脱臼予防の為に麻痺側を三角巾でずっと吊らない

看護師仕事内容(日常ケア)

三角布では肩関節が内側に回る

麻痺患者の脱臼予防や亜脱臼整復の為、麻痺側を三角巾で固定することが多くみられます。

三角巾で固定すると、上肢は内転・内旋傾向、肩関節は内側に回る傾向にあります。

三角布を使用する場合には最小限の使用にとどめることが大切です。

 

適切な肢位を保てる用品もある

三角布の他に亜脱臼防止の為のアームスリングで固定する施設も多いでしょう。

然し肘屈曲タイプのアームスリングは上肢内転・内旋位固定の不良肢位による拘縮や腋窩の圧迫、上肢の締め付けによる血行障害が問題点に挙げられます。

 

その欠点を補う用品として、上肢懸垂用肩関節装具(オモニューレクサ)が開発されています。

上肢懸垂用肩関節装具(オモニューレクサ)は、皮膚に直接つけて、その上から服を着ます。

伸展位の固定の為に、歩きやすい、バランスがとり易いという大きな利点が強調されています。

上肢内転・内旋位固定の不良肢位による拘縮や腋窩の圧迫、上肢の締め付けによる血行障害がおこらなかったと報告されています。

 

脱臼予防のポイントは正しく支える

脱臼予防や亜脱臼整復の為には、肩関節を全体に包み込むように装着することが重要です。

独自のアームスリングを工夫したり、三角布でも外転枕を使用するなどし脱臼の制服を試みる報告もあります。

 

麻痺側で体温・SPO2、痛みがなければ血圧測定をしても良い

片麻痺の患者さんに対しては、健側でのバイタル測定が原則になっています。

その根拠となる論文は1例で麻痺側の体温は日内変動において不安定というものです。

 

しかし、ICU等の継続的なモニタリングが行われる臨床では、麻痺側で行われることが頻繁にあります。

そこで実際に実験をした結果、体温や血圧、SPO2値に臨床的に意味ある大差がないことが分かりました。

 

健側の自発的な動きを制限せず、拘縮を予防する効果もある

片麻痺のある患者の場合、麻痺側での測定が可能なことについては有意義な意味があります。

点滴静脈内注射の処置が必要な場合や、長時間パルスオキシメータによるモニタリングが必要な場合には、健側の自発的な動きを制限せずに済みます。

 

また、筋肉の痙縮の増大を防ぎ拘縮等を予防する効果も考えられます。

また、片麻痺のある患者が自分の体温を測定できることでセルフケアも拡大します。自己管理に対する意欲の向上にもつながり、残像機能の維持にも役立ちます。

 

麻痺側と健側でのバイタルサインを測定する実験では

方法:安静仰臥位で、麻痺側と健側で同時にバイタルサイン(体温、血圧、SPO2)を測定する。

対象者:以下の条件を満たす27名

・脳血管障害または脳挫傷で片麻痺がある。

・病状が安定していると主事が判断した。

・著しい血圧の変動が見られない。

・自律神経の異常が著しい脳幹部に障害のある患者を除外。

結果:健側と麻痺側で臨床的に意味のある差は無い。麻痺側が健側よりも有意に高いがわずかな差である(1分未満の)

 

  参考資料:今はこうする看護ケア。

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