洗髪の目的
頭皮や頭髪の汚れを落とし、細菌感染や皮膚疾患を予防するとともに、頭皮を刺激して血流を促進し、患者に爽快感を与える
洗髪の適応
入浴シャワー浴中に自分で洗髪を行えない患者など
看護技術の手順
洗髪援助の事前評価
(アセスメントの視点)
・洗髪を実施する目的
・頭皮の異常
・患者の洗髪に関する習慣や希望の確認
・患者の安全と安楽を確保する方法
・長時間過ごせる体位
・洗髪に耐えられる時間
・回復レベル(患者自身で洗える部分はどこにあるか)
・実施に適した場所
・必要物品
1)ケリーパットを使った洗髪(仰臥位)
準備
① 患者に洗髪を行うことを説明して同意を得る
・ 可能な限り実施予定時期を伝えておく
② 物品の準備(ケリーパット、湯を入れたバケツ、お水曜バケツ、ピッチャー、処置用シーツ、バスタオル、タオル2枚、シャンプー、リンス、耳栓、ガーゼなど)
③ 作業する環境を整える
・ ベッド周辺の椅子、床頭台を移動しベッドを作業しやすい高さにして、頭側のベッド柵を外す。
・ 物品を使用しやすい位置に配置する
④ 患者の体位を整える
・ 頭部の枕を外し、上半身をベッド端に寄せるかもしくは頭側へ移動させる
・ 患者の状態を見ながら腋窩になか枕を挿入する。同様に肩から背面にかけて枕を挿入する
⑤ 処置用シーツとバスタオルを敷く
⑥ 頚にタオルを巻く(必要に応じてケープをつける)
⑦ ケリーパットを挿入し、高さを調節する。首に巻いたタオルのまき直しや汚水バケツの配置、ケリーパットの排水溝の形成など、洗髪にかかる前の最終準備を整える
・ 首に巻いたタオルは、ケリーパットに入らないように引き下げて巻く
⑧ 顔にガーゼを乗せ耳栓をする
洗髪
① 髪をブラシでとかし、汚れを落とす。その後湯を髪全体にかける。
② シャンプーを片手に取り十分泡立てる。必ず一方の手で頭部を支えながら髪全体にシャンプーをつけて洗う。
③ 髪を引っ張らないように留意しながら看護者の手で髪の毛を絞り泡を除去する。
④ シャンプーをすすぐ。湯は神の生え際に当たるように近づけてすすぐ。後頭部の生え際は首を左右に傾けてもらうと流しやすい。また後頭部のすすぎはケリーパット内に湯を満たして、湯に浸っている後頭部の髪をすくようにするとすすぎやすい
⑤ 髪を絞った後、ケリーパットや首のタオル類及び耳栓を外す。首に巻いたタオルを湯に浸して絞り顔や高等部耳介の後ろを拭く。敷いていたバスタオルも使い水分を十分にとる
⑥ 患者を楽な体位に変え、ドライヤーで髪の毛を乾かす。患者に鏡を渡し、自分で髪をとかしてもらう
洗髪後
① 落ちた髪の毛を処理し、処置用シーツを取り除く
② 患者をベッドの中央に休ませる。疲労度などを観察する
③ 掛物などをかけ環境を元通りに整える
④ 使用物品の後始末をする
2)洗髪台で行う洗髪(前屈位)
準備
① 患者に洗髪を行うことを説明して同意を得る
② 物品の準備
③ 患者を洗髪台まで移送する
④ 椅子に腰かけてもらう。安定した体位であるかどうか確認する
⑤ 寝衣の襟を内側に織り込んでから患者の首にタオルを巻き、さらにケープをつける。ケープは洗髪鉢に垂らしいれておく
⑥ タオルに予備があればあらかじめ患者に渡して置き、顔面を適宜ふくように説明する
洗髪
① 髪をブラシでとかし汚れを落とす
② シャワーの湯温を調節する
③ シャンプーを片手に取り、十分泡立てる。必ず一方の手で頭部を支えながら髪全体にシャンプーをつけ泡立てて洗う。
④ 髪を引っ張らないように留意しながら、看護者の手で頭髪を絞り泡を除去する
⑤ 体調や汚れに合わせて2度洗いしリンスをする
洗髪後
① 髪の毛をまとめて絞り、タオルで水分が落ちないように巻いてから、患者の体を起こす。顔を拭いた後タオルやケープを外す
② タオルドライヤーなどで髪の毛を乾かし、好みの髪形にする
③ 抜け毛などを処理するまたバスタオルなど使用した物品を片付ける
④ 患者の疲労度を評価する。頭皮に発赤や掻痒感、損傷がないか確認する
洗髪車を用いる場合の留意点
① 物品はケリーパットの時とほぼ同じ
② 患者の頭部ができるだけ安定するように、頭部支持用のベルトの位置を調節する
③ 洗髪車は病室で洗髪代替わりに使うことも可能
④ 排水ホースをきちんと取り付けないと、床を水浸しにしてしまうので必ず確認する
ドライシャンプーの場合
① 使用物品は整髪剤、ガーゼ、タオルと温湯、ブラシ、櫛、ヘアドライヤー
② 濡れたタオルで頭髪を湿らせブラッシングをする
③ に整髪剤をつける
④ ブラシにガーゼを何枚かかぶせ髪をすくたびにといていくと後始末がしやすい
⑤ マッサージを兼ねてブラッシングを行った後、ドライヤーで乾燥させながら髪を整えていく
参考資料:看護技術ベーシックス
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