慢性心不全・うっ血性心不全患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1原因となっている基礎疾患と心機能の把握

心不全は心血管系、内分泌系、免疫系などの生体内の調節機構の異常を伴う症候群で、すべての心疾患が最終的に到達する複雑な病態のため、その原因となっっている基礎疾患、心不全のタイプ、心機能、増悪要因を把握することは患者の病態像や重症度、治療・ケアの在り方を考えるうえで重要である

・基礎疾患名、心不全の重症度、タイプ、増悪要因

・症状の特徴、動脈決酸素分圧、心胸郭係数、肺水腫、不整脈、神経・内分泌系因子、心エコー、スワンガンツカテーテルによる血行動態

・内服薬の種類、服薬状況、水分制限、塩分制限、喫煙、アルコール習慣、ストレス状況など

共同問題:薬物療法の有害反応

起こりうる看護問題:心拍出量減少とガス交換障害に関連した運動耐容能の低下/不適切な保健行動による心不全の急性増悪の可能性

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2症状の特徴、程度、運動耐容能の把握と観察

どのような動作時にどのような症状がどのレベルで発現するのかを把握することは、心臓リハビリテーションを安全に進め、安全・安楽に日常生活援助を計画立案・実施するのに重要である

・左心不全に特徴的な症状は、呼吸困難、起坐呼吸、夜間発作性呼吸困難、易疲労性、咳嗽、喀痰、動悸、頻脈、浅呼吸、肺野の断続性ラ音、喘鳴、四肢冷感・湿潤、尿量減少などである

・右心不全に特徴的な症状は、下腿浮腫、肝腫大、腹水貯留、臓器うっ血による食欲不振、悪心、あえぎ呼吸、頚静脈怒張、尿量減少、低栄養などである

・休息と活動の様子

・心仕事量の指標である二重積の安静時と活動後の変化率が±20%以上の場合は、心臓への過剰負荷を意味する。また、活動後に収縮期血圧が20mmHg以上低下した場合や活動中の不整脈の出現も、急激な心拍出量の低下を意味し危険な状態である

・夜間の睡眠状態

・日中の過ごし方と症状

・在宅で寝たきりであった場合、デコンデインショニングによる骨格筋の萎縮や筋力低下による転倒、心不全の二次障害を把握する

(起坐呼吸)

・仰臥位では呼吸困難が増強し、財で呼吸困難が軽減するため左心不全患者が好んでとる体位である

・座位になると肺の血流量が減少し、横隔膜が低下するために吸気時の仕事量が減ることが理由である

(夜間発作性呼吸困難)

・仰臥位になって1~2時間後に突然起こる呼吸困難である

(二重積)

・心筋の酸素需要は心拍数、心収縮力および心室拡張力によってきていされる。心筋酸素消費量の臨床的指標として二重積が用いられている

・二重積=心拍数×収縮期血圧=心拍数×心拍出量×抹消血管抵抗

・変化率の求め方=(実施前-実施後)÷実施前×100

共同問題:深部静脈血栓症

起こりうる看護問題:心拍出量減少とガス交換障害に関連した運動耐容能の低下/呼吸困難などの心不全症状による休息ー活動リズムの障害/栄養摂取消費バランスが不足する恐れ/褥瘡リスク状態/身体の運動制限により筋力が低下する恐れ/転倒リスク状態

3薬の効果の観察

心不全の急性増悪などの場合、薬物療法の効果や、塩分・水分の過剰摂取や過労などの生活主幹による影響について正しく評価するために、服薬状況を把握する必要がある。薬の効果が見られない場合は、医師の指示のもと治療方針の変更が必要となる

・指示された量を内服していたか

・急激に体重増加が見られた場合、適宜、利尿薬を増量して内服する機会があったか

・塩分・水分制限、喫煙、アルコール摂取の有無と程度、就労時間、ストレス状況などはどうであったか

・症状の出現や血圧上昇などはみられたか

共同問題:薬物療法の有害反応

起こりうる看護問題:不適切な保健行動による心不全の急性増悪の可能性/症状悪化や今後の生活などに対する不安(患者・家族)

4薬の副作用の観察

薬による副作用を注意深く観察する。薬によって副作用に違いがあるので原因となっている薬を明らかにして、医師の指示のもと適切に対応する。

ジギタリス製剤による食欲低下など、患者や医療者が薬の副作用を見過ごしてしまう症状があること、めまいなどが誘因となって転倒を引き起こす薬もあることなど、情報を把握することは有害反応のリスクを予防する意味でも重要である

・利尿薬は利尿と降圧効果を目的に使用される。数種類の利尿薬がある。代表的な副作用は低カリウム血症、低ナトリウム血症、代謝性アルカローシス、高尿酸血症、不整脈である

・ジギタリス製剤は心筋の収縮力増強作用、徐脈作用、利尿作用などがある。ジギタリス中毒を起こしやすいので血中濃度を定期的に測定する必要がある。副作用は消化器症状、眼症状、精神症状、不整脈、電解質異常など多彩である

・アンジオテンシン変換酵素阻害薬は、末梢血管抵抗低下、水・Naの排泄促進、降圧効果によって心・腎保護作用、インスリン抵抗性改善作用がある。副作用は咳嗽、浮腫、発疹、味覚異常、血管浮腫、急性腎不全がみられる

・アンジオテンシン受容体拮抗薬は、アルドステロン産生抑制により降圧効果がある。血管浮腫、肝機能障害、腎機能障害などの副作用がある

・β遮断薬は、拡張型心筋症や虚血性心疾患による心不全に使用される。副作用は徐脈、末梢動脈疾患の悪化、喘息発作の誘発、けいれん性狭心症の悪化、抑うつ、不眠、筋肉痛などである。特に心不全を増悪させることがあるので少量から漸増投与される

・カテコールアミン系製剤は強力な強心作用薬で、重症心不全で用いられる。経口薬は慢性心不全治療の補助薬として使用する。副作用は不整脈、末梢虚血、麻痺性イレウス、胸部不快感などがある

共同問題:薬物療法の有害反応

起こりうる看護問題:不適切な保健行動による心不全の急性増悪の可能性/症状悪化や今後の生活などに対する不安(患者・家族)

5患者家族の心理社会的側面

患者家族が疾患やライフスタイルの変容についてどのように理解・認識しているかを確認することは、今後の患者家族の保健行動に対する援助の在り方を考えるうえでも重要である。

また治療方針や疾患の増悪、社会生活などに対する不安を患者家族が感じている場合は、医師、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどとの連携による支援が必要である

・心不全の病態と症状の関係、急性増悪時の対処方法を、患者家族はどのように理解しているか、患者を正しく理解できることで、治療や検査、予後の対する不安を軽減できる

・不安の増強は状態の悪化を招くので、どのようなことに不安を抱いているかを把握し適切なケアを提供する

・生活習慣の修正が必要なことに対して、どのように理解・認識しているか把握する。治癒はない病態であり、急性増悪を予防するためには生活の見直しと自己管理が重要である

・経済的な問題を抱えていないか、患者は高齢である場合も多く、社会資源や医療ソーシャルワーカーについて説明し、経済的負担を減らし、適切な治療を受けられるように働きかけることが必要である

起こりうる看護問題:呼吸困難などの心不全症状による休息ー活動リズムの障害/病状悪化や今後の生活などに対する不安/患者・家族がストレスに適切に処理できない

心不全の看護計画はこちらです

参考資料:疾患別看護過程