口腔ケアは、スムーズな経口栄養を継続するために重要です。
また、経管栄養や経静脈栄養での栄養管理が必要なケースでは、特に誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
これを効果的に防止する為に補口腔ケアは必須と考えられます。
口腔ケアは口腔内の汚れや細菌などを物理的に除去する器質的ケアと、低下した口腔機能を回復したり、口腔の廃用性の機能低下防止を図るために行う機能的口腔ケアがあります。
器質的口腔ケア
1歯や歯肉の清掃
①歯や歯肉が汚れている場合、虫歯や週病を予防する為に歯や歯肉の清掃を行います。虫歯の発生や進行に関わる連鎖球菌や、これらがつくったバイオフイルムを除去する処置です。日常的に行われる歯ブラシと同様です。
2舌や口蓋の清掃(口腔の内側のケア)
①舌や口蓋が汚れている場合、誤嚥性肺炎を予防する目的で舌や口蓋の清掃をします。誤嚥性肺炎の主な原因菌の一つであるグラム陰性桿菌の繁殖場所が舌や口蓋であるという考え方によります。
経管栄養や経静脈栄養の場合には、唾液分泌量が低下します。口腔の自浄性が著しく低下し細菌が繁殖しやすい環境になります。このような状況では誤嚥性肺炎のリスクが高まると同時に、強い口臭も見られます。
・口蓋ケア
口蓋に堆積している汚れは、多くは薄黄色で口蓋粘膜が透けて見えるようなもので認知が難しいです。前歯の裏などにも乾燥した汚れがこびりつきやすいです。痰のような付着物はスポンジブラシなどで除去できます。付着物が乾燥している時は水分を含ませて軟化させピンセットなどで除去します。
・舌のケア
舌は物理的刺激に弱い粘膜です。舌ケアは舌苔を除去することを目的とせず、誤嚥性肺炎の原因菌の繁殖を防止することを目的とします。粘膜用ブラシを用い一日1~2度、1度に20回以内のブラッシングを目安に舌ケアすることが大切です。
・義歯のケア
口蓋や舌をきれいにしても義歯が汚れていれば無意味です。義歯用ブラシを用い汚れを落とし、細菌の繁殖を抑える為に義歯洗浄剤を併用することが望ましいケアの方法です。
機能的口腔ケア
・機能的口腔ケアは、口腔機能の低下がある、又は低下の危険性があるという場合、口腔機能の低下や予防改善、廃用性機能低下予防の目的で口腔ケアを行います。
口腔粘膜や舌を電動歯ブラシなどで刺激したり、口腔や顔面の運動や体操をするという処置を行います。
・口腔リハビリ体操や電動歯ブラシを利用した粘膜刺激なども行います。
口腔ケアのワンポイントアドバイス
誤嚥性肺炎防止の為の口腔ケアは口腔の内側に対するアプローチが重要です。通常の歯ブラシを行うのと同時に、舌や口蓋をしっかりと見て義歯の汚れを確認するという習慣をつけましょう。
参考資料:全科に必要な栄養管理Q&A
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