大腸がん患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1全身状態の把握、病巣、症状の有無・程度の観察

術前の身体状況は術後の回復に大きく影響するため、術後の合併症を考慮して術前の全身状態をとらえることが重要である。

症状の有無と程度、病変部夷を把握し、治療が効果的に行えるように看護計画を立案する必要がある

・癌による腸管の狭窄が強い場合、腹痛、悪心・嘔吐などの腹部症状により苦痛が増強するため、検査結果で狭窄の部位と程度をとらえ、症状出現に応じて適切に対応する

・食事制限な場合は、通過障害の程度や食欲に応じて食事を工夫し、栄養状態の改善に向けて援助をしていく

・通過障害の程度が強い場合は絶飲食や輸液管理による治療が行われるため、患者が治療の必要性を正しく認識し行動できるよう援助する必要がある

・病変部位からの出血に伴い貧血が起こりやすい。疲労感や倦怠感、ふらつきによる転倒を考慮したケアが必要である

・貧血の程度により鉄則の内服や輸血が行われる。患者の治療に対する理解を促すとともに、内服の確認や輸血の確実な実施につなげる必要がある

・下痢や下血により肛門周囲の粘膜・皮膚トラブルが生じる可能性がある。便の性状と回数、出血の有無をとらえ、症状による苦痛の緩和を図る

・食事制限に伴うストレスをとらえる

起こりうる看護問題:通過障害による症状悪化、低栄養状態/術前処置・治療の必要性に対する認識不足/貧血に伴う苦痛・転倒/肛門周囲の粘膜・皮膚トラブル/治療に伴う苦痛

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2ストーマ造設に関する情報の把握

ストーマ造設が必要となる場合、主治医からどのような説明を受け、どのように受け止められているかを把握する。患者家族の術前から退院までの生活を考慮した看護計画を立案する必要がある

・主治医の説明の際にはできる限り同席し、患者家族の反応をとらえ手術の必要性やストーマ受容を促す援助が必要である

・ストーマに対する患者家族の受容の程度、年齢性格、生活背景などを考慮しストーマの解剖生理や機能、ストーマ管理方法、社会資源についてなど、患者家族の状況に応じて段階的な援助を行うと有効である

・ストーマサイトマーキングの際はストーマの位置、高さ、経常、使用装具について術者と相談し、退院後の患者の状態を十分に考慮し自己管理が容易な位置を検討する

・ストーマ造設を伴う腹会陰式直腸切断術が施行される場合は、排泄障害や性機能障害が生じる可能性について受け入れているか、日ごろの排便排尿パターンやセクシャアリテイーについて、可能な限り情報収集しながら患者の状況に応じた心理面への働きかけが重要である

起こりうる看護問題:ストーマの受容が困難/ストーマに対する不安/ストーマによるボディイメージ混乱の可能性/ストーマ装具交換の手技習得が困難な可能性/便漏れによる睡眠障害/二次的な生活への支障

3術後合併症の観察:回盲部・結腸切断術

選択された術式による術後合併症を理解しそれぞれの観察項目からアセスメントするべきことを明確にし、早期発見を目指した看護計画の立案が必要である。

また合併症の発症により、回復が遅れることに不安を抱くことが考えられるため心理的支援が重要である

・大腸の部位と切除範囲により術式が選択され、リンパ節郭清と結腸切除を行う。術式には回盲部切除術、結腸右半切除術、拡大結腸右半切除術、横行結腸切除術、結腸左半切除術、S状結腸切除術などがある

・機能障害はほとんど起こらないが、開腹術における問題をアセスメントして看護計画を立案する

(疼痛)

・術後の疼痛は創部痛だけではなく長時間の安静による痛み、腸蠕動痛、ドレーン挿入による痛みなどが考えられる。またイレウスや訪豪不善、感染など術後合併症に関連した痛みの可能性がある

・疼痛の部位、内容、程度、出現時の体位などの情報を適切にアセスメントし、術後合併症の早期発見、早期治療につなげるとともに、体位の工夫や創部の保護、鎮痛薬の効果的な使用と管理により疼痛緩和に対するケアを行う

・疼痛による睡眠や離床への影響をとらえ、適切なケアを行い、治療に対する意欲を高めていく

(出血)

・術後出血の観察としてドレーンの血清排液や腹部症状の変化をとらえ、緊急時における冷静な判断と対処が必要である

・輸血や止血薬の点滴が必要な場合は、治療の必要性を患者に説明し、輸血や止血薬による副作用に注意し、確実に与薬する

(縫合不全)

・縫合不全とは手術で縫合した腸管や粘膜、皮膚及び血管の吻合部が離開し、破たんした状態である

・ドレーンからの排液の性状や量・色、疼痛の程度、腹壁の緊張、腹部膨満の程度、炎症反応などを適切にといらえ、縫合不全を早期発見し、治療が効果的に行えるように観察することが重要である

・縫合不全により始まったばかりの食事が絶飲食に制限されることがある。食事制限の苦痛と回復が遅れる事への不安が軽減するよう援助することが必要である

(創感染)

・手術操作部位の発赤、主張、疼痛、熱感、浸出液の臭気などの有無を観察し、そう感染徴候が見られた場合は適切に対処する必要がある

(イレウス)

・イレウスの症状は悪心、嘔吐、腹痛、腹部膨満、排ガス、排便の停止がみられ、X線所見では二ボー像の形成を認める

・術後の麻痺性イレウスは、長時間の手術や腸管の露出などにより生じ保存的な治療が行われるため、腹部症状の観察とともに苦痛の緩和に対するケアが重要である

・術後の機械的イレウスは、癒着性によるものがほとんどである。胃管の挿入による苦痛やイレウス治療による回復の遅れによる苦痛が生じるため心理的ケアは不可欠である

・機械的イレウスは単なる癒着による単純性イレウスのほかに、腸管の血行障害を伴う絞扼性イレウスがあり、手術による緊急処置が必要となる

直腸切断術

(排便コントロール不良)

・大腸の切除により水分の吸収能が低下している。水分の取りすぎや繊維質の多い食品をとりすぎると下痢や軟便の原因となるため観察が必要である。一方癒着による癒着の狭窄も考えられるため、水分を控えすぎることは好ましくはない。食事や水分の摂取状況と排便状況を観察していく必要がある

・肛門を温存する低位前方切除術、肛門と肛門周囲の組織を残存結腸でストーマを増設する腹会陰式直腸切除術が代表的な術式である

・直腸の手術では、肛門の温存の有無と直腸の周囲に存在する自律神経損傷の有無を考慮し、看護計画を立案する

(排便障害)

・肛門が温存されても肛門管の歯状線近くで消化管吻合が行われた場合、便貯留機能を保つことは難しいため、便が頻回となり肛門周囲の皮膚トラブルを起こすことがある。また、頻回な排便により社会生活におけるQOLの低下が考えられる。退院後の生活に向けて皮膚の管理、QOL交情に向けたケアが必要である

・便の回数や性状を見ながら、薬物療法と肛門部のケアを実施する

(排尿障害)

・神経叢の温存の程度により排尿障害が生じる場合がある。観血的導尿や自己導尿の指導など看護計画の立案が必要である。また障害による自尊心の低下を考慮したQOL交情に対するケアが重要である

・バルーン留置カテーテル抜去後は、排尿日誌を記載してもらい、相談にのるとよい

(性機能障害)

・神経温存が行われても、リンパ節郭清による神経損傷の可能性がある。入院中に問題視されることは少ないが、夫婦関係や患者・家族の認識などを把握しながら継続的なケアが必要である

・肛門部、会陰部の創治癒に伴い、性機能障害は変化していくことを伝え、相談に乗るとよい

(会陰そう感染・骨盤内膿瘍)

・直腸切断術後は、骨盤腔内に大きな死腔を形成し、手術中の腸管内容による細菌感染が起こる危険性が高い。ドレーンの排液を含め感染徴候を逃さず、観察していくことが必要である

(ストーマとその周囲の早期合併症)

・壊死:ストーマを造設する際に腸周辺の血流が障害されて壊死が起こる可能性があるため、ストーマの色の変化を観察していく必要がある

・浮腫:腹直筋を通してストーマを造設するため一過性に浮腫を生じるが特別な処置は必要ない。しかし、浮腫の状態によっては傷つきやすく易出血性があるため装具交換時などには注意が必要である

・出血:ストーマと皮膚縫合部から出血が見られる場合は、皮膚保護材の下に血液が貯留することがあるため、装具交換時のみでなく、装具の装着状況を含めた観察が必要である

・皮膚粘膜接合部解離:皮膚と粘膜接合部が解離した場合は、縫合部の感染によりさらなる創の拡大が予測されるため、創傷ドレッシング材の工夫や創部の洗浄などを行い治癒を促す

・ストーマ周囲皮膚炎:便漏れや皮膚保護材が合わないことにより、皮膚炎を起こす可能性がある。炎症が軽度の内に適切なケアができるよう皮膚を観察する

共同問題:麻痺性イレウス/縫合部位の解離/出血/ストーマ周囲の潰瘍

起こりうる看護問題:疼痛により離床が妨げられ回復が遅延する可能性/ストーマによるボディイメージ混乱の可能性/ストーマ装具交換の手技習得が困難な可能性/患者家族の疾患や治療に対する不安が増強する可能性/便漏れによる睡眠障害/術後合併症による回復遅延

4ストーマ管理状況の把握

患者の腹部脂肪層が厚いことや腹部に大きなしわができること、また退院後に体重の増減が起こりうる可能性が高いことなど、身体的条件からストーマ管理の困難な状況が予測される際は日中だけでなく夜間の便漏れが不安となり、睡眠を妨げる可能性がある

・患者の腹部脂肪層が厚いことや腹部に大きなしわができること、また退院後に体重の増減が起こりうる可能性が高いことなど、身体的条件からストーマ管理の困難な状況が予測される際は、日中だけでなく夜間の便漏れが不安となり睡眠を妨げる可能性がある

起こりうる看護問題:ストーマの受容が困難/ボディイメージの混乱/ストーマ装具交換の手技取得が困難な可能性/患者家族の疾患や治療に対する不安が増強する可能性/便漏れによる睡眠障害

5患者家族の心理社会的側面の把握

転移が告知された場合は、患者家族の予後に対する不安など心理的な援助が必要である。また転移に対する治療が行われる場合は、補助療法に対する認識や不安を把握し治療が効果的に行われるよう適切なかかわりが重要である。

短い入院期間にストーマ管理方法を習得することは困難であり、退院後の生活に対して患者家族は不安が強くなる可能性があり、退院後のサポート状況を伝えていく必要がある

・退院後に補助療法がおこなわれる場合は、治療について感じていることを患者家族から情報を収集し、不安や認識不足に対して丁寧に説明する。また患者家族の闘病意欲を高めるため、心理社会的側面からの支援が必要である

起こりうる看護問題:患者家族の疾患や治療に対する不安が増強する可能性/病状や今後の治療に対する認識不足

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参考資料:疾患別看護過程