睡眠障害の改善の援助方法(高齢者の睡眠)
睡眠の援助の目的
生命維持に必要不可欠な睡眠が適切に取れるように援助する
睡眠の援助の適応
不眠を訴える患者。すべての患者。
看護技術のポイント
睡眠状態の評価
① 不眠の訴えの有無
- 看護者から見て眠っているようでも患者の不眠の訴えは尊重し、なぜそのように感じるのかを分析してみる必要がある。
- また良質な睡眠の指標でもあるノンレム睡眠が少なくなると、中途覚醒もしやすくなる。
- これは高齢者の特徴でもある
② 日中の生活の観察
③ 疾病
④ 薬物
使用薬剤によって不眠になる場合がある。例えば降圧剤、ステロイド剤、抗がん剤、気管支ぜんそく薬、甲状腺ホルモン剤などである
睡眠の援助、不眠要因の除去
身体的要因の除去
① 身体症状の緩和
疼痛、掻痒感、呼吸困難、咳嗽、発熱、嘔吐、排泄の異常、筋肉痛などの有無を確認し適切な対策をる
② 体温調節
- 深部体温は夜間に低くなるというサーカデイアンリズムを応用すると、夜間に入浴や足浴を実施して外部から温熱刺激を与えることで、深部体温が下降して入眠がもたらされる(但し熱めの湯は、交感神経の緊張を高めるために覚醒して逆効果になる)
- 罨法の実施も頭寒足熱ということわざがあるように、入眠を促進する。この場合氷枕を使用すると効果が高くなる
③ 排泄への対応
環境的な要因の除去
① 就寝環境の改善
イ 寝具や寝衣など患者の希望に合わせる
ロ 入眠準備:排尿やマッサージ、罨法などの実施
ハ 病室環境の改善:室温、照明、騒音、においなど。室温湿度は日中より低めに設定する
- 人は24時間の体内時計を持っており、このリズムを昼夜の明暗サイクルに同調させている。
- したがって病室の照明を患者が望む程度の暗さに落として「夜」を演出することも、入眠の促進につながる。
- 光を浴びたままでは体内時計が「昼」と認識してしまうことに留意しよう
二 起床時間:起床時間が遅い患者は、なるべく同じ終身環境を維持できるようにする
② 生活リズムの確立、維持:日中の覚醒の援助(散歩、日光浴、レクレーション、コミュニケーション)
サーカデイアンリズム:
- 通常、人は覚醒、睡眠、活動、休養を生活時間の中で分けている。
- これは固有の活動リズムに基づいているもので、サーカデイアンリズムと呼ばれる。
- このような機能は自律神経系や内分泌系、代謝系など様々な生体リズムと密接にかかわっている。
- したがってこの日周期のリズムに同調させることが、入眠を促進することになる。
- 具体的には日中の活動性を高めたり生活時間を規則的に整えることで入眠がスムーズになる
- 昼間の体温の高い時間帯に適度に体を動かすことで、代謝が高まり熱放散が効率的に行われる。これによって夜間の良眠が得られやすくなるといわれる
精神的な要因の除去
① 病気、症状、あるいは医療内容の説明
② 家族への配慮
- 家族などキーパーソンからの支援が十分に得られないと、患者は精神的に安定できなくなる。
- 家族が万全の態勢で患者を支援できるためには、看護者が患者のみならず家族とも信頼関係を築くことが大切である
③ 療養に関する苦痛を聞き、改善を目指す
④ 気分転換、リラクゼーション
睡眠薬の投与
① 薬剤の説明をする
② 適切な時間に投与する
- 早朝の転倒・転落の原因になる。
- 起床時間を考えて投与時刻を決めるほか、睡眠時間や覚醒状況などの不眠の実態(研究報告によれば、不眠は入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害の4つのタイプに分けられる)に即した適切な薬剤の選択に向けて、医師と相談する
参考資料:看護技術ベーシックス
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