前立腺がん患者の看護計画
#1術後合併症の恐れがある(出血、創部痛、創部感染、尿路感染、肺塞栓、深部静脈血栓症)
目標:手術後の合併症が起こらない
OーP(観察)
1 体温、脈拍、血圧、呼吸数
2 疼痛:部位と程度、体動時の変化、鎮痛薬の効果
3 ドレーンからの排液量と性状
4 創部からの浸出
5 膀胱内留置カテーテルからの尿量と性状、尿漏れの有無
TーP(実施)
1 ドレーンやカテーテルを注意深く丁寧に吸いながら体位変換を行う。手術翌日から立位歩行へと促す
2 創部痛のコントロール
a 鎮痛薬の的確な投与
b 疼痛時は医師に相談する
c 安楽な体位の工夫
3 深部静脈血栓症の予防
a 器具を装着する
b 下肢の屈伸や足関節の屈伸を促す
4 呼吸器合併症の予防
a 吸入、含嗽
b 深呼吸や咳を促す
5 逆行性の尿路感染の予防
a 陰部洗浄、消毒
b 水分を促す
EーP(教育)
1 創部痛はコントロールできるので我慢しないように伝える
2 早期離床の必要性を伝える
3 経口摂取が可能になったら水分の必要性を伝える
4 ドレーン類が装着されているので、確認しながらゆっくり体動するように説明する
#2排尿障害(尿失禁や尿漏れ)が生じる
目標:尿漏れや尿失禁が減少する。尿失禁や尿漏れによる皮膚の障害が怒らない
OーP(観察)
1 排尿状態:尿量の有無、1回尿量、尿漏れの有無(パッドの汚染)尿の性状
2 バイタルサイン:保温、血圧、脈拍、呼吸数、水分出納
3 陰部の皮膚:発赤、腫脹(ビラン、発赤)
4 活動範囲、他者との関連性
TーP(実施)
1 必要時排尿とパットの汚染を確認する
2 処方があれば抗コリン薬の内服確認
3 適切な水分摂取ができるように準備し、必要があれば摂取を促す
4 必要時、陰部の清潔を促す、援助する
EーP(教育)
1 骨盤底筋を指導する
a 肛門の収縮を確認する。入浴時に肛門に指を挿入して確認しても良い
b 肛門の収縮と弛緩を素早く繰り返す。肛門を収縮させたまま5秒数えて力を抜く。これを5回1セットとして10回セット、1日100セットを目安に行う
c 排尿中に尿を一時的に止めてみる
d 排尿後、咳をして腹圧を掛けた後、ゆるめることを繰り返したりジャンプしたりして腹圧をかけてみる
2 排尿のモニタリングを指導する
a 排尿日誌をつけるなどして、水分摂取量、病量、尿漏れの程度、尿量、尿の性状、骨盤底筋運動の実施状況などを記録し、自己分析する
3 尿トリパットや男性用の失禁下着を紹介する
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#3性機能障害により自己概念が混乱する(性的自己価値観)
目標:夫婦・パートナーの関係性を再構築する
OーP(観察)
1 性機能障害:勃起障害の程度、性欲の程度
2 男性としての自己に対する言動
3 妻、パートナーに対する言動
4 夫、パートナーに対する言動
5 家族や友人から見た夫婦、パートナーの関係性
6 職場や家庭での役割
7 性に対する考え方
TーP(実施)
1 患者が性機能障害について話しやすい関係を構築する
2 訴えがあった時は、受容的に話を傾聴する
3 必要時、専門医に相談できるように調整する
EーP(教育)
1 性に対する不安や問題は医療者が相談に応じられる問題であることを伝える
2 障害改善の方法として、クエン酸シルデフイル等の内服薬、陰茎に陰圧をかけて勃起をサポートする吸引でパイス、陰茎海綿体内にシリコン製のプロステ―シスを挿入するなどあり、専門医を紹介できることを伝える
3 性交渉によらない関係性のありようについて、夫婦、パートナーで話をする意義を伝える
4 患者会などを紹介する
#4再発、転移への不安がある
目標:必要な治療や経過観察を続けることが出来る
OーP(観察)
1 治療や病状に対する理解度
2 将来に対する言動
3 表情、睡眠状態などの生理的、心理的刺激
TーP(実施)
1 疑問や感情が表出しやすい関係、雰囲気をつくる
2 医師や他職種の説明を理解できるように調整する
3 将来への不安について患者会などを紹介する
4 不安によって日女言う生活に支障をきたしているようであれば、専門医へと調整する
EーP(教育)
1 治療については十分に必要であれば繰り返し情報提供を行い、納得いく意思決定をサポートする
2 必要時家族にも指導し、不安を分かち合える関係づくりをする
参考資料:疾患別看護過程
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