看護診断・口腔粘膜の変調のリスク状態
看護診断名と要因
- #1 化学療法の副作用による粘膜障害に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #2 放射線照射による唾液の分泌が低下することに伴う口腔内の自浄作用の低下に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #3 口呼吸、絶飲食による口腔内乾燥に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #4 ステロイド剤や免疫抑制剤の長期使用による感染に対する抵抗力の減弱に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #5 気管内挿管チューブなどによる機械的刺激に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #6 気管内挿管や顎間固定など口腔内異物による不十分な口腔ケアに関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #7 意識レベルの低下や上肢機能障害による不十分な口腔ケアに関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
- #8 不適切な口腔衛生習慣に関連した口腔粘膜の変調のリスク状態
目標
- 口腔内が清浄にたもて、口腔粘膜のトラブルがない
観察項目
1 口腔粘膜の状態、舌苔や潰瘍の有無、部位や程度
2 粘膜や歯肉からの出血、腫脹、疼痛の有無、咬合異常の有無
3 食事摂取時の疼痛の有無、食事内容との関連、食事摂取量、水分摂取量
4 口腔衛生習慣、知識、口腔ケアの実施状況
5 全身状態意識レベル、ADLの程度、機能障害
6 治療内容(化学療法時薬剤の種類と副作用)
7 検査データ(WBC、CRP、総蛋白、アルブミン値)
ケア項目
1 口腔粘膜の状態、偏重の原因をアセスメントしてフローシートなどを利用し評価する
2 口腔ケアの実施。1日○回起床時、食後、眠前
・ 化学療法中:歯磨き豚毛使用。10倍過酸化水素水で含嗽。ポビドンヨード含嗽。指示の粘膜保護剤含嗽
・ 気管内挿管中:ポビドンヨード液に浸した綿棒で口腔清拭及び洗浄。口腔内洗浄3~4時間ごと。上気道洗浄を医師と共に行う(1日1回:日勤でポビドンヨード20㎖ )。歯がある場合はブラッシング後右側臥位で、左方より含嗽水を口腔内に注射器で流しながら吸引する
・ 顎間固定時(吸い飲み使用):10倍過酸化水素水で含嗽。ポビドンヨード含嗽
・ 痛みがある時:表面麻酔剤の塗布。4%リドカイン10ml、水500mlによる含嗽(毎食前及び疼痛時)
・ 舌苔がある時:過酸化水素水含嗽
・ 乳児:食後に必ず番茶や白湯を飲ませる
・ 口腔内に傷がある時:ポビドンヨード含嗽
・ 口唇が乾燥している時:リップクリーム、ワゼリン塗布
・ 真菌感染時:指示により抗真菌剤入り軟膏を塗布
・ アフタ形成時:指示により副腎皮質ホルモンの軟膏や貼付剤を使用
・ 放射線治療中:粘膜保護剤内服。治療前に氷を含んでおく。アズレン水含嗽
3 経口気管チューブの固定の位置は毎日変える
4 義歯の洗浄
5 食事は食べやすい形態に変更する
6 環境の調整:適宜加湿器使用
教育項目
1 口腔内を清潔に保つことの重要性を説明する
2 疼痛があっても食後には必ず含嗽や口腔清拭を行うことを説明する
3 義歯の洗浄や管理指導、合わない義歯は使用しないように説明する
4 ブラッシングの方法を指導する
5 ウオーターピックの使用方法を指導する
6 治療上、口腔内のトラブルが予想されるときはあらかじめ説明する
参考資料:基準看護計画
コメント