上顎全摘出術を受ける患者の看護計画
#1疾病及び手術に対する不安がある
目標:手術の必要性が理解でき、手術への心構えができる
OーP(観察)
1 局所症状、頬部痛、鼻閉感、鼻汁の性状、頬部腫脹、眼症状、皮膚着色、硬結、開口状態、食事量
2 検査データ
3 精神状態、疾患、治療の理解の程度、患者の言動、表情、家族の影響
TーP(実施)
1 術前オリエンテーションを実施、顔面の変形、知覚障害、開口障害、構音障害、食事摂取困難気管切開の必要性、があれば捕捉、医師に再確認する
EーP(教育)
1 上気道感染予防を説明する
2 プロテーゼ使用時の機能回復訓練方法を説明する
#2術後侵襲の可能性がある
目標:異常が早く発見され適切な処置が受けられる
OーP(観察)
1 一般状態、VS、顔色、チアノーゼの有無、ショック症状の有無、尿量
2 患部の状態、疼痛の有無と程度、腫脹、熱感の有無と程度、髄膜刺激症状の有無、眼症状:眼痛、複視、流涙、眼球運動
3 前・後鼻出血(創部よりの出血)の有無:出血量、性状
4 洞内挿入ガーゼの固定状態
5 血液データ
TーP(実施)
1 創部冷罨法
EーP(教育)
1 心配や不安なことはすぐに伝えてもらうように説明する
#3分泌物や経口摂取により創部が汚染されやすく悪臭が生じやすい
目標:臭気が防止され不快感が軽減する
OーP(観察)
1 分泌物によるガーゼ汚染の有無、程度
2 悪臭の程度
3 悪臭に対する患者の表情
TーP(実施)
1 分泌物の吸引:医師による
2 ガーゼ交換の介助
3 口腔内保清:過酸化水素水綿棒で清拭、含嗽介助
4 環境整備:必要に応じて消臭剤の使用
EーP(教育)
1 含嗽の励行を説明する
2 ガーゼ汚染時の注意事項及び対処方法について指導する
3 創部洗浄法(エネマシリンジ)を指導する
#4開口障害が出現する為、経口摂取困難が起こりやすい
目標:経口から栄養補給ができる
OーP(観察)
1 術腔のガーゼの固定の有無
2 食事摂取量:鼻腔よりの漏れはないが、こぼさずうまく食べられるか
3 食事摂取に要する時間
TーP(実施)
1 食事環境を整える:食事中の面会は避ける
2 摂取量に応じて食事変更する:最初は半固形物より開始
EーP(教育)
1 術腔のガーゼを挿入できるように指導する
2 口腔に近い汚染ガーゼの交換(食前、食後)を指導する
#5構音障害がある
目標:日常会話が可能になる
OーP(観察)
1 会話状態
2 語音の明瞭度
3 プロテーゼの適合具合
4 意思疎通が図れないことによる精神状態
TーP(実施)
1 十分に話を聴く
2 プロテーゼを装着する
3 必要に応じ筆談と50音字表を使用する
EーP(教育)
1 話はゆっくり大きな声で話すように指導する
2 話すコツをつかむように指導する
#6顔面の変形があるために精神的に不安定になりやすい
目標:プライバシーが確保され精神的な安定が得られる
OーP(観察)
1 患者の受け止め方を知る
2 術前と術後の精神的ギャップの差
TーP(実施)
1 ガーゼで保護する
2 変形予防の為プロテーゼを装着する
3 初期は鏡をむやみに見せない
4 話を十分に聞く
EーP(教育)
1 現在の状態を受け入れるように指導する
2 家族への協力を依頼する
#7退院後家庭での療養に不安がある
目標:不安が軽減されて安心して継続療養ができる
EーP(教育)
1 外来受診を行うよう指導する、患部及び鼻腔よりの出血など異常時の受診、定期受診
2 口腔内保清を指導する、含嗽の励行、エネマシリンジによる口腔内の洗浄、義歯、プロテーゼの洗浄
3 バランスのとれた食事を摂取することを指導する、食事摂取法の工夫、食事が楽しめるよう家族の協力を得る
4 必要に応じて調理の仕方、熱量、栄養素の確保について栄養指導を受ける
5 日常生活上の注意を守るように指導する、内服薬の服用、上気道感染の予防、過労を避け節度ある生活、許可あるまで禁酒、禁煙をする
参考資料:標準看護計画
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