃粘膜保護剤、止血剤投与

2 生食による胃洗浄

3 輸液の管理

4 輸血の介助

5 意思の疎通を図り、不安などのストレスの除去に努める

#5肝障害に関連した腎不全を合併しやすい

目標:循環血液量が維持され腎障害を起こさない(腎不全患者の看護参照)

#6免疫機構の低下や各種ラインの留置に関連した感染の可能性がある

目標:感染の症状や徴候を示さない

OーP(観察)

1 検査データ:WBC、CRP、喀痰、血液、尿培養など

2 発熱の有無

3 胸部レントゲン

TーP(実施)

1 カテーテル挿入部の清潔保持

2 処置時の清潔操作

3 身体の清潔保持

#7伝染性因子に関連した他者への感染の危険性がある

目標:他の患者、医療従事者、家族がHBに対し正しい理解が出来、自ら感染を防止することが出来る

OーP(観察)

1 HBパンフレットの理解度、日常生活面について

TーP(実施)

1 血液、分泌物、排液物の取り扱いはデイスポーザブル手袋を使用

2 手洗いはグリンㇲを使用

3 採血器具はデイスポーザブルを使用

4 使用後の注射針は必ずキャップをして所定の場所に破棄する

5 食器はデイスポーザブルを使用

6 体温計は水銀体温計を使用

7 血圧計はHB専用のものとする

8 汚物、寝衣リネン類、医療器具、器械、薬杯、マグカップ、その他院内感染予防マニュアルに準ずる

EーP(教育)

1 HBパンフレットに沿って指導する

参考資料:標準看護計画

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