胆のう炎・胆石症患者の看護過程アセスメント

アセスメントの視点と根拠・起こりうる看護問題

1全身状態の把握

胆のう結石症の症状は、無症状から腹部の疝痛発作や感染を伴う急性胆嚢炎、黄疸や重篤な局所合併症を伴う重症急性胆嚢炎まで多様である

・全身状態を把握し、腹痛の程度、急性炎症の有無と程度を把握する

・腹痛の原因や誘因を把握する

・結石の所在部位によって胆のう部結石症、総胆管結石症、肝内結石症といわれ、症状が異なる

・疾患や症状発覚に対する患者の認識を把握する

起こりうる看護問題:胆嚢管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み/胆のう摘出後症候群に関する知識不足

腹腔鏡下胆のう摘出術にはメリットとデメリットがある。これらの理解が看護問題の判断および看護計画の立案に有効である

・開腹手術に比べて腹腔鏡下手術は、身体への侵襲が少ない、創部痛が少ない、行動や食事の制限が少なく早期社会復帰が可能、入院治療費の負担が少ない、などのメリットがある

・しかし、手術視野が限られモニタと特殊器具を用いた手術操作となるため、臓器損傷を起こしたり、それが見過ごされたりするデメリットがある

・手術視野を確保するための方法は、気腹法と腹壁つり上げ法がある。前者を選択する施設が多いが、福区内に炭酸ガスを送り込むことによって呼吸循環機能に影響を及ぼす恐れがある

起こりうる看護問題:全身麻酔、気腹操作、術後の安静に伴う呼吸機能の低下/組織損傷によって起こる出血、胆汁漏、消化管の漏れなどによる腹腔内感染の危険性/気腹操作、安静臥床に伴う肺塞栓症の危険性

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2症状の部位、出現状況、程度の観察

胆のう結石症は、腹痛の程度と炎症所見、画像所見によって治療方針が決定される。これらの把握が看護問題の判断および看護計画の立案に有効である

・右季肋部から心窩部の痛みがあり胆石症や胆道感染が疑われる場合、血液検査で炎症の程度を把握し画像検査で原因を探求する

・急性胆嚢炎の90%は胆のう結石が原因と言われている

・血液検査では白血球数増加、CRP上昇、胆道系酵素やビリルビン値の上昇が認められる

・腹部超音波検査で胆のう胆管内に結石による高エコー像とそれに続く音響陰影が認められる

・CTは胆のう炎胆管炎などの炎症所見の確認、胆のうがん、胆管がんとの鑑別に必須の検査である

・DIC(点滴静脈胆のう造影)は、胆管の分岐形態や胆のう管の合流部位の把握に有用である

起こりうる看護問題:胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み

(腹痛)

・右季肋部痛が特徴である。差し込むような激痛で疝痛発作という

・疝痛発作時には右肩から右背部への放散痛や悪心嘔吐を伴うことがある

・上腹部の鈍痛や不快感のみを訴える場合もある

・腹部の圧痛、筋性防御、マーフィー徴候が認められる場合は急性胆嚢炎が疑われる

・胆石が存在している者の症状が認められない無症状欠席、あるいは胆石がなく右季肋部痛もないのに胆嚢炎を発症する無石胆嚢炎もある

起こりうる看護問題:胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み

(発熱)

・急性胆嚢炎を併発している場合は、発熱、白血球数増加、CRP上昇が認められる

・黄疸が認められたり、胆汁性腹膜炎、胆のう周囲膿瘍などが認められた利する場合は重症急性胆嚢炎が疑われる

起こりうる看護問題:胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み

3治療による影響の観察

腹腔鏡下胆のう摘出術の術中・術後急性期は、全身麻酔や気腹操作による影響、手術操作に伴う組織損傷による症状に注意する。術後回復期以後は胆のう摘出による影響に注意する

・全身麻酔薬によって呼吸抑制が生じる

・気管挿管による機械的刺激や吸入麻酔薬による科学的刺激のため気道分泌物が増加する

・気腹操作によって横隔膜が押し上げられ肺の換気量が減少する。静脈還流障害や心拍出量の低下を起こすこともある

・腹腔内に炭酸ガスを送り込むことによって動脈血炭酸ガス分圧や呼吸終末炭酸ガスが上昇する

・炭酸ガスが皮下に漏れることによって皮下気腫が生じることがある。ほとんどの場合呼吸機能への影響はなく数日で消失するが、湖畔な皮下気腫の場合は炭酸ガスが吸収されて呼吸性アシドーシスを起こすことがある

・腹腔何乾燥した室温の炭酸ガスが多量に注入されると体温低下を起こすことがある

・術野をモニタ画面で観察しながら特殊な器具を用いて手術が行われるため組織損傷を起こしやすい

・臓器損傷が術中に発見され腹腔鏡下あるいは開腹手術によって修復できれば問題は少ないが、見過ごされると胆汁性腹膜炎や肺血症などを併発することがある

・術中の体位は頭側高位とし気腹操作も行われるため、下肢静脈血のうっ滞を生じやすく、下肢深部静脈血栓症、肺塞栓症を起こす危険がある

・胆のう摘出術を行ったにもかかわらず、術前と同様の症状が反復して出現する場合があり、これを胆のう摘出後症候群という。遺残結石や胆管狭窄が原因であることが多い

・胆のう摘出後は脂肪を多く含む食品を摂取することで胸やけや下痢を起こすことがある

起こりうる看護問題:全身麻酔、気腹操作、術後の安静に伴う呼吸機能低下/組織損傷によって起こる出血、胆汁漏、消化液の漏れなどによる腹腔内感染の危険性/気腹操作、安静臥床に伴う肺塞栓症の危険性/胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み/胆のう摘出後症候群に関する知識不足

胆のう摘出術の適応とならない場合は、経過観察または治療が行われる

・腹痛や炎症所見がない場合は経過観察となる

・大きくないコレステロール石の場合は胆石溶解療法がおこなわれるが、再発することがある

・急性胆嚢炎による全身状態の悪化により手術ができない場合は胆道ドレナージが行われる

起こりうる看護問題:胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み/胆のう摘出後症候群に関する知識不足

4原因や誘因の観察

胆石は外観や割面からコレステロール胆石、色素胆石、稀な胆石に分類される

・コレステロール胆石は、純コレステロール石、混成石、混合石に区分される。コレステロールは水に不溶性であり、胆汁酸とリン脂質の界面活性物質としての作用で胆汁中に溶け込んでいるため、コレステロールの過剰あるいは胆汁酸・リン脂質の不足がコレステロールの過飽和状態を招き結晶化をきたす

・色素胆石はビリルビンカルシウム石と黒色石に区分される。ビリルビンカルシウム石は胆汁うっ滞と腸内細菌の感染が誘因となって形成される。黒色石の誘因は不明であるが、溶結が関与すると考えられている

起こりうる看護問題:胆のう管の収縮、胆道の炎症、手術による組織損傷に伴う痛み

5患者・家族の、心理・社会的側面の把握

疝痛発作を予防するためには食生活を改善する必要がある。

急性胆嚢炎の併発による重症化、特有な器具を使用する腹腔鏡下手術を受ける治療に対する不安も生じるため、患者家族が病態や治療方法をどのように認識しているか把握して、看護計画に活かす

・疝痛発作による苦痛は強いので、不安が生じる

・急性胆嚢炎を併発し重症化すると経過が長引くため生活への影響を把握する

・腹腔鏡下胆のう摘出術は開腹手術に比べて手術侵襲が少ないと説明される。しかし患者によって術後の苦痛の感じ方が異なるため、患者の訴えを聞いて対応する必要がある

・胆のう摘出後の合併症・後遺症は比較的少ないが、発生した場合の心理的側面への影響を考える必要がある

起こりうる看護問題:胆のう摘出後症候群に関する知識不足

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参考資料:疾患別看護過程