アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題
1全身状態の把握
発症してから時間が経過し、症状が進行すると全身状態が急激に悪化するため、異常を早期に発見し、治療につなげることが必要になる
・ 腹部症状の把握
・ 腸管の一部がその先の腸管の中に入り込んで腸閉塞をきたす。症状が進むとイレウスによる頻回な嘔吐のため、脱水やショック症状となる
・ 脱水状態が続きていると、発熱や皮膚粘膜の乾燥、尿量の減少も見られる。最終の飲食時間と内容、最終の排尿時間や量の確認も必要である
起こりうる看護問題:嘔吐のよる体液喪失に関連して脱水状態が予測される
2腹部症状の状況、程度の観察と把握
症状がどのように出現し、どの程度か観察するとともに家族からも情報を得る。症状の理解を把握することで、症状の進行度がわかり、治療計画、看護計画の立案に有効である
・ 腸重積では、腹痛、嘔吐、粘血便が主にみられる症状である
・ 腸重積は3~4歳以下の乳幼児に発症することが多く、症状や痛みの程度を自分で言葉で伝える事は難しい。そのため観察事項に沿って、いつから、どこが、どのように痛むのか、啼泣の程度や感覚を把握する。また嘔吐や粘血便の量や性状も合わせて情報収集する
・ 風症状や下痢などが先行して起こっている場合は、腸重積自体の症状を見過ごしやすいので経過を追って情報収集が必要になる
共同問題:腸管壊死
起こりうる看護問題:絞扼の持続により腸管の壊死が起こり、出血、穿孔、腹膜炎を併発する可能性がある
(腹痛)
・ 腹痛は観血的発作的である。突然、顔面蒼白になって火が付いたように苦しがってなく出し、しばらくすると痛みが治まり楽になったように見えるが、再び苦しがってなくことを繰り返す
・ 完全な重責に至ると、体をよじるようにして激しく啼泣する
・ 痛みをうまく表現できないため、不機嫌やぐずり、啼泣などで訴えている場合もある
起こりうる看護問題:腹痛、嘔吐のため身体的苦痛がある
(嘔吐)
・ 腹痛とともに始まることが多い
・ 初期の嘔吐では食べ物やミルクなどの胃内容物が見られる
・ 時間が経過し症状が進行すると、黄色の胆汁を含んだ内容物を嘔吐するようになる
起こりうる看護問題:嘔吐による体液喪失に関連し、脱水状態が予測される
(粘血便)
・ 血液と粘液が混ざったイチゴをつぶしたような粘血便がみられる
・ 発症後2~3時間で出現し始め、約90%にみられる
共同問題:腸管壊死
起こりうる看護問題:絞扼の持続により腸管の壊死が起こり、出血、穿孔、腹膜炎を併発する可能性がある
(腹部腫瘤・膨満)
・ 重責した腸管がソーセージ様の腫瘤として触れる場合がある。右上腹部に多い
・ 腫瘤が触知できるのは半数前後である
・ 発症してからの経過が長く、症状が進行すると腹部は膨満していく
・ 共同問題:腸管壊死
起こりうる看護問題:絞扼の持続により腸管の壊死が起こり、出血、穿孔、腹膜炎を併発する可能性がある
3治療経過の観察
発症後早期の場合や、全身状態が良い場合は非観血的整復が行われる。再発は3~8%にみられることから、再発の徴候を早期に発見できるよう観察に持っていく
・ 再重積は初回発症時の整復後数日以内に多いと言われる。非簡潔の整復の場合整復後も再重積の可能性があるので、入院して状態を観察することが多い
・ 腹部症状の観察
・ 排便が見られた場合は、その量性状色の観察を行う。肉眼的に血便が見られなくても潜血の可能性もあるため、尿糖検査用紙を使って潜血を観察する
・ 飲水や食事の開始後には、嘔吐や腹部膨満が出現しないか観察する
共同問題:腸重積の再発
4家族の心理面の把握
受診から処置・検査・入院、場合によっては手術に至る流れが非常に速いことから、家族は心理的に混乱しやすい。また、現状を認識しにくく治療や入院の受け入れが困難な場合もある
・ 突然の発症に家族は動揺が激しく患者の症状について整理できず話せない状態となったり、同じ質問を何度も繰り返したりする場合もある
・ 子供の入院・治療には家族の協力が必要である。家族が抱いている疑問や不安を把握し解決していくことや、親が育児に自信を失わないように励ましていくことも必要になる
・ 初期の症状に気づかず、症状が進行していたり腸管の切除の可能性がある場合には、家族が強い自責の念に駆られていることが多い。家族に落ち度がないことを伝え、手術の経過がよいことなどを説明しながら励ましていく
起こりうる看護問題:突然の発症から緊急入院・治療となるため、家族の動揺が激しくその役割を果たさない
イレウス患者の看護計画はこちらです→イレウス患者の看護計画
参考資料:疾患別看護過程
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