糖尿病合併症の合併症(糖尿病足病変、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症)について

糖尿病合併症の合併症(糖尿病足病変、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、糖尿病網膜症)

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 糖尿病合併症の糖尿病足病変

・ 足病変のアセスメントは、足の状態やリスクを評価するだけでなく、足に関連する生活背景や患者の体験、さらには足を含めた身体に関する思いや考え方などを理解することである。

・ フットケアは主に足の観察、皮膚の爪のケアである。

身体の柔軟性や関節可動域、肥満度、視力や麻痺の有無など、患者の身体的要因によってもセルフケアの可否や頻度は変わる。

・ 糖尿病性壊疽により下肢切断を受ける患者の全身管理への支援は糖尿病に特有な側面を考慮する。

・ 糖尿病合併症管理加算として、糖尿病足病変の発症予防、増加抑制、重症化予防を趣旨とするフットケアに診療報種が算定される。

足のアセスメント項目

①問診

・ 糖尿病の治療状況、血糖コントロールや合併症の状況

・ 足の症状(痛み、しびれ、こむら返り、掻痒感、ほてり、間欠性跛行など)

・ 視力障害、運動機能障害、認知障害などの有無

・ 足病変の既往

・ 喫煙歴

・ 職業や趣味

・ 日常のセルフケア状況、清潔に関する習慣など

②足の観察

・ 足の皮膚(チアノーゼ、発赤、冷感、ほてり、乾燥や亀裂)白癬用所見、浮腫、皮膚損傷、靴や靴下の跡

・ 脈(足背動脈、後頸骨動脈など)

・ 爪(陥入爪、爪白癬、爪下血腫、爪周囲炎など)

・ 足の変形(外反母趾、内反小趾など)

・ 関節の可動制限、筋力

・ 靴の状態(靴底の減り方、靴内の異物、靴の形状やサイズ)

フットケア指導のポイント

① 足の観察

・ 足病変発症の誘因として、靴擦れ、やけど、爪周囲炎、擦過傷、鶏眼、胼胝の順に多いというデータがある。毎日観察し異常を早期発見し、適切に対処する必要がある。

② 足の洗い方

・ 皮膚を傷つけないように柔らかい布などでやさしくこするようにする。よくすすいだ後十分に水分を拭きとる。

・ 乾燥や角質化に対しては、軟膏やクリームなどを擦り込むように塗り靴下で保護すると良い。

③ 爪のきり方

・ 爪は足趾と同じ程度の長さを目安に、少しづつストレートカットし角は落としすぎないようにする。

・ 陥入爪や爪白癬などの切りにくい爪は、爪切りではなくヤスリで削る方が安全である。

④ 胼胝や鶏眼の処置

・ 様々な処置物品が市販されており患者自身で対処していることが多い。

・ スピール膏は病変周囲の皮膚の浸軟を招きやすい。また免荷用具の使用はサイズにゆとりのない靴の中で使用する為、他の部位に病変をつくる危険があるので注意する。

・ 根本的な対策として靴の中敷きを調整あるいは作成し、病変部にかかっている摩擦や負荷を軽減させる。

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⑤ 白癬のケア

・ 外用薬は塗布の仕方で効果が異なるため、実際に看護師が正しい塗り方を示してみせる。

・ 長時間靴を履く仕事など足が蒸れやすい状況の場合は途中で靴下をはきかえたり、脱いだ靴を十分乾燥させるなどし群れを予防することは感染防止につながる。

・ 皮膚の各層に傷がついていると12時間で感染すると言われており、毎日の保清と共に皮膚の保護が大切である。

⑥ 靴の選択

・ 胼胝やウオノメと言った足底圧の異常がある場合には適切な形と素材の靴や中敷きが必要になる。変形が高度な場合は義肢装具士などと連携してオーダー靴や中敷きの作成も検討する。

⑦ 低温やけどの予防

・ 熱源との直接の接触を避ける必要がある。あんかや湯たんぽ、使い捨てカイロなど加温器具の使用に注意する

・ 足の冷えに対しては、断熱繊維を使用したり二十編みになっているなどの市販の保温靴下やマッサージでの対応などを勧めている。

⑧ 足の保護

・ 糖尿病神経障害が進行した場合には、位置感覚障害、下肢の筋力低下、筋委縮、変形などを伴うこともある。足背屈がしにくいため、つまづきやすくなったり方向変換時によろけたりすることがある。

・ 脱げやすいスリッパは履かず、足全体を覆う靴を履くなどし、けが予防の為の対策が必要になる。

・ ひっかき傷や虫刺されも治癒遅延しやすく、蜂窩織炎などを引き起こすこともあるので予防する必要がある。

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外用薬の塗り方

・ クリーム剤は病変部位だけでなく足の裏、足趾の間など全体的に広く塗布する

・ 入浴後は浸透しやすいが、水分を良く拭きとってから塗る

・ 爪白癬の外用薬には通常液剤が使用される。爪の先端に容器を当て液剤がしみこむように塗布する。

靴の選び方・履き方

・ 足のサイズや形に合っている。

・ つま先は足趾を圧迫せず、1~1,5の捨て寸がある。

・ 靴底は固すぎない。

・ 紐やマジックテープなどでサイズを微調整できる。

・ 履く前に靴の中に異物がないか確認する。

・ 履く時はまずかがとを靴に合わせてから足背部の固定をする。紐靴は履くたびに紐を結びなおす。

 糖尿病合併症の糖尿病神経障害

・ 多発神経障害:検査を通して患者自身が身体に関心を持てるように関わる。ケアは無症状期、症状出現期、感覚低下、消失期と患者の段階に合わせた身体的・心理的・社会的なフォローが必要である。

・ 自律神経障害:初期段階では自覚症状がないことが多く、また、自覚症状は多彩であるため、患者自身が生活の工夫を確立するには時間を要することを理解する。

・ 単神経障害:患者家族の不安の軽減につてめると共に、顔面神経麻痺、外眼筋麻痺、腓骨神経麻痺の症状を観察し、環境整備を含めたケアを行う。

多発神経障害

多発神経障害検査のケアにおけるメリットと留意点。

・ 多発神経障害の初期は自覚症状が乏しく、終盤は自覚症状が消失するので多発性神経障害の有無を自覚症状で判断することは難しい。

・ 多発神経障害の診断基準は確立されていないが、簡易検査は看護師のできるものも多い。

・ 看護師ができる多発神経障害の簡易検査は、アキレスけん反射、振動覚検査、ピンプリック、モノフィラメント検査、温度覚検査などである。

簡易検査を看護師が行うメリット。

① 身体面だけでなく、心理面・社会面のアセスメントが可能。

・ 検査を行いながら患者と話し、患者の思いや生活状況を知ることが可能である。これにより身体面、心理面、社会面のアセスメントが同時にできる。

・ 患者が自分の身体に関心を持てるように関わることが大切である。

② 検査を行いながらケアや指導も可能。

・ 検査時看護師が多発神経障害について分かりやすく伝えるとさらに患者の学習が進むことがある。

・ 看護師の行う検査で、過去の足に対するトラブルや現在の心配事などを語ってくれることがある。

・ 患者が語ってくれたことに沿って、教育や指導をすることが出来る。

・ 温度覚検査により、温度感覚が低下している患者には、低温やけどの回避方法を共に考え、足を守るケアに結び付ける。

・ 手と足の温度の感じ方の違いについて実感してもらい、手で確認することの大切さを学ぶ。

・ アキレスけん反射や振動感覚が低下している患者は転倒しやすい。歩行や運動時の注意点、靴の選び方を共に考える機会にもなる。

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留意点

① 簡易検査の手技を確実に行う。

・ 患者に検査を行う前に、スタッフ同士で練習して手技を身につけてから行うようにする。

② 診断は医師が行う。

・ 再検さにより得た所見を医師に報告し、所見を医療スタッフで共有する。患者への診断結果の説明は医師から行うようにする。

③ 無理強いしない。

・ 球に足を見せてもらいたいというと躊躇する患者もいる。目的や必要性を説明し患者の同意を得てから行う。

アセスメントとケアのポイント。

① 身体的なアセスメントとケア。

・ 患者によってはしびれと感覚異常などの症状と糖尿病を関連つけて考えられない場合もある。神経障害についての患者の知識を確認する。

・ 患者に高血糖がある期間続いていることを知らせ、症状改善の為には血糖コントロールが大切であることを伝える。生活の中での注意点を説明していく事が必要である。

・ 痛みがひどく生活に支障をきたす場合には、鎮痛薬や安定薬が処方されることがある。薬物についての補足説明や確実に服薬できるようにするための工夫や援助が必要である。

また医師に確認しながら、温める、マッサージするなどの症状が軽減できるケアを患者と一緒に考えていくことも大切である。

・ 下肢の神経障害は糖尿病足病変のリスクになることを伝え、足の観察方法や生活の中での注意点を伝えていく必要がある。

② 心理的・社会的なアセスメントとケア。

・ 糖尿病や合併症の出現により患者は不安になり気分が落ち込むことがある。不眠でイライラすることもある。

・ 看護師は患者の話を聴き患者と思いを共有しながら信頼関係を築き患者が安心できる環境を整える。

・ 患者が自分の症状をどのようにとらえているか話してもらう。療養方法を一緒に考えていく姿勢が大事である。

・ しびれや痛み感覚異常がひどくなると生活や仕事に影響が出てくる。運動療法や仕事内容の変更を考える必要がある。

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自律神経障害

身体面・社会面・心理面から見た自律神経障害のアセスメントに必要な情報。

① 身体面の情報

・ シェロングテスト

・ 呼吸心拍変動係数

・ 服用している薬

・ 糖尿病の合併症の程度

・ 糖尿病の分類

② 社会面・心理面の情報。

・ 年齢

・ 職業

・ 同居人の有無

・ うつ状態

・ 困っていること

自律神経障害のケアのポイント

① 低血糖時の交感神経の反射性機能亢進の欠如。

ケアの根拠(重症低血糖を起こすと患者は不安や恐れを持ちやすい)

心理面のケア

・ 低血圧の体験に耳を傾ける

・ 意識障害で搬送された場合は患者の不安を汲み取る

・ 重症低血糖は予防可能であると伝える

ケアの根拠(重症低血糖は生命の危険がある)

重篤化しないための対応

・ 重症低血糖を起こした場合の備えをする

・ 中枢神経による低血糖症状もあることを伝える

・ 支援者にグルカゴン注射手技を教える

ケアの根拠(無自覚性低血糖で交通事故を起こす危険がある)

安全運転の為の対策

・ 低血糖になりやすい時間帯を運転を避ける

・ 糖分を社内のすぐに取り出せる所にしまって置く

・ 血糖値40以下になる低血糖時には、血糖値が上昇しても精神機能や運動機能は直ちに回復しないので1時間ほど経過してから運転する。

② 血管運動神経機能低下。

ケアの根拠(血圧のコントロールがうまく行われているかどうかを見守る必要がある)

家族血圧測定の有効活用

・ 血圧測定の体位が臥位か座位か確認する

・ 降圧薬が投与された場合は臥位での高血圧に要注意なので、外での血圧測定も提案する。

・ 測定のタイミングを確認する(早朝、眠前、随時)

・ 指先測定ではなく上腕測定が望ましい。

③ 心迷走・交感神経機能低下。

ケアの根拠(胸痛を伴わないことがあって、発見が遅れることがあるし重症化しやすい)

重篤化しない為の指導

・ 何時もと違う倦怠感や肩こり背部痛、息苦しさの症状が出たら受診するように指導する。

・ 虚血性心疾患の検査を受けることの必要性を伝える。

④ 消化管運動機能低下。

ケアの根拠(胃から十二指腸への食物の移動が遅延する為不快な症状が出現する)

(緩下剤や止痢剤は効果があるが乱用を避ける)

対処方法

・ 食事の少量頻回摂取、脂肪制限、繊維の摂取制限。

緩下剤使用時の留意点

・ 一般的な便秘対策も忘れてはならない

・ 緩下薬の特徴を知り組み合わせて使う

・ 刺激下剤のみで排便コントロールをすると大腸の機能低下をきたしやすい

⑤ 膀胱機能低下。

ケアの根拠(尿の流出が悪いと尿路感染を起こしやすい)

残尿が少なく尿路感染を認めない場合の対処法

・ 尿意があれば早めに排尿、時間排尿、手圧排尿を指導する。

・ 下腹部膨満が見られたら受診する。

⑥ 勃起障害。

ケアの根拠(男性にとっては心理的にも大きな影響を与える)

勃起障害に対するケア

・ 勃起障害を相談しやすい環境を整える

・ 自己管理に関するストレス、合併症に対するストレスがないか確認する

・ 薬物療法が適用された場合は安全に効果的に使用できるように指導する。

単神経障害

アセスメントとケアのポイント。

・ 単神経障害は多発性神経障害に比べて頻度は少ないが、急に発症することが多い。運動障害として現れるので、患者家族は脳の病気ではないかと不安になる。

・ 初発症状でけでは鑑別が難しいことも多く、また施設によっては緊急でMRI検査が行えない事があるかもしれない。脳血管疾患を疑わせる他の所見が出現した場合は、緊急外来を受診する必要がある。

・ 単神経障害は一時的に強い症状が現れるが、糖尿病性の場合には予後が良好であることを説明し、不安の軽減につとめる。

・ 治療にはステロイド薬を投与することもあるので血糖値が上昇し一時的にインスリン注射をしなければいけないこともある。例えば朝にステロイドが投与されると日中に血糖が上昇する為日中の血糖上昇を抑える為にインスリンの種類を考慮しなければならない。

・ その後ステロイドを減量していく際には、減量の度合いに応じて高血糖も改善していくので、そのタイミングがずれると低血糖になることもあるので注意が必要である。

・ 単神経障害の場合、糖尿病の専門でない医師に診察を受けることも多い。糖尿病手帳などを持っていると治療内容を伝えやすく便利である。

・ 生活面では福祉などの症状に伴って日常生活に不自由をきたすそれぞれの症状に応じた対応が必要になる。

症状観察とアセスメント・ケアのポイント。

① 顔面神経麻痺の観察ポイント:

・ 兎眼

・ 口角下垂

・ 味覚障害

・ 構音障害

② 顔面神経麻痺のアセスメントケアのポイント:

・ 前駆症状として、麻痺が現れる側の耳のうしろや肩に痛みを感じることがあるが、何の症状もなく運動麻痺がおこることがある。

・ 症状に伴い閉眼できず眼球が乾燥したり充血することがあるので、眼帯や目薬の投与を行う。

・ 口角下垂による流涎、食べ物がこぼれやすくなる。特に水分摂取が困難になるので誤嚥などにも注意が必要である。

・ 構音障害では、息が漏れる為パ行やマ行がうまく発音できないことがある。

・ 味覚障害があると、食事の味が濃くなりがちになる。

③ 外眼筋麻痺の観察ポイント:

・ 眼球運動障害

・ 眼瞼下垂

・ 複視

④ 外眼筋麻痺のアセスメントケアのポイント:

・ 物が2重に見えるので、事故防止の為に環境整備を行う。

・ 転倒やベッドからの転落予防の為に患者に注意を促す。

⑤ 腓骨神経麻痺の観察ポイント:

・ 足趾の背屈障害

・ 垂れ足

⑥ 腓骨神経麻痺のアセスメントケアのポイント:

・ 自覚症状として、つまづきやすくなったりスリッパが脱げやすくなる。

・ 環境整備を行い、つまづきや転倒予防するとともに患者に説明し注意を促す。

 糖尿病合併症の糖尿病腎症

・ 糖尿病腎症の病気に応じた指導を行う。

・ 糖尿病腎症の患者は、同時に他の合併症を有することが殆どであり、腎症を含めたすべての合併症に配慮した対応が必要である。

・ 糖尿病腎症が進行するにつれ、糖尿病のセルフケアから腎保護を優先したセルフケアに変更する必要がある。正しい理解を促すとともにセルフケアの変更に伴う患者の心理状態にも配慮が必要になる。

糖尿病腎症生活指導基準とアセスメント・ケア

・ 糖尿病腎症は病気に応じたケアを行う。

第1期(腎症前期)

腎機能が正常な時期である。血糖コントロールを良好に保ち将来の慢性合併症の予防に努める。

・ 糖尿病に関する基本知識を提供する。

個別指導やア集団指導を通して糖尿病とはどのような病気か、治療法、合併症について説明し糖尿病に関する知識を深めてもらう。

・ 定期通院(合併症の定期チェック)の必要性を説明する。

糖尿病は自覚症状に乏しく身体的な苦痛が少ないために通院を中断してしまう患者が多くみられる。早期に発見すれば合併症の進行を阻止する治療が可能である。通院を中だアン氏無いように説明する。

・ 良好な血糖コントロールを維持できるようなセルフケアの確率に向けたケアを行う。

患者の日常生活に対する情報取集を行い、その患者に合った方法でセルフケアが行えるようなアドバイスを行う。

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第2期(早期腎症期)

微量アルブミン尿が出現するが、厳格な血糖血圧のコントロールにより改善が可能な時期である。

・ 微量アルブミン尿の意義を説明しる。

この時期であれば腎機能の悪化を防ぐことが可能世あるが、以後は腎機能の改善が困難になることを説明し、治療への動機づけを高める。

・ 内服の必要性について説明する。

腎保護の目的が十分に伝わっておらず、自分は血圧が高くないのになぜ内服が必要なのか疑問に思ている患者もいるため、薬の作用を正しく理解しているかを確認する。

第3期(顕性腎症期)

糖尿病慢性合併症の予防を目的とした治療から、腎保護を中心とした治療に方向転換していく時期である。

また糖尿病合併症は一般的に神経障害、網膜症、腎症と発症して行く為、腎症第3期以降の患者は、他の合併症を同時に抱えていることが殆どである。

腎症だけでなく他の合併症による身体機能の低下にも考慮したケアが必要である。

・ 腎症に対する理解を促す。

糖尿病の治療から腎保護を優先とした治療法の変更について説明する。パンフレットなどを使用して腎症に対する理解を促していく。

・ 食事療法の変更がスムーズにできるような支援を行う。

タンパク制限食に関する基本事項の説明を行い、今までの食習慣に関する情報や把握した患者の問題点を栄養士と情報交換する。

・ 運動療法に対する支援を行う。

この時期は運動制限が必要になる。今まで血糖コントロールの為に運動療法を積極的に行ってきた患者さんは、運動不足により血糖コントロールが悪くなるのではないかと心配になるため、運動制限の理由を正しく説明する必要がある。

・ 血糖コントロールについての支援を行う。

厳格な降圧療法が必要になる。至適血圧を目指すことで、腎機能低下を抑制するエビデンスがあるため血圧コントロールの必要性を説明する。

血圧コントロールができない原因として、塩分の過剰摂取や内服忘れなどの患者側に問題がある場合は、患者と共に対策を検討する。

・ 腎機能の状態に対する患者の受け止め方に合わせた対応を行う。

腎機能の低下について説明していても、あの時そんなに悪いと思っていなかったと話す患者さんは多く、状態を正しく認識していないことがある。

医師からの説明に対する患者の反応を確認し、患者が自分自身の腎機能の状態を正しく認識しているか把握するように努める。正しい認識はセルフケアの取り組み方にも影響すると考えられる。

第4期(腎不全期)

さらに厳格な腎症の治療が必要な時期である。腎症の進展を予防しつつ将来の透析療法に備えて準備を始める時期である。

・ 透析療法の選択を支援する。

腎症第4期は腎機能をできるだけ保持しつつ、透析療法の可能性を見据えた支援が必要である。

透析療法の選択は今後の生活に大きな影響を与える為、決定に時間がかかる場合もあるが、それぞれの一般的な生活スタイルの違い、それぞれのメリットやデメリットの説明を丁寧に行うとともに、透析療法に対する不安を軽減できるよう対応する。

・ 日常生活の注意点を説明する。

タンパク制限食などのセルフケアを継続していても、他の原因で腎機能を急激に悪化させてしまうことがあるため、透析導入をできるだけ先延ばしにできるよう日常生活の注意点を説明する。

・ 腎症第3期からのケアを継続する。

食事療法や運動制限がさらに厳格になるが、腎症第3期と同様にセルフケア支援を継続する。

腎症第4期になると利尿薬、リン吸着剤、カリウム吸着剤、エリスロポエチン製剤などと言った使用薬物が増えることから薬物管理がさらに重要になる。

・ 血糖コントロールについての支援を行う。

第3期第4期以降の血糖管理の基本はインスリン療法であり、インスリン導入に対する指導は必要である。

血糖コントロールが良好でありながらインスリン両方に変更される事に対して不満や疑問を抱きやすい。患者が変更理由を正しく理解しているか確認したうえで指導する。

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第5期(透析療法期)

一般的にクレアチニンが8mg/dl以上で透析療法の導入をするが、透析療法の適応基準を満たせば8mg/dl以下でも透析を導入する。

腎症第5期は透析療法を日常生活の一部としてうまく組み込んでいけるようなケアが必要な時期である。

・ 透析に対する心理的な負担を和らげる。

透析療法の開始時期は過去のセルフケアに対する後悔の念や、敗北感、拒否など様々な感情を持つため、まずは患者の心理状態を受け止め情緒的な安定が図れるような支援が必要である。

・バスキュラーアクセス手術前後のケアを行う。

患者自身にシャント音やスリルの触知を経験してもらい日常のシャント管理の方法や異常時にはすぐに受診することを説明する。

・ PDカテーテル挿入前後のケアを行う。

腹膜透析を選択した患者は透析液を出し入れする為腹腔内にPDカテーテルを挿入する必要がある。

腹膜透析管理で獲得すべきものは、透析液の交換方法、PDカテーテルの出口部観察方法やケア方法、異常の対処方法など多岐にわたる。

適切に自己管理しないと出口部感染や腹膜炎の危険があるため十分に説明を行う。

・ 透析食への変更に対する支援を行う。

血液透析患者の食事はタンパク制限が不要となり糖尿病食と同程度のたんぱく摂取が可能となる。透析食で中心となるのは水分制限と塩分、カリウム、リン制限である。

水分制限がうまく行かない原因として、高血糖による口渇の為水分を過剰に摂取してしまうことがあげられるが、其れだけでなく塩分の過剰摂取による口渇が原因である場合も多い。

・ 運動療法に対する支援を行う。

透析を始めたことで体調が改善し活動量が増える患者もいるが、糖尿病腎症による透析患者は高齢者が多いことや大血管障害を合併している患者も多いことから、平地歩行のような負荷の少ない軽運動を進める。

・ 血糖コントロールに対する支援を行う。

透析療法を開始してからも、感染症の予防や他の合併症の重症化の予防、栄養障害の改善などの観点から血糖コントロールは必須である。インスリン排泄が低下することにより、インスリン両方から離脱できる患者もいる。

・ 自律神経障害の影響を考慮する。

糖尿病腎症による透析患者は高度な自律神経障害を合併する例が多く、生命に危険のある無症候性の心筋梗塞や低血糖を生じることもあり、注意深い観察が必要である。

 糖尿病合併症の糖尿病網膜症

・ 糖尿網膜症では、慢性の高血糖により網膜の最小血管が傷害され、網膜血管閉塞や血管透過性亢進が起こる。

・ 網膜症の病態分類は、清浄、単純網膜症、前増殖網膜症、増殖網膜症に分けるダビス改変分類が使用されることが多い。

・ その他の目の合併症は、白内障、血管新生緑内障、角膜症、虹彩炎、視神経障害、眼球運動障害、屈折・調節障害など眼科領域のあらゆる部位に病変をもたらす。

糖尿病網膜症とは

・ 糖尿病網膜症では慢性の高血糖で網膜の細小血管が傷害され、網膜血管閉塞や血管透過性亢進が起こる。

・ 網膜血管閉塞による虚血性変化によって眼内新生血管が発生する。眼内新生血管は硝子体出血や牽引性網膜剥離といった増殖網膜症や血管新生緑内障を起こして著しい視力障害をきたす。

・ 一方、網膜血管透過性亢進は、糖尿病黄斑症をおこし中等度の視力障害をきたす。

・ 糖尿病網膜症は失明の主たる原因である。

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糖尿病網膜剥離の分類

① 単純網膜症

・ 単純網膜症は、軽症・中等度の非増殖網膜症である。

・ 網膜症の初期変化である毛細血管瘤、網膜出血、硬性白斑、網膜浮腫を認める時期で、病変は網膜内に限局している。病変が黄斑部に及ばない限り視力障害を自覚することは無い。

② 前増殖網膜症

・ 前増殖網膜症は、重症の非増殖網膜症である。

・ 単純網膜症から増殖網膜症の移行期で、網膜表層の細小血管閉塞による白い羽毛のような軟性白斑や、血管閉塞に隣接して正常の網膜血管と異なる途絶や拡張を呈する血管異常が認められるようになり、網膜の静脈が拡張、変形するなどの異常が現れる。

③ 増殖網膜症

・ 新生血管が発生した段階から増殖網膜症となる。網膜内に限局していた病変が網膜の前面や硝子体中に波及し、新生血管が破れることで網膜前出血や硝子体出血、牽引性網膜剥離など高度の視力障害をきたし、失明する可能性が高くなる。

④ 糖尿病黄斑症

・ 網膜症の一病型に糖尿病黄斑症がある。黄斑は網膜の中心にあり、物を見る為にも最も重要な部分である。

・ 糖尿病黄斑症は、黄斑付近に毛細血管瘤などが多発したり血液成分がしみ出たりするなどで、黄斑に病変が生じた状態である。単純糖尿病網膜症の段階でも起こることがあり視力低下の原因になる。

その他の目の合併症

・ 糖尿病による目の合併症は、糖尿病網膜症に限られるものではなく、糖尿病の細小血管障害や神経障害を基盤として、眼科領域のあらゆる部位に病変をもたらす。

① 白内障

・ 典型的な糖尿病白内障は、比較的若年者で血糖コントロール不良の状態が継続している。両眼性に細かい混濁が前・後嚢下皮質に出現することが特徴的である。

・ 真性の糖尿病性白内障の発生頻度は約%と非常に稀である。多くは加齢による白内障を伴って現れる。

② 血管新生緑内障

・ 進行した糖尿病網膜症では網膜に血管閉塞が起こり網膜が虚血に陥る。虚血網膜からは血管内疲細胞増殖因子をはじめとした血管新生因子が産生され、網膜に申請血管が発生する。

・ 血管新生緑内障は、難治性緑内障の代表的疾患であり、糖尿病による最終的な失明に至ることの多い疾患である。

③ 糖尿病角膜症

・ 基本的には角膜異常は潜在的異常とされ、手術やレーザー網膜光凝固療法などのストレスを契機に、一部の症例に顕性化し慢性に持続するという特徴を持っている。

④ 糖尿病虹彩炎

・ 糖尿病患者の1~7%に虹彩炎が発症するとされている。特に若年の血糖コントロール不良の糖尿病患者などに、交際血管の透過性亢進によるフイブリン析出や前房畜膿を伴う虹彩毛様体炎を見ることがある。

・ステロイド点眼薬などの局所治療に良く反応し、視力予後は良好である。

⑤ 視神経障害

・ 虚血性視神経症は、毛様体動脈または網膜中心動脈の枝で、視神経を栄養する後毛様動脈に生じる循環障害が本症の原因と考えられている。

⑥ 眼球運動障害

・ 糖尿病は四肢、特に下肢での感覚障害優位の末梢神経麻痺ニューロパチーを起こす頻度は高いが、脳神経麻痺を起こすことは少ない。しかし、脳神経麻痺の中では眼球運動に関連した動眼・外転神経障害が多い。

・ 栄養血管が一過性に狭窄又は閉塞し、循環障害をきたすため、その支配領域にある外眼筋がマヒし、その結果。眼球運動障害を生じて福祉をはじめとした主症状を訴える。

⑦ 屈折調節障害

・ 屈折異常は近視化や遠視化をきたすもので、調節異常はいわゆる老眼が進行した状態をいう。屈折調節異常は、糖尿病患者の血糖を変動させることで発生し、急性に生じた変化は可逆的なものであるとされている。

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糖尿病網膜症の各病期のアセスメント・ケア

① 単純網膜症。

・ この時期は視力に直接的な影響がないため患者自身は気付かずに進行することが多い。早期発見が出来れば可逆的な変化として毛細血管瘤などが自然消失することがあり、厳格な血糖コントロールが必要である、

・ 看護師は患者の生活に合わせた血糖コントロールが行えるように、食事療法や運動療法の見直しを行い、薬物療法が確実に行えるように生活調整をしていくことが肝心である。

・ この時期は自覚症状がないために低検診を中止してしまう可能性がある。なぜ定期検診が必要なのか患者が納得できるように説明していくことが必要である。

・ また血管強化・出血予防の為に内服薬による薬物療法を行う事がある。内服の目的を患者に理解してもらい、確実に薬物療法を行えるように支援していくことが必要である。

② 前増殖網膜症。

・ この時期の治療はレーザー網膜光凝固療法が有効である。どの部位を凝固するか確定する為に蛍光眼底造影検査を行う。

・ 看護師は医師から検査についての説明を受けているか患者に確認する。検査時には造影剤使用によるアレルギーやショックの有無について観察をする必要がある。

・ レーザー光凝固は痛みを伴う。患者は視力を保つ、又は視力を浴する治療と考えてしまう事がある。しかし疾患の進行を抑える治療であり視力改善の治療ではない。そのことを良く説明しておかなければ、患者はつらい治療をしたのに良くならないと思ってしまう。

・ レーザー光凝固は高額治療であり、費用についても患者へ説明しておくと良い。

・ 運動療法については、激しい運動を行うことによって硝子体出血を起こしてしまう可能性があるため、運動処方を医師へ依頼し、処方の範囲内での運動を患者と共に考えていかなければならない。

③ 増殖網膜症。

・ 出血が硝子体内へ及ぶため視力は著しく低下し、患者の日常生活動作や生活の質は低下する。

・ 看護師は患者へ安静を保ち出血を吸収させる必要があること、運動療法を行えば眼底への血流が増して出血を助長させてしまう事を説明しておく必要がある。

・ 重い荷物を持ったり階段や坂道を上ったり、便秘で努責をかけたりするなど腹圧をかける行為は出血を助長することを患者に伝え、安静が保てるように生活調整をしていく必要がある。

増殖網膜症期の一般的なケア

① 身体的ケア。

・ 身体的影響としてADLの低下が起こる。看護師は視力の低下があっても残存機能を活かし、見えなくてもできたと成功体験を蓄積させ日常生活が送れるように援助していく必要がある。

・ 視力の低下で最も注意しなければならないのは、安全の確保である。看護師は転倒転落の余地などを患者に指導しておくと良い。

② 心理的ケア。

・ 心理的影響としては、もっと自己管理をしていればよかったと自責の念を感じることがある。将来への不安や視力低下や視力喪失による恐怖などが考えられる。患者の話を傾聴し精神的なケアが必要とさせる。

・ 社会的影響としては人間関係を喪う、仕事を喪うことなどにより経済的に困難な状況になりやすい。家庭内での役割変化もあるため家族と共にケアをしていく必要がある。

・ 公的支援として、ボランテイアや盲導犬、タクシーの割引利用などがあり、必要に応じて患者へ紹介すると良い。

 糖尿病の合併症と治療について

糖尿病の人は最近とても増えています。
食べ物も豊富にある現代ですから、油断をするとすぐになる、その可能性は誰にでもあります。

忙しい生活に追われていますから、普段の生活の中で運動に注意をしている人もないです。
糖尿病の知識を持っているだけで、予防につながることもあります。

糖尿病の原因

口から入った糖が、体の中でエネルギーとして使用される仕組みを糖代謝と言います。

膵臓から分泌されるインシュリンの量が減ると、糖代謝のシステムがうまく働かなくなります。
その為にブドウ糖が血液中に増えます。

血液中のブドウ糖を血糖と言い、その濃度を血糖値と言います。
血糖値の高い状態が続くことを糖尿病と言います。

糖尿病の症状

① 尿の回数や量が増える。
② 喉が渇く。
③ 食べているのに痩せる。
④ 体がだるい、疲れやすい。

糖尿病の合併症

① 糖尿病性腎症
 腎臓の尿を作る機能が衰え、
 身体の老廃物が除去できなくなる病気です。
② 糖尿病性網膜症
 目の網膜に障害が起こり、視力が悪くなり失明する
 恐れがある病気です。
③ 糖尿病性神経障害
 末梢神経に障害が起こり、手足の感覚が鈍くなったり、
 しびれや痛みが起こります。
④ その他の糖尿病の合併症
 動脈硬化
 歯周病
 認知症
 感染症

糖尿病の治療

①食事療法。

適正な食事量を守ってエネルギーをコントロールする。
栄養バランスの良い食事をする。
・ 必要な栄養を過不足なくとる。
・ たんぱくと脂質、炭水化物のバランスを意識して摂取する。
・ 食物繊維を意識してたっぷりと摂る

・ 必要な食品を選択して摂取する。
・ 一日3食を規則正しくほぼ均等に摂取する。
・ 品数の多い献立にして、15分以上かけてゆっくり摂取する。
・ 間食やお酒を控える。

② 運動療法。

 ・ 運動をすると、ブドウ糖と脂肪の消費量が増え血糖値が下がります。
 ・ インシュリン抵抗性が改善し、
  ブドウ糖が筋肉に取り込まれやすくなります。
 ・ エネルギー摂取量と消費量のバランスが良くなり体重が減ります。
 ・ 加齢や運動不足によって筋肉量が減るのを防ぎます。
 ・ 骨粗しょう症の予防効果もあります。

 ・ 血圧を下げたり、善玉コレステロールを増やす働きがあります。
 ・ 運動機能や心肺機能が向上します。
 ・ 気分転換になります。
 ・ 体が変わることで、毎日を気持ちよく過ごすことが出来ます。
 ・ 食後30分から1時間後の運動が効果的です。

③ 薬物療法。

 ・ ビグアナイド薬とは、肝臓で新しく糖がつくられるのを抑えたり、
  腸管からのブドウ糖の吸収を抑える薬。

 ・ チアゾリジン薬とは、筋肉や脂肪でブドウ糖が使われやすくする薬。
 ・ α―グルコシダーゼ阻害薬とは、腸管に働き、糖をブドウ糖に変える
  消化酵素の働きを抑えて、食事でとった糖の吸収を遅らせる薬。

 ・ インクレチン関連薬とは、膵臓の細胞に働き、必要に応じて
  インスリンの分泌を促すインクレチンを膵臓に届ける働きをする薬。

 ・ スルフォニル尿素薬とは、膵臓の細胞に働き、
  インスリンの分泌を促す薬。
 ・ グリニド薬とは、膵臓の細胞に働いて、インスリンの分泌を促す薬。
  飲んですぐに聞き始め、早く消失する。

糖尿病患者さんが多い

糖尿病の人は、そうでない人よりも認知症になる確率が4割も高いという。
それにしても、最近は糖尿病の患者さんが本当に多く入院している。


口から栄養を摂ることが出来ない人で、胃ろうから栄養を摂っていない人が中心静脈栄養をしている。

50人ほど入院している患者さんの内、糖尿病の患者さんが30人ほどいるが、そのうちの8人が点滴内にインシュリンを入れている。

また、血糖測定も患者さんの糖尿病の度合いに合わせて行っている。
血糖値に合わせてその都度インシュリン量を変えて注射している患者さんもいる。

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糖尿病患者さんの血糖値管理

毎日血糖を測定している人や、3日おきに血糖を測定している人、1週間に1回血糖を測定している人などがいる。

糖尿病だけの疾患で入院しているのではなく、必ずほかの疾患名がついているのだ。

糖尿病の患者さんは認知症になりやすい

糖尿病は合併症の多い病気で、それらの疾患は糖尿病のせいでなかなか治癒や軽快しないのだ。

糖尿病のお蔭で小さな傷もなかなか治らず、かえって悪化したりする。

心臓や高血圧、動脈硬化や壊死など合併症が多いが、認知症の発症リスクも高めるとは本当に怖い病気だ。

糖尿病が認知症を合併する理由

糖尿病の患者さんは、
認知症の発症リスクが高いという報告があります。

アルツハイマー型では2倍、脳血管性では3倍にもなると言います。
脳の中のアミロイドβという蛋白質が、
認知症の要因と考えられています。

糖尿病は、血中のインスリン濃度が変化することで、
アミロイドβの蓄積や分解に影響を与えることが推測されます。

糖尿病の看護計画はこちらです→看護計画

参考資料:糖尿病合併症ケアガイド

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