#1術後合併症出現と神経症状残存の恐れがある
目標:手術後に神経症状が消失あるいは軽減する。手術後の疼痛をコントロールすることが出来る。手術後に深部静脈血栓症、創出血、感染を起こさない
OーP(観察)
1 下肢痛、腰痛の有無と程度
2 筋力低下の有無
3 下肢のしびれの有無と程度
4 創部痛の有無と程度
5 同一体位保持による腰背部痛の有無と程度
6 深部静脈血栓症、浮腫の有無
a ホーマンズサインの有無
b Dダイマー値
c 下肢の循環状態
d 水分出納
7 足指・足関節の自動運動の有無と程度
8 下肢の循環状態(足先の冷感、足肺動脈の触知)
9 鎮痛薬の持続時間と効果
10 創部・ドレーンからの出血の有無、量、性状
11 感染徴候の有無
a 体温の変動、CRP、白血球などの検査値、創状態、創周囲の腫脹
12 留置カテーテル中の尿量、性状
13 栄養状態(アルブミン、総蛋白、ヘモグロビンなどの検査値)
TーP(実施)
1 安楽体位を工夫する
2 側臥位への体位変換を行う(体幹をまっすぐ保持しながら行う)
3 コルセットの装着を介助する
4 神経症状出現時は医師に連絡する
5 ドレーンの管理を行う
6 医師の指示によって鎮痛薬を投与する
7 足指・足関節の底背屈運動を行う
8 間欠的空気圧迫装置を用いて足部を刺激する
9 弾性ストッキングを使用する
10 無菌操作によって創部ドレッシングを交換する
11 保清を援助する
12 留置カテーテル挿入中の陰部洗浄を行う
EーP(教育)
1 手術後一時的にしびれや筋力低下が生じることがあるが、次第に改善する事を説明する
2 疼痛や神経症状が増強した場合は直ちに知らせる
3 痛みを我慢しないように説明する
4 術前訓練で実施した体位変換の方法を確認する
5 自主的に足指・足関節の底背屈運動を行うように説明する
#2腰部の安静に伴い、セルフケア不足である
目標:腰部の安静を保ちながら自分でできる範囲のセルフケアが行える
OーP(観察)
1 日常生活動作の評価(食事、排泄、清潔、睡眠、更衣、移動)
2 可動域、筋力の状態
3 ベッド周囲の環境
4 患者の疲労感
5 疼痛、しびれの状態
6 皮膚の状態
7 座位時血圧低下、気分不快、神経症状の有無
8 精神状態(不安、ストレス、イライラ、やる気など)
TーP(実施)
1 コルセット装着を介助する
2 食事の援助:ベッド上臥床時は側臥位あるいは仰臥位で摂取できる食事内容を工夫する(おにぎりや固形の副食)
3 排便の援助:仰臥位で臀部を挙上して便器を使用。離床可能となれば洋式トイレを使用する
4 排尿の援助:留置カテーテル抜去後は、仰臥位では尿器を使用する
5 清潔の援助:ベッド上安静時は清拭を行う
6 清潔の援助:抜糸が済めばシャワー浴が可能となる。シャワーイスで座位になってからコルセットを外す
7 洗面:ベッド上安静時は蒸しタオルでの洗面や歯磨き介助を行う
8 坐位訓練:コルセット装着後の側臥位から坐位への指導を行う
9 ベッド周囲の環境整備を行う
a 腰部の安静を保持した状態で、身の回りの必要な物品をとることが出来るように配慮する
10 精神的ストレスの緩和を図る
EーP(教育)
1 クリニカルパスなどにより、術後回復に伴って日常生活動作も拡大することを説明する
2 腰部の安静保持が回復を早めることを説明する
3 過度な安静は、回復を遅らせることを説明する
4 出来ると自己判断して無理をしないように説明する
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症を自分で治すための本 (らくらく健康シリーズ) | ||||
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#3再発に対する不安がある
目標:再発予防の為の日常生活行動が取れる
OーP(観察)
1 家庭や職場環境
2 生活様式
3 社会復帰後の役割
4 仕事内容
5 体重
6 喫煙の有無
7 運動の種類と運動後の疲労感
8 排泄食事内容
TーP(実施)
1 医師、理学療法士との連絡調整を行う
EーP(教育)
1 腰部に負担を掛けない生活を指導する
a 正しい姿勢をとる。中腰や前かがみは避ける
b 同じ姿勢をとり続けない
c 洋式生活に変更する(和式トイレは洋式トイレに、布団はベッドに変更するように促す。マットレスは固いものを選ぶ。手すりの設置
d 重い荷物は持ち運ばない
2 体重をコントロールするように指導する
3 車の運転、スポーツは医師の許可のもとに再開する
4 排便のコントロールをするように指導する
5 下肢の筋力増強訓練を継続するように指導する
6 コルセットを装着するように指導する
参考資料:疾患別看護過程
手術を受ける腰椎椎間板ヘルニア患者の看護計画
#1腰部に負担がかかることにより、腰椎椎間板ヘルニアに基づく神経症状の変化が起こる
目標:腰部の安静が守れ、円滑な入院生活を送ることが出来る
OーP(観察)
1 神経支配領域の知覚障害、運動障害
2 疼痛:運動痛、自発痛
3 歩容
4 コルセット装着状態
5 病識
TーP(実施)
1 寝具の工夫:褥瘡予防用シーツ、藁マットの使用
2 症状が強く安静保持が必要な場合はADLの援助
3 医師の指示により鎮痛剤の使用
EーP(教育)
1 腰部への負担を避けるように説明、顎を引き胸を張り、腹部を引くような正しい姿勢をとる、腰の捻転、前屈などの無理な体位は避ける、車椅子歩行器の使用
2 腹筋、腰背筋強化運動を指導
3 腰部の保温の為にホットパックを使用するよう説明する
4 神経症状増強時は報告するよう説明
#2腰椎の除圧固定術に関連する不安がある
目標:手術に対する理解が出来、術前練習を通して安心が得られる
OーP(観察)
1 疾患の理解度
2 不安内容
TーP(実施)
1 手術説明後の理解度の確認
2 術前オリエンテーション:手術に関連して、疾患に関連して
3 不安を口に出して言える雰囲気をつくり不安に対して耳を傾ける
4 モンキーバーとベッドミラーの設置
EーP(教育)
1 術前練習の指導
a 呼吸:0,5キロ砂嚢を腹部に乗せ、腹式呼吸や深呼吸を行う
b 安静:体幹の両側を5キロ×2個の砂嚢で固定し仰臥位をとる
c 食事:ベッドミラーとターンテーブルを利用し串刺し食を仰臥位で摂取
d 含嗽:ガーグルベースを使用し顔を横に向けて仰臥位で行う
e 排泄:便器、尿器を使用し床上排泄を行う
f 体位変換:体幹を曲げたり捻転しないで側臥位をとる
g 起居動作:側臥位になり下肢をベッドより下におろしながら、ベッド柵を手指で持ち体を起こす
h 下肢の運動:下肢挙上訓練、足関節の自動運動、等尺性の大腿四頭筋訓練を行う
#3腰椎の除圧固定術に伴う、出血や神経症状の悪化が起こる可能性がある
目標:腰部の安静が守れ、症状の変化が正しく報告できる
OーP(観察)
1 VS
2 出血、ガーゼ汚染:SBバック内の出血量
3 創痛
4 創周囲の腫脹
5 下肢の神経障害:近く、運動(膝たて、足趾・足関節の動き)
6 肢位
7 貧血症状
TーP(実施)
1 観察の基準:VS、手術当日帰室後は30分ごとに4回、1時間ごとに2回、2時間ごとに2回、手術後2日までは4時間ごと、手術後7日までは6時間ごと
2 SBバックの管理、出血量の測定、 SBバック内の除圧保持、ミルキングローラでミルキング
3 医師と共に肢位の調整:2~3回/日、腰部の両側に砂嚢を固定し体幹をまっすぐに保つ、膝窩部に安楽枕を挿入する、側臥位は両側から肩と腰を支え、捻転しない様に行う
4 出血腫脹創痛出現時、医師に報告
5 神経症状悪化時、医師に報告
6 止血剤、造血剤の確認
7 医師の指示により鎮痛剤の使用
EーP(教育)
1 創痛、しびれ増強時は報告するよう説明
2 気分不快、眩暈、悪心出現時は報告するよう説明
3 仰臥位安静を守るよう説明
#4術前からの腰椎椎間板ヘルニアによる膀胱直腸障害があるため、排泄困難が出現する可能性がある
目標:感染なく早期に排泄が自立する
OーP(観察)
1 留置カテーテル留置中、尿の流出状態、量、性状、水分出納、留置カテーテル挿入部の不快感、汚染、膀胱訓練時の尿意及び終末感、水分出納
2 留置カテーテル抜去後、排尿時間、量、性状、排尿時痛、残尿感
3 腸蠕動音
4 排便状態
5 発熱
6 検査データ:CRP、WBC、ESR
7 尿培養
TーP(実施)
1 留置カテーテル留置時:留置カテーテル留置が長期にわたると予測される時は陰部の剃毛
2 留置カテーテル留置中、陰部洗浄:1回1日、留置カテーテル交換:1回/2週、感染時、医師の指示により持続膀胱洗浄、膀胱訓練:翌日より開始し尿意が確実になれば留置カテーテルを抜去
3 留置カテーテル抜去後、排尿時プライバシーを守る環境を整える、排尿困難時の工夫:排尿への誘導、排便コントロール、腹部の温罨法、マッサージ、医師の指示により緩下剤の使用
EーP(教育)
1 1500ml/日以上の水分を摂取するよう指導する
2 腹部マッサージの指導
3 留置カテーテル留置中の尿意や終末感が分かれば報告するよう説明する
4 排尿時痛、残尿感が出現した時は報告するように説明
#5腰部の安静に伴う仰臥位を強いられるためADLの制限が大きい
目標:床上生活の工夫により、臥床時間を不自由なく過ごすことが出来る
OーP(観察)
1 体位
2 創痛、腰痛
3 褥瘡好発部位の皮膚状態
4 ストレスの有無:精神状態、身体的制限
TーP(実施)
1 仰臥位安静:砂嚢を腰部の両側に置き体幹をまっすぐに保つ
2 体位の工夫、医師同伴による体位変換、側臥位時の固定:背部に安楽枕、レザーまくらを置き、倒れないように固定する、医師の指示によりベッドアップ
3 褥瘡予防、褥瘡予防用シーツの使用、側臥位時に背部清拭、マッサージ
4 清潔の保持、側臥位時:背部、陰部、臀部、清拭を毎日、全身清拭:週3回、手浴、足浴、洗髪:週1回
5 食事の工夫:くし刺し食に変更
6 精神的援助、家族の面会を考慮、訪室回数を置くし訴えを良く聴く
EーP(教育)
1 臥床安静を守るように説明
2 体位変換の指導
3 気分転換を図る:雑誌ラジオなど娯楽をとりれる工夫をアドバイス
4 食事方法の指導、ターンテーブル、ベッドミラーの使用、スプーン、フォーク、ストローの使用
#6術前からの腰椎椎間板ヘルニアによる神経症状と臥床による筋力低下の為、起立歩行が困難である
目標:早期からリハビリテーションへの意欲が持て、積極的に自動運動が行える
OーP(観察)
1 下肢の知覚障害、運動障害
2 創痛、腰痛
3 下肢の筋力
4 起立、歩行
5 リハビリテーションに対する意欲
6 コルセット装着状態
TーP(実施)
1 神経症状悪化時医師に報告
2 コルセット装着介助
3 医師同伴による安静度拡大
4 意欲が持てるように励ましの声をかける
5 症状が強く安静保持が必要な場合はADLの介助
EーP(教育)
1 リハビリテーションを行うように指導する
2 創痛、腰痛、しびれの増強時、足趾足関節の運動不良時は報告するよう説明、手術後1日目より足趾足関節の運動、等尺性の大腿四頭筋訓練、医師の指示により下肢挙上訓練開始、医師の指示により滑車による自動運動、砂嚢、ハンドグリップを利用し上肢の筋力トレーニングを行うよう説明
3 車椅子、歩行器の使用を勧める
#7腰部への負担をかけることにより、腰椎椎間板ヘルニアの再発の恐れがある
目標:社会復帰や日常生活に関する注意点が習得できる
OーP(観察)
1 腰痛
2 下肢の知覚障害、運動障害
3 歩容
4 家庭の生活様式
5 職場復帰の意志
TーP(実施)
1 医師、PT、家族との連絡調整
EーP(教育)
1 家族も含めて退院指導を行う、腰の負担を避ける、下肢筋力トレーニングを継続、手すり、様式トイレ、ふろなどの生活様式を変更または改善するよう説明する、医師の指示があるまで職場復帰はしない、術後約3カ月はコルセットを装着しておくことを続ける定期的外来受診
参考資料:標準看護計画
料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A
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