#1胆管の狭窄、閉塞に関連した閉塞性黄疸がある
目標:TBiLが5,0mg/dl以下になり、手術に臨める
OーP(観察)
1 VS:発熱、血圧低下、頻脈
2 胆汁流出状態、量、性状、出血の有無
3 ドレーンの屈曲、圧迫の有無、排液の性状
4 腹痛、腹部膨満など腹部症状
5 倦怠感、掻痒感、皮膚、眼球黄染の有無
6 食事摂取状況、量
7 尿量、尿、便の性状、色調
8 検査データ:GOT、GPT、LDH、出血時間、プロトロンビン時間
9 検査所見:腹部CT、腹部エコー、PTC、ERCP、腹部アンギオ
TーP(実施)
1 減黄処置としてPTCD、ENBDが施行されるためその管理を行う(PTCD挿入中の患者の看護参照)
2 清拭、爪切りを行う
3 医師の指示により、出血傾向に対しビタミンK与薬、新鮮血、血小板輸血を行う
EーP(教育)
1 爪は短く切っておくよう指導する
2 皮膚を強く掻かないよう指導する
#2消化吸収障害に関連した栄養状態の低下がある
目標:栄養状態が改善される
OーP(観察)
1 血液検査データ
a 血性蛋白
b 血清アルブミン
c コレステロール
d コリンエステラーゼ
e CBC
f アミラーゼ
2 食事摂取状態
3 体重の増減
4 浮腫の有無
5 水分出納、程度、部位
6 眩暈、ふらつき
7 顔色
8 腹水の有無
TーP(実施)
1 腹水、浮腫を認める場合は体重測定、腹囲測定を行う
2 高蛋白、高カロリー食とする
3 高カロリー輸液の施行を介助し輸液管理
4 高含水炭素と十分なビタミン与薬
5 浮腫がある場合
a 塩分制限:5~10g/日
b 水分制限
c アルブミン製剤投与
d 水分出納、バランス、尿量チェック
6 眩暈、ふらつきなどによる事故防止に努める
EーP(教育)
1 食事は自分の嗜好なども取り入れ、摂取量を維持できるよう指導する
2 IVH挿入中の注意事項をパンフレットを使用して説明する
3 低たんぱく、低栄養による眩暈、ふらつきなどに注意し事故防止の為症状出現時は看護師に連絡するように説明する
#3癌の直接浸潤によるラ島の破壊に関連した、糖代謝の異常がある
目標:血糖コントロールが出来低血糖、高血糖を起こさない(糖尿病の看護参照)
#4癌性疼痛に関連した、不眠不穏が起こる可能性がある
目標:疼痛が緩和され安楽が保たれる
OーP(観察)
1 疼痛
a 部位:心窩部、季肋部、背部、腰部
b 程度:刺痛、鈍痛、疝痛、激痛
c 鎮痛剤効果の有無、程度
d 鎮痛剤使用状況
2 VS
3 患者の言動、精神状態
4 全身状態
5 食事との関連
TーP(実施)
1 指示された鎮痛剤の与薬を行う
2 体位の工夫と背部マッサージ及び罨法を行う
3 疼痛チェック表に記入してもらい指標とする
4 現状の説明を十分行い、精神的ストレスからくる不安を緩和する
5 精神的に落ち着けるよう、家族以外の面会人を制限する
#5術後膵内分泌機能障害に関連した糖質代謝障害がある
目標:低血糖、高血糖が起こらず血糖コントロールの方法が理解できる
OーP(観察)
1 血糖
a 術直後:2,3時間ごと
b その後、血糖変動により3~6時間ごと、適宜
2 尿糖、ケトン体
3 低血糖、高血糖症状の観察
a 低血糖症状:冷汗、手指振戦、動悸、吐き気、嘔吐、血圧上昇、頻脈、低体温、複視、昏睡など
b 高血糖症状:口渇、倦怠感、頭痛、浸透圧利尿、脱水、電解質異常
4 食事摂取量
TーP(実施)
1 医師の指示により血糖管理を行う
a 術直後:レギュラーインスリンの持続与薬
b その後、IVHボトル内にレギュラーインスリン混入
c 退院前:レギュラーインスリン皮下注射、経口血糖降下薬
2 低血糖高血糖症状出現時の対応
a 低血糖時:医師の指示で50%ブドウ糖などの静脈内注射、角砂糖などの経口摂取
b 高血糖時:医師の指示でレギュラーインスリンの皮下注射
3 経静脈、経腸、経口栄養の管理
a 摂取カロリー量の把握
EーP(教育)
1 低血糖高血糖症状について説明する
2 血糖コントロールの必要性を説明する
3 経腸栄養法を指導する
a 注入量、注入速度
4 食事療法について指導する
a 食事摂取量のカロリー計算
5 自己血糖測定、自己インスリン注射の指導をする
a パンフレット参照
#6術中の血管系の処理多く、手術に関連した出血の可能性がある
目標:出血が早期に発見され、出血によるショックを起こさない
OーP(観察)
1 VS
2 一般状態
a 意識レベル
b 尿量減少
c 冷感の有無
3 出血の有無、量
a 創部の状態
b ドレーンからの排液量、性状
c 腹部膨満の有無(腹壁の緊満の程度)
4 検査データ:Hb、Ht、RBC、胸部レントゲン
TーP(実施)
1 輸血の準備があるのを確認しておく
2 ドレーンの管理を行う
a 固定
b 屈曲の有無
c ミルキング
3 出血が減少しない場合は医師に報告する
a 50~100ml/時が2時間以上続く場合
b 200ml/時は再手術となる可能性が高いため注意する
#7膵液の自己消化作用に関連した、縫合不全の可能性がある
目標:吻合部ドレーンが術後約2週間で抜去できる
OーP(観察)
1 VS
2 ドレーンからの排液の量、性状、排液中のアミラーゼ値、胆汁測定値
3 胆汁の漏出の有無
4 ドレーンの屈曲、閉塞の有無
5 腹痛の有無
6 腹膜炎徴候:発熱、腹部膨満、ブルンべルグ徴候
7 便の性状
TーP(実施)
1 ミルキングを行い排液を促す
2 排液が多い時医師に報告
3 医師の指示により、水、電解質、血液製剤補給:DIC、急性膵炎の予防
4 縫合不全を起こした場合、皮膚の保護に努める
EーP(教育)
1 ドレーンを無理に引っ張らないよう説明する
2 手で創部に触れないように指導する
#8胆汁酸炎や胆汁色素による、尿細管の障害から急性じん不全の可能性がある
目標:十分な尿量が維持できる(急性腎不全患者の看護参照)
#9膵外分泌の欠落に関連した、脂肪と蛋白の消化吸収障害がある
目標:経口摂取が進み、下痢、便秘が起こらない
OーP(観察)
1 経口摂取量のチェック
2 食後の吐気、嘔吐、腹部膨満及び腹痛の有無
3 排泄状況:排便の回数、性状、量
4 膵外分泌機能低下
TーP(実施)
1 医師の指示により
a 消化酵素剤、膵酵素剤の与薬を行う
b 低たんぱく血症時、血漿製剤、新鮮凍結血漿の与薬
2 食事療法
a 高蛋白、高カロリー低脂肪食、脂肪制限:70g/日
b 食事は5,6回の分割食とする
EーP(教育)
1 退院時指導を次のように行う
a 食事指導:高カロリー、高蛋白、低脂肪食をとるようにする。食事は5~6回の分割食がよい
b 下痢時の対処方法の説明
c 便秘時の対処法の説明
d 体調不調時、体重減少時は外来受診する
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#10経腸栄養の継続に関連した不安がある
目標:経腸栄養の必要性が理解でき、退院に向けた管理に自信が持てる
OーP(観察)
1 患者の表情、言動、理解度、病識
2 家族の受け入れ、協力度、支援者
3 経腸栄養の注入量、速度による腹部症状の変化
4 腹部症状:吐気、嘔吐、下痢の有無と程度
5 血糖値の変動
6 食事摂取量、嗜好品
7 水分出納
8 腸瘻挿入部の状態:発赤ビランの有無と程度、閉塞、漏れの有無
TーP(実施)
1 下痢の状態に応じて経腸栄養の種類を変更して濃度は徐々に上げる
2 チューブの固定と注入終了放置による閉塞に留意する
3 患者の理解度、受け入れ状況を把握し退院に向けて患者のペースで自立を促す
4 血糖は測定ごとに患者に知らせ意識付けを行い、早期より自己管理に向けて指導を開始する
5 消化吸収障害の時期は1~3カ月は憎悪するが6カ月以降は改善してくることを説明し患者の不安を緩和する
EーP(教育)
1 パンフレット参照:膵臓の手術を受けられた患者さんへ
2 経腸栄養の方法を指導する:注入量、カロリー、注入速度
3 経口摂取量のカロリーの計算方法を指導する
4 自己血糖測定、自己注射(膵全摘の患者)について指導する
5 嗜好品を取り入れた食事内容の工夫を説明する
参考資料:標準看護計画
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