先天性心疾患患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1病期・病態の把握

疾患の進行によって心不全症状が悪化し、合併症出現の可能性が高くなる。これらを把握することで看護援助の方向性が明確になる

・心エコー検査:弁の形態と動き、狭窄の程度、心拡大や心肥大の程度、左室駆出率、圧較差などを把握する

・心不全の評価:NYHAの心機能分類⇒自覚症状の程度を段階ごとに分類する

・心電図:病態・病状の進行に応じて左房負荷、右房負荷、左室肥大などの所見があらわれる。僧帽弁狭窄症の場合は、心房細動を認めることが多く、病状の進行を示す一つの指標となる

・胸部X線所見:病態の進行に応じて心陰影の拡大がみられる

・使用している薬の種類とその量を把握する

共同問題:組織循環不全(脳溢血、冠動脈虚血、不整脈)

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2症状の出現状況、程度の観察

弁幕の障害によって生じている心不全症状や不整脈、合併症などの症状と程度を観察することで疾患の進行度がわかり、治療計画、看護計画の立案に有効である

(心不全症状)

・呼吸困難、起坐呼吸、喘鳴、咳、痰の有無⇒安楽な体位の工夫、酸素療法の援助

・悪心・嘔吐、食欲不振、便秘⇒摂取しやすい食事内容の工夫への援助、緩下剤の使用

・血圧の低下、尿量の減少、浮腫、体重の変化、頚静脈怒張⇒心拍出量の低下、右室負荷の進行、肺うっ血の進行の徴候として現れる

共同問題:組織循環不全(脳溢血、冠動脈虚血、不整脈)

起こりうる看護問題:心不全の増悪、症状の進行による体液量過剰/食欲が低下する可能性/水分制限による便秘の可能性/活動に必要な生理学的許容量の減少/体液量過剰によって末梢に浮腫が生じ、皮膚損傷を受けやすい

3病状の進行・悪化によって起こりうる症状や合併症の観察

症状の進行と悪化は様々な機能障害と生命の危機的状況につながる。従って、患者の全身状態をよく観察し、現在生じている症状のみならず起こりうる問題を予測し、看護を展開していくことが重要となる

(狭心症)

・大動脈弁狭窄症は、左室から大動脈への血液の流入が障害される。心拍出量減少が冠血流の減少につながり、狭心症症状が生じ、突然死を招く場合がある

(失神発作)

・大動脈弁狭窄症がさらに進行すると、労作などの負荷により低心拍出量が助長され脳血流の低下により失神発作を生じるようになる

(血栓塞栓症状)

・僧帽弁狭窄症は左房から左室への血流が障害されるため、左房負荷による心房細動や左房への血液のうっ滞により血栓が形成され、脳梗塞などの血栓塞栓症が生じやすくなる。意識レベル、麻痺、瞳孔、四肢の霊感、チアノーゼ、腹痛、背部痛を観察する

共同問題:組織循環不全(脳虚血、冠動脈虚血、心拍出量の減少、不整脈、呼吸機能障害、消化管機能障害、腎機能障害など)

4患者・家族の疾患の理解、療養の認識

患者家族の疾患に対する理解と必要な療養が実践できているかどうかは、病状の進行と悪化に大きな影響を与える。

従って、患者家族がどのようなことに不安や疑問を感じているのかを把握するとともに、必要な療養行動がとれるように援助していく必要がある

・患者家族は疾患に対してどのように受け止め、予後をどのように理解しているか、医師からの病状の説明の受け止め、理解の程度を確認する

・必要な療養行動に対して実践する意思を言葉で表現できるか確認する

・今までの日常生活パターンを把握し、具体的な療養行動がとれるよう指導・教育する

・必要な場合、社会資源を活用できるように情報を提供するなど支援する

・疾患や療養行動について誤解・疑問が生じている場合、必要ならば医師から再度説明を受ける場を設け、家族を含めゆっくり話し合いが持てる機会を提供する

起こりうる看護問題:病状の進行と予後に対する不安/患者の役割機能の変調/疾患に対する情報が不足しており、疾患管理方法がわからない

先天性心疾患患者の看護計画はこちらです

参考資料:疾患別看護過程