膀胱留置カテーテルの管理,方法

看護師仕事内容

膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)を定期的に交換する方が
感染のリスクを少なくできるのか、
それとも、定期的に取り換えない方が
感染リスクを低くできるのかについて、
病棟内で議論になり、スタッフ間での意見がまとまらないことがあります。

旧の常識では、留置カテーテルを取り換える、だったのです。
新の常識では、定期的に膀胱カテーテルを取り換えない、
というものです。

膀胱留置カテーテルはどれくらいで交換すべきか

以前は尿路感染を防止する為に、
定期的に交換するという考えが主流でした。

2週間後と、1か月ごとに日を決めて
カテーテルを入れ替えていたのです。

しかし現在では、定期的にカテーテルを交換しても
感染のリスクは変わらないという考えが主になっています。

頻回に交換する方が
尿路感染のリスクを高めるというのです。

カテーテル交換は、
尿の流出不良、閉塞、尿漏れ、
尿の著しい混濁などが生じた場合に行うのが原則です。

尿の廃棄時にも感染に注意が必要

膀胱留置カテーテルによる感染経路は3つあります。

① カテーテル挿入部。
カテーテルの挿入時に尿道口周辺の細菌が
カテーテルによって、尿道や膀胱内に押し込まれることで生じます。
カテーテルを頻回に交換しない方が良いのはこのためです。

② カテーテルと導尿チューブの接続部。
接続の不完全によって生じるものです。

接続部が閉鎖式になっているものを使用することで
感染リスクを低下出来ます。
採尿する場合にも接続部は解放せずに採尿ポートから行います。

③排尿パックの排液口。
尿を廃棄する際に、排液口から細菌が混入し尿中で増殖し生じます。
排液口が容器に触れないように廃棄します。

一つの容器で複数の患者さんの尿を廃棄することも厳守します。
尿中の細菌が逆行し膀胱内に戻ることのないように、
排尿パックは膀胱より低い位置に設置します。

 

膀胱留置カテーテルは長期留置しない

留置が長期になればなるほど感染リスクは高まります。
7日以内では20~40%。
1か月では100パーセントです。
なるべく早期に抜去できるようにアセスメントすることが大切です。

長期間にわたって留置している場合には、膀胱機能が弱まります。
残尿が生じることがあるので、
自然排尿が十分でない場合には簡潔導尿を行います。
残尿は尿路感染のリスクになります。

留置カテーテル固定

バルーンカテーテルのテープ固定は、
膀胱粘膜の損傷による感染を予防する為に必須です。

男性の場合には陰茎を腹部に固定します。
同じ向きでは尿道口が亀裂するので、
右向き左向きと定期的に向きを変えます。

尿道口に裂傷が生じると
感染が起き逆行性感染リスクを高めます。
女性の場合には大腿部の内側に固定します。

膀胱留置カテーテルの適応

① 急性の尿閉、又は下部尿路閉塞の疑いのある患者。
② 尿量の正確な測定を必要とする重篤な患者。

③ 特定の手術処置における周術期の使用。
・ 泌尿器の手術や泌尿生殖の隣接組織の手術を受けた患者。
・ 長時間の手術が予想される場合。
・ 尿量の術中モニタリングが必要な患者。

④ 失禁患者において、仙骨又は会陰の開放創の治癒を促進するため。
⑤ 長期間の固定を要する患者。
・ 胸椎や腰椎が安定していない場合。
・ 骨盤骨折などの多発外傷。


⑥ 週末ケアにおける快適さを必要に応じて改善する為。

 

留置カテーテルと導尿、どちらが感染を防げるか?

 バルーンカテーテル関連尿路感染の原因菌としては、
大腸菌や腸球菌、カンジダ菌、ブドウ球菌などです。

患者本人の腸内細菌や陰部の常在菌によるものが大半です。
間欠導尿をする際には、これらの細菌を押し込むことになります。

しかし尿とともに排出されるため、
尿培養から検出されても問題はありません。

細菌を含んだ尿が長く膀胱内に滞留していると、
膀胱の過伸展や細菌の増殖によって、
尿路感染症として発症します。

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