ウイルス肝炎患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる問題点

1全身状態、症状の出現状況の把握

主観的情報と客観的情報から、全身の系統的アセスメントを行い患者の全身状態、症状の出現状況を把握する

(全身状態)

・バイタルサイン

・身長、体重、BMI、腹囲、体重の増減

(皮膚、頭髪、爪)

・皮膚粘膜の傷、発疹、かゆみ、乾燥や湿潤、横断、浮腫、脱毛、爪の形や色の変化

(血液、リンパ)

・輸血、血液製剤の使用量、貧血、出血傾向、リンパ節の腫脹や圧痛

(頭部、眼、耳、鼻、口)

・頭痛、めまい、頭部の外傷、意識状態、失神、けいれん

・見当識、理解力、記憶力、集中力、判断力

・記憶に変化があるか、決定が簡単にできるか、学習方法、困難はあるか

・聴力、聴力の変化、耳痛、耳鳴り、分泌物、耳垢、補聴器の使用

・視力視力の変化、眼痛、腫脹や発赤、分泌物、緑内障、白内障の既往、眼鏡の使用

・臭覚、鼻水、鼻閉、鼻出血、臭覚障害、副鼻腔炎の既往

・味覚、味覚の変化、齲歯や歯周病、義歯、口腔内の状態

(呼吸器、循環器)

・呼吸状態(呼吸数、リズム、呼吸音、SPO2)

・咳、痰、呼吸困難、息切れ、喘息、間質性肺炎の有無

・循環状態(脈拍、血圧、体温)

・胸痛、動悸、不整脈、労作時の息切れ、心臓病の既往、高血圧、浮腫

(消化器)

・食事摂取状況、食欲、悪心、嘔吐、嚥下障害の有無

・栄養補助食品やサプリメント使用の有無、種類、内容

・食欲不振、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘

起こりうる問題点:インターフェロンの副作用により食事を摂取できない

(肝臓)

・HCV(C型肝炎ウイルス)感染となる既往疾患や治療歴の有無、輸血・血液製剤使用歴、血液透析の有無、鍼の治療歴、刺青の有無、薬物乱用の既往

・HCV感染を自覚した時の対処、HCV抗体+判明時期の経緯、慢性肝炎診断時期と経緯、受診状況、治療内容と経過

・自覚症状:右季肋部痛、背部痛、全身倦怠感、疲労感

・肝機能:AST、ALT、LDH、ALPなど

・栄養状態:TP、ALb、TC、Hb、Ht

・C型肝炎検査:HCV抗体、ウイルス量、ウイルス型(血清型、遺伝子型)

・肝障害度:腹水、TP、ALb、ICG試験

・繊維化マーカー:ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン、プロコラーゲンⅢペプチド

・腫瘍マーカー:AFP、PIVKAⅡ

・検査所見:腹部超音波、腹部CT、腹部MRI、腹腔鏡下肝生検、腹部消化管造営、内視鏡

・インターフェロンの使用状況、バイタルサインの変動、解熱薬の使用状況

起こりうる問題点:インターフェロンの副作用のための苦痛が強い

(直腸、肛門、腎臓、泌尿器、生殖器)

・排便パターン

・排尿パターン

・尿検査値、便検査値、腎機能

・セクシュアリテイや性的機能に関して感じている変化・問題

・性的関係の満足度、変化、問題の有無、パートナーとの関係

・避妊方法を使用しているか、それによる問題はないか

(骨格筋、四肢、知覚)

・四肢体幹の運動機能、関節可動域、関節痛、筋肉痛、疼痛、腫脹、発赤、熱感

・筋力、握力、歩行・姿勢の状態

・知覚や感覚の異常、ふるえ、振戦、冷感

・痛みや不快感はあるか、あるならばいつからどの程度で対処はどうしているか

起こりうる問題点:インターフェロンの副作用のための苦痛が強い

(ADLとセルフケア)

・食事摂取、水分摂取

・喫煙飲酒の有無、服薬の有無、過労、過食、ストレスなど

・必要な活動のためにエネルギーは十分か、倦怠感や疲労感の有無

・仕事

・運動、レジャー活動

・睡眠、熟眠感の有無

・寝つき、途中覚醒、早朝覚醒、昼夜逆転、残眠感、日中の眠気の有無

・ADL

起こりうる問題点:インターフェロンの副作用により睡眠パターンに混乱をきたしている

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2心理的側面の把握

患者家族の疾患や治療に対する認識、ストレス対処行動、価値観や信念を理解する

(自己知覚)

・治療方法の決定に関する葛藤を示す言動を観察する

・抑うつを示す言動、治療内容とその効果を把握する

・視線を合わせるが集中力、注意力、身体の姿勢はどうか

・患者は自分自身についてどう思っているか

・患者は自分自身をどう表現するか

・患者は自分自身の身体やできることが変化したか、その変化は患者にとって問題か

・発症以来患者は自分の身体についての感じ方が変化したか

・怒り、イライラ、恐怖心、不安、落ち込みの程度とそれを和らげるものがあるか

・希望の有無、コントロール感の有無、対処方法はあるか

・現在の病状・検査・治療に関する理解の程度を把握する

・健康維持行動、医師や看護師の指示の実行状況、医療者及び療養生活に関する希望を持っているか

起こりうる問題点:知識不足により効果的に治療を受け肝繊維化の進展を予防する行動がとれない

(コーピング、ストレス耐性)

・この1~2年間に人生の大きな変化や危機があったかどうか

・物事をじっくり相談する相手は誰か

・緊張しているか、リラックスしているか、緊張を和らげる方法は何か

・リラックスするためにアルコール、薬物を使用するか

・人生の大きな問題にどのように対処するか

・ストレッサーの存在の有無

・コーピングのために利用できるサポートシステム

(価値観、信念)

・全体的に見て人生が望み通りにいっているか、人生設計はどのようなものか

・人生や生活で大切なことは何か

・日常の主教実践、人生の中で信仰は重要か、困難に遭遇した時は信仰が役に立つか

起こりうる問題点:治療や疾患予後に対する不安がある

3社会的側面の把握

家族、仕事、社会的環境の中で患者の主な役割と責任を理解する

・家族構成、家族や他者との関係、家族への依存度および自立度、面会者はどのような様子か

・家族としての問題は何か

・患者の疾患入院について、家族はどう感じているか

・患者の疾患入院について職場の理解はあるか

・職業、仕事の種類、仕事はうまくいっているか

・家庭内、職場、学校、社会活動での役割変化に対する認識の程度を把握する

・医療費、社会資源の活用状況、収入支出に対する認識の程度を把握する

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参考資料:疾患別看護過程