低位前方切除術を受ける患者の看護計画
#1腸閉塞や下血、下痢、貧血に関連した栄養状態の低下がある
目標:適切な処置を受け栄養状態が改善される
OーP(観察)
1腹部症状
a 吐気、嘔吐
b 腹痛
c 下痢
d 便秘
e 腹部膨満
2排便状態
a 下血の有無
b 便の性状:下痢、便秘の有無
3 VS
4 水分出納
5 検査データ
a 血液データ:CBC、TP、ALb、CEA、コレステロール、電解質
b 腹部レントゲン:鏡面像の有無
6 ADL状態
7 全身状態
TーP(実施)
1 状態に応じて食事の種類を変更する
2 状態に応じて絶食としIVHカテーテルを挿入し、輸液管理を行う
3 貧血が強い場合は医師の指示により輸血を行う
4 指示された内服薬を確実に与薬し観察する
a 下痢
b 止痢剤
c 整腸剤
5 浣腸は医師の指示があるまで禁忌である
EーP(教育)
1 指示された食事内容を守るように指導する
#2腸内容物の排除を要する検査に関連した不安が強い
目標:検査の必要性が納得でき対処方法が分かる
OーP(観察)
1 患者の理解度
2 検査前の便通状況
3 下剤内服後の排便状態
4 腹痛、腹部不快の有無
5 消化管ファイバー、注腸検査終了後は、水分の摂取状態、バリウム便の排泄の有無、疼痛の有無、出血の有無
TーP(実施)
1 注腸検査要項に準ずる
2 種々の検査の際は、患者に必要性を十分に説明し納得させる
3 前日に下剤を与薬するが、すでに下痢が著明な場合や狭窄が強い場合は、医師に確認する
4 下痢が著明な場合は脱水に留意し医師の指示で補液を行う
5 バリウム排泄の確認を行う
EーP(教育)
1 検査食の時には間食をしないように指導する
2 注腸検査の場合は、検査要綱を守るように患者の説明する
3 検査のことで分からない点があれば、説明して不安の無いようにする
#3腸内容の排除が不十分な場合、ガス発生により腸内圧が高くなり術後の縫合不全の原因となる
目標:腸内容を除去し腸内の清浄化が図れる
OーP(観察)
1 腹部状態;腸蠕動、排ガスの有無など
2 排便状態
3 腹部レントゲン:腸内容物の有無を確認する
TーP(実施)
1 術後3~4日前より1日4回に硫酸カナマイシンなどを与薬、下剤を眠前に服用させる
2 手術前日には腸管洗浄液を内服させ腸洗浄を行う
3 手術当日グリセリン浣腸施行
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#4術後の癒着に関連したイレウスの可能性がある
目標:腸蠕動が回復し術後2~3日頃までに排ガスがある
OーP(観察)
1 腹部症状:腹痛、吐気、嘔吐、腹部膨満、腹壁の緊張、腸蠕動、排ガスの有無
2 排便状態、便の性状と量
3 腹部レントゲン:鏡面像
4 検査データ:WBC、Ht、K、Na、Cl、Ca
5 腹部エコー
TーP(実施)
1 術後早期より体位変換、離床を促す
2 留置カテーテル挿入時は早期に、膀胱訓練開始し抜去することにより体動しやすくさせる
3 医師の指示で次のことを行う:腸蠕動促進剤の与薬、熱気浴
4 浣腸は腸内圧が亢進し縫合不全の危険を招くため最低2週間は禁止する
5 排便処置前後の腸蠕動を確認する
6 指示により胃チューブを挿入する
7 絶飲絶食とするが回復状態により食事を開始する
#5感染、吻合部炎症に関連した縫合不全の可能性がある
目標:下血、腹痛がなくVSが安定している
OーP(観察)
1 ドレーンの排液、性状、量
2 VS、発熱
3 腹痛、腹部膨満、腹膜刺激症状
4 便の性状、量:粘血便、血便
5 検査データ:CBC、CRP
6 検査所見:腹部レントゲン
TーP(実施)
1 縫合不全とみられる徴候があればただちに医師に報告する
2 緊急手術となる可能性があるため、方針を確認後準備を行う
3 安静保持、体位を工夫し苦痛の緩和に努める
EーP(教育)
1 安静を保持し腹圧を掛けないように指導する
#6骨盤内での複雑な操作を要する為、神経損傷に関連した排尿障害の可能性がある
目標:排尿訓練により機能が回復し自然排尿がみられるようになる
OーP(観察)
1 尿意の有無
2 1日尿量(水分摂取量、水分出納)
3 1回尿量、残尿
4 尿勢
TーP(実施)
1 術後4日目より膀胱訓練を開始し、尿意があれば留置カテーテルを抜去する
2 留置カテーテルを1週間目には抜去し自然排尿を促す
3 出来るだけ正常な排尿姿勢をとらせる
4 水音を聴かせる、会陰部に温かい湯を注ぐ、患者の手を湯に浸すなど試みる
5 機能障害が残った場合は泌尿器科にコンサルトし間歇的導尿、自己導尿の指導を考慮する
EーP(教育)
1 初めは尿意がなくても根気よく続ければ治ることを説明する
2 用手的排尿方法を指導する
3 経口摂取可能な場合水分摂取を促し、排尿量を増やす必要があることを説明する
4 自己導尿の指導を行う
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#7健康時の排便習慣に戻るまで、6カ月くらいを要し下痢や便秘に傾きやすい
目標:自分に合った方法で排便コントロールができる
OーP(観察)
1 腹部症状:便の回数、性状、排便パターン
TーP(実施)
1 医師の指示で次のことを行う
a 水分、電解質の補給
b 消化剤、整腸剤の与薬
c 必要時止痢剤の与薬
d 便秘時、緩下剤の与薬
e 腹痛時、鎮痛剤の与薬
2 食事は固形物や繊維を多く含んだ食品、冷たい飲み物は避け、消化管の安静を図る
3 腹部温罨法
4 肛門部の保清
5 排便コントロール不良に対し精神的ストレスを生じやすいため、必要時医師により病状説明をしてもらう
EーP(教育)
1 術後、2~6カ月くらいはテネスムス症状が続くという事を説明する
2 毎日規則正しい排便習慣をつけるように指導する
3 食事指導
a 線維の多く含んだ食品、温冷の激しいものは避ける
b 消化の良いものをゆっけり咬んで食べる
c 固形物はなるべくとらない
d アルコールは控える
参考資料:標準看護計画