電気的除細動(AED)の使い方・目的と手順
目的:
心室細動(VF)、心室性頻拍(VT)などの心室性の不整脈と、心房細動(AF)、上室性頻拍(SVT)を対象に外から電源を通すことによって全信金を一度に収縮させた後、人間が生来持っている洞結節からの刺激を促し、規則正しい収縮(洞調律)に戻す
適応:
不整脈が現れている患者。心停止後、心臓マッサージを行って心電図の波形が出てきた段階の患者。
看護技術の手順
★準備
① 使用物品を準備する
② 患者の周囲に電気伝導物がないことを確認する(ME機器は一時的に取り外す)
③ 実施者(医師)は感電防止のためにゴム手袋をつける
④ 電流の接続とアースの確認を行う
⑤ R波同期スイッチのOFFを確認する(AF、SVT)の時はONにする
⑥ 患者の胸部を乾いたタオルで拭く
⑦ 電極にペーストを十分に塗布する(ペーストがない場合は、生理食塩水をしたしたガーゼを胸部上の所定の位置に置く)
⑧ 必要な電極をセットする。通常成人は200J から開始する
⑨ 実施の直前に充電ボタンを押す
⑩ 充電完了を確認する
★除細動の実施
① 電極の一方を第2肋間胸骨右縁へ、もう一方を心尖部に置く
② 実施者はベッドから離れて体を触れないようにする
③ バドルを強く押し付け通電する(5キロ位の力で押し、力をぬかない)
④ 心電図モニターを確認する
⑤ 効果のない場合は、すぐに再通電できるように準備する(300J、360Jと3回までは連続して通電する。その間心肺蘇生は一時中断する)
★実施後
① 内部放電をする
② バドルを良く拭いておく
③ R波同期スイッチはOFFになっているか確認する
④ 不足物品はすぐに補充しておく
★処置後の管理
① 除細動を行って正常洞調律に戻っても、また元の不整脈に逆戻りすることがあるので心電図モニターを観察する
② 心室細動による心肺停止で3回連続して実施しても除細動が成功しない場合は、心肺蘇生を再開し薬剤投与後に再度試みる
③ 塩素期平衡を調整してPHを適正にするための薬剤、心室細動予防のためのリドカイン、心筋に直接作用して取淑を高める塩化カルシウムなどの薬剤を投与する
④ 特に心室頻拍や心室細動後では血行動態の悪化、低酸素血症、塩酸期平衡の乱れ(アシドーシス)などは心筋の興奮性を増し、元の不整脈に戻すように働くので、これらの是正が必要となる
★自動体外式除細動器(AED)
- 心停止をしてから除細動を行うのが1分遅れるごとに救命率が1割づつ低下するといわれている
- そのため緊急時の素早い対応が必要とされる
- 日本ではこれまで医師、救急救命士、飛行機の搭乗員のみに除細動器の使用が限られていた
- 2004年7月より一般人でも使用できるようになった
- AEDは自動的に心電図を解析し心室細動があって適応がある場合には、音声やデイスプレーで手順などが支持される除細動器
- その指示に従っていれば一度も使用したことがない人でも除細動が実施できる
- 空港や駅など公共の施設に設置されるようになった
参考資料:看護技術ベーシックス
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