ポータブルトイレの移動・全介助などの看護
目的:
患者の身体に負担をかけず、自力での安全・安楽な排泄を援助する
適応:
① 立位座位が可能だが、トイレまでの移動が負担、あるいは間に合わない患者
② 夜間、トイレでの排泄に危険が予測される患者
③ 立位座位が可能だが、完全に自力でトイレ排泄を行うのに危険が伴う患者など
看護技術手順
★準備(アセスメント)
① 患者の状態の把握
・ 座位立位の安定度
・ 下着や寝衣の状況
・ 輸液ルートや酸素カニューレの有無と長さ
② 援助の内容
・ ポータブルトイレあるいはトイレ
・ 歩行介助や車いすでの移送など
・ 排泄の援助や後始末
③ トイレの環境
(トイレの場合)
・ 病室との温度差
・ 手すりや緊急ベルの有無
(ポータブルトイレの場合)
・ 使用するトイレ(手すりの有無、手すりの着脱など)
・ ベッドの高さ
★排泄の介助(ポータブルトイレの介助)
① 患者に端座位になってもらう
② 履物を履いてもらう
③ ベッドの高さをトイレの座面に合わせる
④ 健側にベッドと30度~45度くらいの角度をつけてポータブルトイレを置き、健側の手でトイレの手すりにつかまってもらう
⑤ トイレの手すりにつかまってしっかり立ってもらい、下着を降ろす。立位を長く取れない場合は端坐位になった時に、あらかじめ下着を下げておく。つまり立位を2度とってもらう
⑥ 患者の前に立ち、ベッドから遠い方の肩を支えながら安定した姿勢でトイレに座らせる
・輸液ルートや酸素チューブなどが抜けたり牽引されないように調整する
⑦ 下半身にバスタオルのような布をかけ、患者の手ぢかにトイレットペーパーを準備する
⑧ 安心して排泄できる環境の最終チャックをする
・カーテンを引いたりブラインドを閉じる
・ナースコールを患者がつかえる位置に置く
・消音の工夫をする
・排泄量の測定が必要な場合は、有色のビニール袋を汚物入れとして近くに置く
・他者の出入りがないように工夫する
・輸液ルート類の長さを確認する
・排泄がすんだら「ナースコールで呼んでください」とこれをかけて呼んでください
⑨ ナースコールで呼ばれたら状況を聞く
⑩ 臀部から陰部にかけて、ふけているかを確認する
⑪ 立位になってもらって下着を上げ、ポータブルトイレのふたを閉める
⑫ 患者の手を洗ってもらうか、あるいはおしぼりで拭いてもらう
⑬ 患者がベッドに横たわったら寝具をととのえる
⑭ 排泄物の観察を行う
⑮ ポータブルトイレを洗浄する
★トイレでの援助
・ 患者をトイレまで誘導する
・ 輸液バッグの高さやルートの長さなどを調整する
・ 酸素を使用している場合は、車椅子にボンベを搭載して扉に近づけておく
・ 安全のため扉を施錠しないように説明し、協力を得る。少し離れた所で待ち音などの合図でトイレに戻って必要な援助を行う
・ 排泄物の観察を行う
参考資料:看護技術ベーシックス
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