開頭術後患者の看護計画
#1術後出血や脳浮腫の出現に関連して脳ヘルニアを起こす可能性がある
目標:適切な処置が受けられ、脳ヘルニアを起こさない
OーP(観察)
1 神経学的徴候
a 意識レベル:3-3-9度:グラスゴー・コーマ・スケールの判定
b 瞳孔:大きさ、不同の有無、対光反射の有無、形状、眼球の偏移、対光反射の左右差
c 麻痺の有無
d 痙攣の有無
e 自覚症状:頭痛、吐き気、嘔吐
2 VS
a 呼吸:パターン、数、深さ
b 循環:血圧上昇、急激な下降、心拍数徐脈、頻脈、CVP上昇
3 全身状態
a 各種ドレーンより流出物の性状、流出状態、量
b 尿量、水分バランス
c 皮膚の状態、浮腫の有無
d 検査データ:CT、血液ガス(低酸素による脳浮腫予防の為)電解質
e 創状態の観察:浮腫、腫脹の有無
f 外減圧の場合、減圧部の腫脹に注意
TーP(実施)
1 安全、安静、安楽の保持
a 創部圧迫除去:減圧術後は特に注意
b 頭部挙上10~30度:セミファーラー位、医師の指示による
c 頸部の過伸展、過屈曲の防止
d 不穏状態が強い場合は、医師の指示により鎮静剤の与薬、抑制
2 気道確保と酸素供給:人工呼吸器装置中の看護を参照
a パッキングをできるだけさせない
3 与薬介助
a 高浸透圧剤、ステロイドホルモン剤、止血剤
4 ドレーンの管理
a 頭皮下ドレーン:ミルキング
b 硬膜外ドレーン
c 脳室ドレーン:一般にミルキングは禁忌
d 硬膜下ドレーン:医師の指示によるドレナージの高さの確認をする、波動の確認
EーP(教育)
1 安静の必要性を説明する
2 治療への協力
3 自覚症状を早期に知らせるように説明する
#2開頭術後に関連してけいれん発作を起こす可能性がある
目標:適切な処置を受けけいれん発作が起きない
OーP(観察)
1 痙攣の有無:発生部位、広がり方、持続時間、頻度、痙攣様式
2 神経学的症状
a 意識レベル
b 瞳孔径、左右差
c 対光反射の有無
3 VS
a 血圧の上昇
b 脈拍数の増加
c 発熱の有無
d 呼吸状態、無呼吸の有無
4 全身状態:チアノーゼの有無
TーP(実施)
1 薬剤与薬介助
a 抗痙攣剤の定期的与薬
b 発作時の鎮静剤の与薬
2 発作出現時の救急処置
a 気道の確保と酸素供給
b 鎮静剤与薬
c 事故防止:バイトブロック挿入、抑制
#3髄液漏による、髄液の漏出に関連した髄膜炎を起こす可能性がある
目標:適切な処置が受けられ髄膜炎を起こさない
OーP(観察)
1 創部ガーゼ汚染の性状、髄液漏の有無
2 内耳開放を行った場合は耳ろうに注意:テステープで糖反応が陽性であれば髄液漏と診断
3 髄膜炎症状
4 VS:血圧上昇
TーP(実施)
1 創部ガーゼ交換
2 抗生物質の与薬介助
3 外科的治療:7~10日たっても治癒しない場合
#4水分、中枢性ナトリウム喪失に関連して電解質代謝異常をきたしやすい
目標:適切な処置を受けることによって正常値が保たれる
OーP(観察)
1 電解質バランス
a 浸透圧調節、機構障害の場合:中枢性高ナトリウム血症
2 水分バランス
a 尿量、尿比重、尿浸透圧:脳圧降下剤の長期使用した場合高ナトリウム血症、低カリウム血症を伴う脱水をきたすことがある
b VS:血圧の低下、脈拍数の増加、ECGモニタ(T波、STの変化)CVP値
3 神経学的所見
TーP(実施)
1 電解質補正
2 水分補正:膠質浸透圧剤
3 ショック時に備えての準備
#5ストレスやステロイド剤使用に関連する消化管出血を起こしやすい
目標:消化管出血を起こさない
OーP(観察)
1 胃チューブからの排液性状、量
2 便潜血の有無
3 血液検査:ヘモグロビンの低下、赤血球数の減少
4 自覚症状の有無
TーP(実施)
1 胃粘膜保護剤の敵与薬
2 シメチジン、ファモチジンの与薬
3 出血が確認された場合
a 胃洗浄
b 胃粘膜保護剤など止血剤の胃注入
c 止血剤投与
EーP(教育)
1 自覚症状を早期に知らせるよう指導する
#6意識レベルが改善せず麻痺を残すことに関連する
目標:肺合併症を起こさず、早期離床ができる
OーP(観察)
1 呼吸状態
a 様式、回数、呼吸音
b 呼吸困難の有無
c 喀痰喀出状態、量、性状
2 チアノーゼの有無
3 意識レベル
4 検査データのチェック
a 血液ガス
b 胸部レントゲン:肺水腫、無気肺の有無
c 喀痰培養
TーP(実施)
1 酸素供給
2 喀痰喀出の援助
a 吸入
b 体位ドレナージ
c タッピング
d 気管内吸引
3 薬剤の確実与薬:抗生物質
EーP(教育)
1 深呼吸指導をする
参考資料:標準看護計画
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