気管支拡張症患者の看護過程アセスメント

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アセスメントの視点と根拠

1全身状態の把握

最も重要なのは上気道感染による病態の悪化を予防することであり、全身状態を把握することでトータルなケアを行うことである。

心理状態が疾患の進行や治療効果に関係していることもあるため、心理状態の把握も併せて行う

 

・全身状態の把握

・原因や誘因を把握する

・咳嗽発作が日常生活に支障をきたしていないか観察する

・服薬の量と時間について、患者から希望を聞く。生活スタイルに合わせた処方に変更することも検討する

起こりうる看護問題:薬の副作用による日常生活の支障/服薬の自己調整で薬の効果が減少

 

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2症状の部位、出現状況、程度の観察

感染により急激に増悪し呼吸不全に至ることもあるため、症状の変化を注意深く観察する必要がある。特に熱型と喀痰の量・性状の変化の把握は症状の悪化・軽快の指標となり、重要である

 

・重篤化した時は咳嗽発作が止まず肺胞・胸腔の内圧増大により肺動脈圧が上昇して右心系に負荷がかかると同時に冠血流量を減少させる。

また胸腔内圧上昇により静脈還流も減少するため、循環器系への負荷が大きくなる。このため呼吸困難も悪化し、動悸や胸部不快感も増悪する。

増悪の場合は慢性呼吸器疾患の終末像である肺性心による致死的状況に陥る

・気道感染が根本にあり、最初の症状は咳嗽・喀痰、発熱、呼吸困難である。これらの症状は日常生活全般に支障をきたす

・咳嗽や発熱は食欲を低下させ、栄養摂取困難をきたすばかりでなく、水分摂取量も減少して脱水を起こす可能性が高い

・発熱はエネルギー消耗を極端に増加させ、脱水は発熱を招くなど、さらなる症状を起こし、病態を複雑化、悪化させることになる

・内服薬は主に抗菌薬および去痰薬である。それらの副作用は悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、便秘などの消化器症状が主である

起こりうる看護問題:咳嗽・喀痰、呼吸困難による日常生活の支障/咳嗽・喀痰、呼吸困難による睡眠障害/エネルギー消耗、食欲不振による栄養不良、体重減少

 

(喀痰)

・黄白色から黄色、または黄緑色の膿性の痰は、細菌感染を起こしていることを示している

・多量の喀痰が特徴である。特に早朝に多く1日の蓄痰量を計算すると500ml にもおよぶことがある。蓄痰が三層を示すことがあり上から泡沫粘液層、漿液層、膿層となる

・聴診では喀痰貯留部位に断続性ラ音を認める。また気管支の閉塞による呼吸音の減弱を認める

・特に血症がひどい時には喀血することがある。気管支拡張部位では気管支動脈が発達しやすく、肺動脈との吻合が増加するため、気管支粘膜の膨隆や肺動脈瘤が見られ破裂すると出血する

起こりうる看護問題:効果的な排痰ができないことによる分泌物貯留

 

(呼吸困難)

・気管支壁が肥厚すると気道閉塞が生じ吸気呼気の流通がスムーズでないために呼吸困難を感じる

・頻回な咳嗽のために呼吸困難を生じる

・日常生活行動に必要な酸素を取り込めないため、活動耐性が低下する

・呼吸困難が強い時は会話が困難である

・時に動脈血酸素分圧が低下すると、患者は強い呼吸困難を感じる

・低酸素血症が著しい場合は、肺動脈圧が上昇し右心不全に進行することがある

起こりうる看護問題:咳嗽・喀痰、呼吸困難や不十分な酸素化による日常生活の支障/呼吸困難による言語的コミュニケーション障害

 

(咳嗽)

・喀痰を伴う湿性咳嗽が見られる痰を排出することが重要であるため鎮咳薬を用いてはならない

・咳嗽が続くことにより日常生活に支障をきたしやすい。特に咳嗽による夜間の不眠、咳嗽による接触困難、食欲不振が起こる。不十分な食事摂取は低栄養・易疲労を招き、さらに摂食動作が億劫になり低栄養状態になるという悪循環が生まれる

・1回の咳嗽は2kcal消費すると言われ、咳嗽が持続するほどエネルギー消耗が激しい。痰喀出のための効果的な咳嗽法ができているか、非効果的な咳嗽をして無駄にエネルギーを消耗していないかを観察し指導に役立てる

・痰喀出が効果的にできないと気道内に分泌物が貯留して細菌の温床となり、さらに細菌数が増加し、解熱できない

起こりうる看護問題:咳嗽が持続することによる苦痛及び日常生活の困難/咳嗽・喀痰、呼吸困難による睡眠障害

 

(発熱)

・気道感染が小康状態の時は解熱するが、急性増悪では発熱が継続する。発熱は感染状態を示す指標となる

・発熱による代謝亢進、エネルギー消耗や不感蒸泄の増加、発熱による食欲不振などの消化器症状による栄養・水分摂取困難はエネルギー摂取不足や体の体液量不足などの全身的影響を招く

起こりうる看護問題:気道感染による発熱の特徴/発熱による水分喪失、食欲不振に起因する脱水

 

 

3薬の効果の観察

治療として抗菌薬を長期にわたって内服し続けることが多い。内服期間が長期になることで症状の軽減とともに自己判断による内服中断につながりやすいため、内服が継続できているか観察する。特に抗菌薬を自己判断で中断しないように説明指導する

 

・感染症状改善の指標は発熱しないこと、膿性喀痰が減少することである

起こりうる看護問題:治療、感染予防、呼吸訓練、症状・徴候に関する知識・理解不足や薬物の副作用などによって、効果的な治療計画が遂行できない

 

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4薬の副作用の観察

薬物による副作用を注意深く観察する。薬物療法開始時にはアレルギー反応に注意する。内服は長期にわたるため消化器症状など様々な症状の出現の有無を観察する

 

・特に抗菌薬の副作用としてアレルギー反応は重要であり、副作用が出現しているにもかかわらず同一の薬物を継続するとアナフィラキシーショックを起こすなど重篤化する可能性もあるので十分留意する

・抗菌薬の長期服用は、悪心や食欲不振など消化器症状発現のリスクが高い

・副作用発現時には、その特徴を観察し速やかに医師に報告し薬の変更などの調整を行う

起こりうる看護問題:薬の副作用によるアレルギー症状、消化器症状

 

 

5患者家族の心理・社会的側面の把握

疾患と生涯付き合う必要があることから、患者家族の疾患に対する理解や疾患の受け入れ、家族の支援状況などを総合的に把握し心理的負担についてアセスメントする

 

・疾患について感じていることを患者家族から聞き出し、精神的支援の必要性を把握する

・家族が患者をどのようにサポートしているのか、あるいは今後どのように支援できるのかを把握する

・患者家族の経済的状況や患者が抱えながら生活していくことを受け入れているか、極端な精神的負担をおっていないか把握する

起こりうる看護問題:疾患や予後に対する不安/精神負担による睡眠障害

 

気管支拡張症患者の看護計画はこちらです

 

参考資料:疾患別看護過程