摂食時の症状の観察。摂食嚥下障害を疑う主な症状
・ むせ(どういう時にむせるか)
・ せき(食事中食後の咳は多くないか)
・ 痰の性状と量(食物残渣は無いか、食事を開始してから量は多くないか)
・ 咽頭異常感、食物残留感(部位)
・ 嚥下困難感(食品による差異)
・ 声(食後に声の変化はないか、ガラガラ声ではないか)
・ 食欲低下(嚥下障害が原因の時がある)
・ 食事内容の変化(飲み込み易いものだけを選んでいないか)
・ 食事時間の延長(口の中にいつまでも食べ物をためている、なかなか飲み込まない)
・ 食べ方の変化(上を向いて食べる、汁物と交互に食べている、口からこぼれる)
・ 食事中の疲労(食欲はあるのに食べ始めるとすぐに疲れる、呼吸が早くなる)
・ 口腔内の汚れ(ひどい歯垢、食物残渣、口臭)
摂食場面の観察。病態把握を可能にする観察ポイント
観察項目と症状(観察ポイント)考え得る主な病態と障害。
・ 食物の認識(ボーっとしている、キョロキョロしている)食物の認知障害、注意散漫。
・ 食器の使用(口に到達する前にこぼす)麻痺、失調、失効、失認。
・ 食事内容(特定の物を避けてる)口腔期、咽頭期、味覚唾液分泌低下、口腔内疾患。
・ 口からのこぼれ(こぼれてきちんと口に入いらない)取り込み障害、口唇頬の麻痺。
・ 咀嚼(下顎の上下運動だけで、回旋運動がない)咬筋の障害。
(硬いものが噛めない)虫歯、義歯不適合、歯周病。
・ 嚥下反射が起こる迄(長時間口にため込む、努力して嚥下してる)口腔期、咽頭期。
(上を向いて嚥下している)送り込み障害。
・ むせ(特定の物汁物などで咽る)誤嚥、咽頭残留。
(食事の初めにむせる)誤嚥、不注意。
(食事の後半にむせる)誤嚥、咽頭残留、疲労、筋力低下、胃食道逆流。
・ 咳(食事中、食後に咳が集中する)誤嚥、咽頭残留、胃食道逆流。
・ 声(食事中食後に声が変化する)誤嚥、咽頭残留。
・ 食事時間(1食に30~45分かかる)認知、取り込み、送り込みなど。
・ 食欲(途中から食欲がなくなる)認知、誤嚥、咽頭残留、体力。
・ 疲労(食事の中から元気がない、疲れる)誤嚥、咽頭残留、体力。
摂食嚥下障害時のアプローチ
・ 入院中の問題点と観察ケア。
①検査(VF嚥下造影、VE嚥下内視鏡検査)による患者の状態の確認・方針・方法の決定。
VF
・ 実施前に経管栄養の注入を行うかどうか、時間はどうするか、又は注入を検査後に行うかなど医師に確認しておく。
・ 患者家族に検査の説明をし理解をしてもらいイメージできるように関わる。
・ 検査小屋検査中に誤嚥等が起きといることもあるため、バイタルサインのチェック(熱型・喀出時・吸引時の痰の性状の観察をする)
VE
・ 簡便であるがファイバーの挿入により刺激があるので呼吸状態顔色バイタルサインの観察が必要である。
・患者家族に検査の説明をして理解をしてもらいイメージできるように関わる。
②STによる摂食訓練の実施。
・ VF/VEの結果医師により患者の状態の確認、方針方法(条件表が作成される)が決定され、STにより基礎訓練、摂食訓練が開始される。
・ STの実施時間に合わせて、訓練内容を見学し条件表に基づいて諸注意の確認をする。
・ 見学をしながら患者さんの観察として、顔色、むせ、呼吸状態、体位の崩れ、のみ込みの状態、嗄声、疲労度の確認が必要である。
③看護師による摂食訓練の実施。
開始前の観察ポイント。
・ バイタルサインの確認(発熱の有無、呼吸状態、呼吸回数、呼吸音、酸素飽和度)
・ 吸入、吸引(痰の性状、量、色)
・ 強い咳が出せるかどうか。
・ 意識状態(開眼の有無、元気の有無、ボーッつとしていないかどうか、落ち着きがないかどうか)
・ 排泄の状況(頻尿、尿失禁、下痢、便秘、残尿感、残便感)
・ リハビリ意欲。
・ 対処法は、異常があった場合は以後の摂食訓練を中止して原因の検索し、明らかにいつもと違う時は医師に報告する。実施時リスク管理をする。集中できない時は無理に行わない。
間接訓練。
・ 口腔ケア。
・ 嚥下体操。
・ アイスマッサージ。
・これらは絶食期間中から実施し、経口摂取が開始されても実施することで嚥下機能の改善や誤嚥性肺炎の予防につながる。
開始中:直接訓練(食事介助、観察ポイント)
・ 準備としてアイスマッサージの実施。
・ 呑み込みの状態の観察(咽頭残留、咀嚼)
・ 食形態の検討(水分のトロミ等)
・ 食事の体位、角度、時間、一口量。
・ 咳、むせの状態の確認。
・ 顔色、呼吸状態。
・ 声出し。
・ 唾液、痰の増減。
・ 疲労度。
・ 意識状態(眠剤などの効果の持続、覚醒状態)
・ 対処法としては、嚥下を促すような関わりをしても呑み込みが悪い又はむせる回数がいつもより多い場合、又眠っている場合は、一時中止して医師・STと相談して対処法を検討し、食形態、角度一口量を変更してみる。
摂食中も酸素飽和度の測定をし変化を見る。実施に関してはスタッフが共通の認識を持って関わることが必要である。
終了時の観察ポイント。
・ バイタルサインの確認(発熱の有無、呼吸状態、呼吸回数、呼吸音、呼吸苦)
・ 痰の性状(色、量)
・ リハビリ前と同様にチェックを行い、次のリハビリの評価をする。
在宅に向けての指導。
・ 環境的支援(嚥下色の作り方、吸引器の使い方)
・ 介護保険の申請の仕方。
参考資料:摂食嚥下障害ガイドブック
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