肝硬変・門脈圧亢進症患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1症状の有無と程度の観察

肝硬変初期は症状が自覚されにくいが、肝機能低下に伴い多彩な症状が出現すると疾患の進行が把握でき、治療・看護計画立案に重要である

・肝硬変の重症度

・疾患に伴う症状:全身倦怠感、体重減少、発熱、雲上血管拡張、手掌紅斑、皮下出血班

・消化器症状:食欲不振、悪心、嘔吐、腹部膨満感、排便状態、腹痛、吐血、下血

起こりうる看護問題:食欲不振、タンパク質・資質・糖質の代謝障害、ビタミンの貯留障害、下痢に関連した栄養摂取困難

・胆汁うっ滞:黄疸はビリルビンが過剰に体内に蓄積された状態である。肝硬変では長期の短銃うっ滞自体が憎悪因子になるため重要な観察視点である

・腹水浮腫:体内の水分は血管内・外に分かれて一定の比率を一定範囲に保っているが、比率の保持困難により浮腫、腹水が生じる

起こりうる看護問題:門脈圧亢進、膠質浸透圧低下、ナトリウム貯留した関連した腹水と浮腫/腹水貯留に続発する横隔膜圧迫に関連した呼吸機能障害のおそれ

・肝性脳症:肝機能障害によるアンモニアを代表とした中毒物質の血中濃度上昇によりおこる代謝性意識障害で、肝機能の回復や誘因を除去できれば意識は回復することが多い

・肝性脳症の重症度:軽度(忘れっぽさ程度)中等度(特有の羽ばたき振戦)高度(著名な見当識障害、失禁昏睡)

・脳症に対する患者と家族の受け止めと理解:初の脳症発症では家族の動揺が大きく両社に配慮した説明を行い理解の程度を把握する必要がある

・肝性脳症の鑑別:脳血管障害、脳炎、低血糖、薬物中毒、てんかん、病的酩酊、アルコール性離脱症状などであり、フイジカルアセスメントや検査所見から把握する

・慢性再発性脳症:門脈ー体循環シャント量が大きく巨大な胃静脈瘤を合併していることがあり、所見や他の疾患との鑑別にも注意する

・門脈圧亢進:側副血行路の拡張、食道静脈瘤、脾機能亢進、脾機能亢進、皮下出血、肝性脳症の徴候、下肢浮腫

・食道静脈瘤:門脈圧亢進により門脈系と体循環系が接近している部位である伊噴門部と肛門に後発する。出血しない限り無症状だが、肝硬変患者は内視鏡検査を行い定期的に静脈瘤の有無が確認される。

・吐血下血はすべて静脈瘤とは限らず、消化管潰瘍からの場合も多く、内視鏡による出血減の確定結果の把握と治療法の予測が大切である

・検査データ:血清酵素、血清たんぱく、血清アンモニア、電解質、肝機能検査、肝生検など

起こりうる看護問題:病因・誘因による肝硬変の重症化のリスク/プロトロンビン産生、血液凝固物質産生

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2心身への影響の観察

肝硬変による症状は身体的、心理的、社会的側面に影響を及ぼすため、全体的な観点から症状が及ぼす影響を把握し、トータルなケアを行うことが有効である

・心身への影響の有無と程度の観察:身体的苦痛の有無・部位・程度、精神的苦痛やストレスの有無と程度・内容、社会経済的な負担・不安の有無と程度

・疾患や治療の理解と受け止め

起こりうる看護問題:肝硬変の多様な症状に伴う苦痛/病状や治療によるADLの制約/外観の変化に関連したボディイメージの低下

3合併症の徴候の観察

肝硬変による合併症は生命危機に直結するものが多いため、予防と早期発見が重要であり、合併症の徴候は優先度の高い観察項目である

・合併症の有無と症状、徴候の観察

・肝機能低下の進行、難治性腹水、肝性脳症の頻回な発症

・食道静脈瘤などの消化管出血:生命にかかわる重大な合併症であり単に出血多量だけでなく出血性ショック後の肝機能低下、腎不全や誤嚥性肺炎も死因となりうる

・肝細胞癌:近年の治療の進歩により合併症のコントロールがある程度可能になってきた。現在の肝硬変患者の死因の1位は肝細胞癌である。診断後の生存期間は伸びてきたが発がん予防や早期発見が重要である

共同問題:食道胃静脈瘤、出血傾向、乾性脳腫、感染、肺血症、糖尿病、肝不全、肝がん、肝腎症候群など

4病因、原因の把握

原因が異なっていても肝硬変の基本的な病態や症状は同じであるが、経過には多少の相違がある

・ウイルス肝炎による肝硬変:慢性化するB型とC型肝炎ウイルスが肝硬変に寄与する。C型は加齢とともに徐々に肝硬変へ進行し、C型肝硬変は年7%と高頻度に関癌になる。B型はC型に比し個人差が大きく長期間安定した経過をとる人、若年で肝がんを合併する人、急激に肝不全に陥る人がいる

・アルコールによる肝硬変:継続的な飲酒発作による黄疸、消化管出血などの経過を繰り返しながら、徐々に肝不全が進行し腎不全も伴うこともあるが癌化は少ない。内科的治療と同時に断酒が重要であり精神的アプローチが必要である

・自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などの自己免疫性疾患による肝硬変は、非代謝期に移行する生体肝移植の適応となる

・非アルコール性脂肪肝炎は欧米化した食習慣に起因した脂肪肝から肝硬変に進展したもので、少数だが今後増加する恐れがあり生活指導が重要である

5患者背景の把握

肝硬変は日常生活で肝臓に負担をかけない習慣を保つことが大切であり、個々の患者の背景を良く知ることが指導上欠かせない

・患者情報:現病歴、生活様式、食生活、飲酒、清潔習慣、排泄週刊、既往歴、常用している薬物、家庭や社会での役割経済状況など

起こりうる看護問題:肝硬変の憎悪因子の知識不足や療養生活の長期化に伴うセルフケア困難

6療養生活が及ぼす影響の把握

肝硬変は難治性、進行性の疾患で長期にわたる療養生活を要し、人生に大きな影響を及ぼすため疾患や予防の受け止めや、それらの精神的影響の把握が必要である

・疾患や治療の受け止め、療養生活の受け止めや取り組み、医療者との関連性

起こりうる看護問題:疾患の難治性、進行性によるよぼに対する不安や葛藤

肝硬変・門脈亢進症患者の看護計画はこちらです

参考資料:疾患別看護過程