全身清拭の目的
全身の皮膚を清潔に保ち、爽快感を得るために行う。また吹く行為を通して皮膚の血行を促進し、全身マッサージや自他動運動の機会を兼ねる
全身清拭の適応
安静臥床を必要とし、入浴シャワー浴による温熱刺激や活動負荷に耐えられない患者
看護技術の手順
清拭の準備
① 清拭の方法を検討する
② 患者に清拭の説明を行い、了解を得る
③ 清拭の方法に合わせて必要物品を準備する
④ ベッドサイドに物品を持っていき、作業環境を整える
⑤ スクリーンやカーテンを引いて患者のプライバシーを守るとともに、霊感を感じさせないための工夫をする
清拭の実施
石鹸清拭の実際
① 洗面器に湯を入れ、ウオッシュクロスをゆすいで絞る。クロスの温度は大体40度程度に
② 患者に毛布を掛け、その下で寝衣を開いて脱衣させる
③ 絞ったウオッシュクロスを手に取り、石鹸をつけて手早く、清拭する部位を出して皮膚を拭く。清拭していないときは毛布を掛ける
④ ウオッシュクロスをゆすぎ、石鹸をつけた部分を少なくとも2回は拭いて落とす。清拭していないときは、素早く毛布あるいはタオルケットをかける
清拭の順番
基本は顔、頚、上肢、胸部、腹部、下肢、背中、陰部の順に拭く
① 顔から首を拭く
・ フェイスタオルを首から頬にかけて敷く
・ 目、額、頬、鼻、口、顎、耳、頚の順番で、枕を濡らさないように拭く
② 上肢を拭く
・ 毛布の下からバスタオルを差し込み、患者の前胸部を覆ってから毛布を引き下げる
・ 手、前腕、肘、上腕、肩の順番で拭く
・ バスタオルは拭く順番に移動させる
③ 前胸部を拭く
・ 上肢を拭く時のバスタオルのかけ方から、前胸部を覆っている部分を引っ張り、ゆるみを持たせるようにしてから下腹部側へ引き下げる。毛布あるいはタオルケットをV字かU字型にひねって前胸部を覆う
・ 乳房の形状に沿って拭き、続いて側腹部や腋窩、首の付け根などもしっかり拭く
④ 腹部を拭く
・ 頭側に相当する毛布の上縁を患者の下着と皮膚の間に挟み込み、露出および濡れ防止を図る。端側は両上肢を覆う。バスタオルは横長にかけ、前胸部を覆った状態で下半分の下腹部側を必要時にめくって拭くようにする
・ 腸の倉庫いうも考慮して拭く
⑤ 下肢を拭く
・ 作業効率を考慮しワゴンなどの物品の位置を移動させる
・ 洗面器の湯を変え、下腹部を拭いたタオルを十分にゆすぐ
・ 毛布は肩まで引き上げて全身を覆う。後から拭く側の股間は、毛布を樽柵木身にかけておく。バスタオルは下肢の長さに合わせてたたんで敷き込み、下肢をくるむように覆う
・ 足下腿大腿の順番で左下肢から先に拭く
・ 膝関節や下肢を支持しながら、下肢の可動性を観察しながら拭く
・ 足趾や趾間の水分をしっかり拭く
⑥ 背部を拭く
・ 側臥位になるので患者をベッドの片側によせる
・ 頭側に相当する毛布の上縁を患者の下着と皮膚の間に挟みこみ、露出および濡れ防止を図る
・ 洗面器の湯を変え、下肢を拭いたタオルを十分にゆすぐ
・ 背部の皮膚を観察しながら拭く
・ 腰部が広範に拭けるように、下着の位置を仙骨部付近まで引き下げておく
⑦ 臀部を拭く
⑧ 陰部を拭く
・ 自力で拭ける患者に対しては、クロスを渡して拭いてもらう。また陰部洗浄が必要なら実施する
⑨ 寝衣を交換する
熱布清拭
① ゴム手袋を使い、70度前後の湯にバスタオルを浸して絞る
② その上に乾いたバスタオルを当て、5~10分ほど押さえる
③ よく蒸らしたら背部のマッサージを行うとよい
端坐位の清拭
・ 座位が取れる患者に対しては、できるだけ自分で拭いてもらうようにし、露出している部分を覆ったり、背中などの手の届かないところの清拭を援助するだけにとどめる。
・ 熱布清拭なども有効。
・ 拭く順序は、背部を温めてから顔、前胸部、上司、腹部、腰部、下肢などとし、できる限り患者自身にも協力を依頼する
清拭後
・ 患者をねぎらい、疲労度や皮膚にツッパリ感、掻痒感、損傷など違和感がないかを聞く
・ 患者のアラインメントを整え、安楽に休めるようにする
・ 掛物を整え、ベッド周囲の環境を元の通りに戻す。寝衣のしわなども除去する
・ ナースコールを患者が取れる位置にして退室する
・ 使用した物品を元に戻す
参考資料:看護技術ベーシックス
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