アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題
1全身状態、症状の部位、出現状況、程度の観察
心身の状態を十分に把握し、看護計画の立案に役立てる。
疾患の進行度、全身状態の把握は治療による副作用への対処能力やリスクを把握するために有効な情報となる。
また、身体状態と精神状態は相互に密接に関係しているため、そのことを十分意識しながら情報を分析していく
(肺周囲の組織への浸潤による症状と苦痛)
・ 胸壁、気管支壁への循環による咳嗽、肋骨、胸膜、神経への浸潤による胸痛、背部痛などの苦痛や疲労の程度を把握する
・ 胸水の貯留、無気肺や肺炎による呼吸困難の状況を、症状や酸素分圧などから把握し、酸素投与など適切な対処ができるようにする
起こりうる看護問題:症状による苦痛や倦怠感による安楽障害、呼吸困難から来る生命への危機感
(転移による症状と苦痛)
・ 骨転移による痛みの程度、コントロールの状況を把握する
・ 脳転移による四肢のしびれなどから生じる日常生活への影響を把握する
・ 転移部位により臓器特有の様々な症状が出現するので注意して観察を行う
起こりうる看護問題:痛みによる苦痛、身体機能不全からくる悲嘆
(精神的な反応)
・ 病状や予後に対する訴えによく耳を傾ける
・ 食欲不振、睡眠障害などの症状にも注意し、表情、言動をよく観察する。うつ傾向などの精神症状があれば、早急に精神開始へ相談する必要がある
起こりうる看護問題:不安、適応障害、睡眠障害
2治療による副作用出現の程度と苦痛の程度の観察
化学療法や放射線療法による副作用は苦痛を伴い、ADLに大きく影響を及ぼす。また化学療法による骨髄抑制や放射線療法による肺炎など生命に直結するものもあり、観察や予防行動への援助も重要となってくる
(悪心嘔吐)
・ 苦痛の程度、日常生活への影響、食事摂取への影響を把握する
起こりうる看護問題:倦怠感や苦痛による安楽障害、栄養低下の可能性
(骨髄抑制)
・ 検査データから感染リスクを把握し、異常を早期に発見する
・ 患者の感染予防行動への理解の状況、実行度を把握する
起こりうる看護問題:免疫能低下による感染リスク、出血リスク
(食欲不振)
・ 口内炎食道炎などの状況、それによる苦痛の内容と程度
・ 摂取可能な食物を探す(形態、味付け、温度、提供時間など)
起こりうる看護問題:食欲不振による栄養低下の可能性
(脱毛)
・ ボディイメージの変化に対する反応、表情、対人関係の様子を把握する
起こりうる看護問題:脱毛によるボディイメージの混乱
3患者家族の心理・社会的側面の把握
肺がんの根治的治療である手術ができるかどうかという線引きは、患者家族にとって大きな問題である。手術ができず延命的意味合いを持つ内科的治療の選択への落胆は大きい。気持ちを十分把握して援助する必要がある。入院治療による社会的役割、家族の役割が果たせないことによる苦悩も現れる。今後の見通しについてともに考え援助する
・ 患者家族がどのように疾患を受け止めているのか、治療についてどのように考えているのかを把握する。気持ちに沿った援助をする必要がある
・ 患者家族が、感情や思いやりを分かち合うことができているか
・ 仕事や家庭における問題を把握する
起こりうる看護問題:疾患の経過、治療の不確かさ、予後への不安、経済的な不安
4家族の悲嘆と支援状況の把握
家族は患者をサポートしなくてはならない一方で、患者を孰れ失うことになるという予測的悲嘆を体験しており、家族への精神的な支援は不可欠となる。また治療は長く継続していくので、家族の経済的身体的負担に対してもサポートが必要となる
・ 家族の精神的な状況、誰かに感情や思いの表出ができているかを把握する。病的な悲嘆に陥らないためにも早期から援助していく必要がある
・ 身体的、経済的負担の状況、活用できる資源に関する情報を提供する
起こりうる看護問題:家族の予期悲嘆、経済的負担
肺がん患者の看護計画はこちらです→肺がん患者の看護計画
参考資料:疾患別看護過程
料理チャンネル→https://www.youtube.com/channel/UCmnwzyXL0ZcT–wDGFuMW5A
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