勤務している病棟でも、経管栄養の患者さんがよく下痢をします。
それを予防する為に挿入速度をすごく遅くしたり、栄養の濃度を薄めたりして対応しますが、なかなか下痢が治らないことがあります。
経管栄養の患者さんは一般的に下痢になりやすい
その原因として容器などに付着する細菌感染の可能性もあるという事は、あまり念頭になかったです。
毎回きれいに水道水で洗浄し、消毒液につけてから乾燥させて、次の栄養時間までそのままナース室の特定の場所に、かけておくという事をしていました。
乾燥と言っても十分に乾燥することは難しかったですね。何が下痢の原因になっているかについて調べてみました。
経管栄養患者に下痢が起こる原因は?
経腸療法の合併症として下痢の発症の頻度は最も高く、下痢により低栄養状態や病態の悪化にもつながる場合があります。
①投与速度
(長期間の絶食状態では腸粘膜の萎縮が起こっている状態の為、消化吸収能力が低下しています。この時期に多量の栄養剤が投与されると消化管は対応できずに下痢となります)
②栄養剤の浸透圧や組成
(血液浸透圧より高い栄養剤が急速に投与されると、水分が腸管内に移動し腸蠕動が亢進し下痢を引き起こします。
成分栄養剤や消化態栄養剤は550~760mOsm/lと浸透圧が高い栄養剤です。
呼吸商との関係で脂肪成分が多い経腸栄養剤を使用することで、脂肪性の下痢が認められることもあります。
また乳糖不耐症の患者やタンパクアレルギーの患者では、組成成分により下痢を起こします。
食物繊維を含まない栄養剤は、食物繊維の不足により腸管での水分保持作用が低下し下痢を起こす場合もあります)
③細菌汚染
(経腸栄養剤を開封あるいは溶かした状況で室温放置すると、12時間以降は細菌数が急激に増加します。
経腸栄養剤に細菌を混入して、細菌数の増加を経時的に検討した研究では6~12時間で急速に増加したと報告されています。
また、投与容器の洗浄は容器の内側だけでは不十分で、容器全体を消毒液に浸す方法が推奨されています。
経鼻胃管留置期間が15日以上で管先端部での分離菌数が増加傾向を示し、下痢が65%以上に認められ細菌定着度との相関が示唆されています)
④薬剤性の腸炎
(抗生物質や抗菌薬の投与により腸管内の常在菌である大腸菌などの悪玉菌と整腸作用を持つ乳酸菌などの善玉菌のバランスがくずれ下痢が起こります。
また抗生剤や抗菌薬の投与が多い患者では偽膜性腸炎を発症することによって、下痢が生じる場合があります)
⑤その他
(アルブミンが低下している患者は、経腸栄養を開始すると下痢を起こしやすいという報告もあります。
経管栄養患者の下痢はいったん発症すると、改善するのにかなりの時間がかかり患者の状態も悪化します。
また皮膚のトラブルや褥瘡と言った二次的合併症を誘発させます。そのため要因をアセスメントし予防ケアを積極的に介入していくことが必要です。
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