すい臓がん患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1膵がんによる身体状態の把握

癌による膵機能の障害と、癌の浸潤・増大に伴う二次的な症状を把握し治療計画、看護計画の立案に役立てる

・すい臓には内分泌機能、外分泌機能があり、癌によりそれらが障害されると血糖コントロールの変調、消化吸収障害が起こる

・すいがんは早期には症状を自覚しにくいと言われる。癌が浸潤増大すると疼痛が出現することがある。膵頭部癌が胆管を閉塞・競作させると黄疸が、また消化管を競作させると悪心嘔吐食欲不振が生じる

(糖尿病)

・インスリンは膵体尾部に多くあるランゲルハンス島から分泌される

・すいがん患者は糖尿病を合併していることが多く、すいがんやその治療により二次的に糖尿病を発症することもある

起こりうる看護問題:血糖コントロールが適切に行えない

(消化吸収障害)

・脂肪分解酵素の分泌が妨げられると資質の消化吸収が低下し便中に脂肪分を含む脂肪便が排出される

起こりうる看護問題:消化吸収が阻害されることによる栄養状態の低下

(疼痛)

・癌の周辺臓器・神経への圧迫や湿潤により、疼痛が生じることがある

・癌の進展部位により、腰背部痛、上腹部痛などを生じる

起こりうる看護問題:疼痛による活動の制限

(黄疸)

・膵頭部は胆汁の通り道である胆管に隣接しているため、膵頭部癌が増大すると胆汁うっ滞が起こり閉鎖性黄疸が出現する

・胆汁が十二指腸に流入せず便に混じらないため、便は灰白色となる

(通過障害)

・癌の増大により、消化管の通過障害を引き起こし悪心、嘔吐、食欲不振が出現することがある

起こりうる看護問題:悪心・嘔吐による活動の制限/消化吸収が阻害されることによる栄養状態の低下

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2手術施行のための全身状態の把握

すいがん患者は60~70歳代に多くすいがんの手術は身体浸潤が比較的大きい。全身状態の把握は手術適応決定のためにも術前準備のためにも必要である

・循環器、肝機能、腎機能など各検査の結果により薬物などを用いて状態を保清・改善しておく必要が生じる場合もある

・呼吸機能の評価に基づき、禁煙や呼吸訓練によって改善を図る

・血液凝固能、耐糖能の低下は、術前に保清するとともに術後管理の留意点になる

3膵切除後の身体状態の把握

すいがん手術の中でも、膵頭十二指腸手術は吻合箇所が多く各種ドレーンが挿入される。とくに膵管ー消化管吻合部の縫合不全は、消化酵素を含む膵液が漏出することから重篤となりやすい

・各ドレーンの目的と排液の性状を知り、縫合不全を早期発見することが重要である。またドレーンが数多くの医療機器のラインが装着された状態での患者の心理やADLへの影響にも注目する必要がある

・すい臓を切除したことによる内分泌機能、外分泌機能の低下の程度や栄養状態を検査データや症状から把握することで、治療計画や生活指導計画に役立てる

共同問題:縫合不全

起こりうる看護問題:病状や治療に対する不安/離床・セルフケアの遅延/血糖コントロールが適切に行えない/下痢/消化吸収が阻害されることによる栄養状態の低下/不適切なドレーン管理

4患者家族の心理社会的側面の把握

すいがんは進行した状態で発見されることが多く、生命予後が難しい。患者家族が病状や治療についてどのように理解し、受け止めているかを把握し必要な支援を行う必要がある

・血糖コントロールやドレーン管理、退院後の食事療法や日常生活上の注意など、患者家族が自ら治療・療養に向き合うことが必要とされるため、患者家族が離開している内容とセルフケアの実際について把握することが重要である

起こりうる看護問題:病状や治療に対する不安/自己概念の混乱/セルフケア不足/ノンコンプライアンス/社会的支援を得られない

すい臓がん患者の看護計画はこちらです

参考資料:疾患別看護過程